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テストは強制しない! 不登校の子どもが笑顔を取り戻す「驚きの時間割り」【学びの多様化学校】仙台・ろりぽっぷ小学校

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テストは強制しない! 不登校の子どもが笑顔を取り戻す「驚きの時間割り」【学びの多様化学校】仙台・ろりぽっぷ小学校

不登校の児童・生徒の新たな学びの場「学びの多様化学校」について。2023年4月に宮城県仙台市に開校した「ろりぽっぷ小学校」を取材。(学びの多様化学校連載6回目)

【画像を見る➡】校内でも自分の居場所は自分で選べる!(岐阜市立草潤中学校)

不登校の児童・生徒のための「不登校特例校」として誕生した「学びの多様化学校」。2026年4月には25校が新たに設置され、34都道府県で84校となりました。文部科学省は、将来的には全国で300校の設置を目指しています。今回紹介する宮城県・仙台市の「ろりぽっぷ小学校」は、市内で5つの幼児教育施設を運営する「ろりぽっぷ学園」が立ち上げた学びの多様化学校です。

「子どもらしさを大切にしたい」という、保護者たちの要望に応えて生まれたこの学校には、子どもが生き生きと目を輝かせて学び出すための環境が整えられていました。

卒園児保護者の要望から設立

──幼児教育を中心に行ってきた「ろりぽっぷ学園」が、2023年4月に新たに学びの多様化学校である「ろりぽっぷ小学校」を設立した経緯を教えてください。

髙橋元気校長先生(以下、髙橋先生):ろりぽっぷ学園は2011年の設立以来、仙台市内で認定こども園や小規模保育園、学童保育を運営してきました。「子どもたちをどう育てたいか」ではなく、「子ども自身がどう育とうとしているのか」を大切にし、子どもと大人が共に育ち合う学園を目指しています。

ろりぽっぷ小学校校長の髙橋元気先生。幼児教育で掲げてきた理念を小学校でも大切にしています。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

高橋先生:園長として多くの保護者と関わる中で、卒園児が小学校に行きづらさを感じていたり、小学校への入学を機に、その子らしさがなくなってしまったという話を聞いたり。さらに「ろりぽっぷ小学校があればいいのに……」という声が届いたりしていました。

ろりぽっぷ学園は学校法人ですから、「何かできることがあるんじゃないか」と考えて、たどり着いたのが「学びの多様化学校」の設立でした。

子どもたちが輝ける「環境」を整える

──幼児期と学童期のギャップにより、子どもが強いストレスを感じたり落ち着かなくなってしまう「小1プロブレム」は以前から問題視されていますね。

髙橋先生:まず45分間、みんなと同じように過ごすことが求められるというのは、学童期の大きな変化です。「自由保育」の園に通っていた子は、特に苦しさを感じるのかもしれません。

「自由保育」というのは、子どもの主体性を尊重し、興味や好奇心の赴くままに子ども自身が遊びや活動を広げていく保育で、ろりぽっぷ学園で採用しています。

自由保育の良さは、その子の得意なことや好きなことで輝ける点です。絵を描くことに没頭する子もいれば、小さい子の世話をするのが大好きな子もいるし、泥団子作りでは誰にも負けない子もいる。

保育士や教諭の役割は、何かを教えたり指導したりすることではなく、子どもたちが輝ける「環境」を整えることにあります。ろりぽっぷ小学校でも、それは変わらず大切にしていることです。

独自のカリキュラム「ろりぽっぷプラン」

──ろりぽっぷ小学校で組んでいる独自のカリキュラム「ろりぽっぷプラン」について、詳しく教えてください。

髙橋先生:「ろりぽっぷプラン」は、ろりぽっぷ学園の「子どもの心に寄り添う保育」という理念と、「イエナプラン」のコンセプトを融合させたものです。

ろりぽっぷらしい学校教育の在り方について考えたとき、学習指導要領に則った学習を行いつつも、これまで幼児教育で大切にしてきた理念はそのまま引き継ぎたいと思いました。イエナプランはその点で非常に親和性が高いと感じています。

イエナプランでは、「対話」「遊び」「仕事(学習)」「催し」という4つの基本活動を循環的に行っているのですが、これは自由保育とよく似ているんですね。

朝、季節のことや昨日の話などをする中で、子どもたちの興味が芽生え(対話)、遊びの時間にできなかったことができるようになったり、知らなかったことを知ったりします(遊び)。さらに上手な子を真似してみたり、工夫しながら繰り返すことで上達していく(仕事)。そういった子どもたちの成長を、展示や発表の場で振り返るのです(催し)。

小学校の学習もこんなふうにできたら、子どもたちは主体的に学べるし楽しいんじゃないかと考えました。

1週間の予定表。1~3年生と、4~6年生の異年齢学級で活動している。学年が異なるため、比較や序列化が起きづらく、自然と教え合い、学び合うように。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

異年齢での学びが自信を育む

髙橋先生:上の表は、1週間の時間割りです。朝と夕方の「サークル(人間キャリア)」の時間は、クラスで輪になって対話を行っています。人間関係に苦手意識を持っている子も多いので、人との関わりを学ぶこの時間を「人間キャリア科」という独自教科として特に大切にしています。

子どもたちにとってホットな話題や、時事ネタ、季節のことなど、テーマを設けて対話を行うのですが、考えを受け止めてもらえたり、ときに反論されたりする経験を繰り返す中で関係性が深まっていきます。

対話の時間。「輪の中に入りづらい児童も、少し離れたところでみんなの声を聴いているだけで心理的な距離が縮まっていきます」(高橋先生)。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

高橋先生:そして1~3時間目に書かれている「ブロックアワー」は、各教科を学習する時間です。国語や算数は進度の差が大きいので、個別に取り組んでいることが多いです。

ブロックアワーでは、在籍している学年に縛られず、見通しを持って学べるよう単元を“級”として扱い、個人のペースでレベルアップできるようにしています。少しでも楽しく学べるように、漢字ビンゴをやるなど、遊びの要素も取り入れています。

ブロックアワーは、各自の進度に合わせた学習をしています。学年を越えて教え合う姿もよく見られます。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

高橋先生:また、理科や社会はクラス全員で行っています。先日は、ペットボトルロケットを作りました。この授業は本来4年生で扱う内容ですが、実験をしたり調べ学習をしてスライドを作ったり、5~6年生も一緒に楽しみながら学んでいました。

ちなみにテストは今年からやっていく予定です。これも子どもたちからの要望なので、全員に強制はしませんし、同じテストを一度ではなく何回でも受けていいと思っています。

「やりたい」の中に学びが詰まっている

──4~5時間目に書かれている「ワールドオリエンテーション」の時間はどんなことをするのですか?

髙橋先生:子ども自身の興味関心を出発点とした「探究学習」に教科の学びを連動させています。昨年は6年生が自分たちで一から修学旅行を作り上げました。

行き先や、宿泊するホテル、交通手段、経費、朝ごはんのメニューまですべて6年生が調べ、相談しながら決めていきました。宿泊に不安を抱えている子もいましたし、意見がぶつかることもありました。当日もいろんなトラブルに見舞われましたが、そのたびに子どもたち自身が支え合い、寄り添い合う姿が見られて本当に素晴らしい旅になりました。

修学旅行は「東京ディズニーシー」へ。数ヵ月かけ、すべて自分たちで計画を立てました。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

髙橋先生:衆院選のニュースが飛び交う期間中には、学校でも選挙がしたいという5年生の提案で、1週間限定任期の校長を選ぶ選挙が行われました。教員や保護者が立候補して、選挙管理委員会が投票所も設置して、かなり本格的でした!

校長選挙が行われた際の選挙ポスター。選挙を企画した5年生の児童がポスターを制作しました。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

高橋先生:ちなみに私は保守派として「今の善きものを守る!」を公約に立候補したのですが、「毎日5時間目に火起こしをして、マシュマロを食べる」という公約を掲げた教員に負けてしまいました(笑)。

この選挙で、自分の投票によって何かが変わるということを、みんなが実感できたのではないかと思います。

ワールドオリエンテーションの時間は、活動を進める過程で、社会や理科、算数、国語など各教科も横断的に学ぶことになります。教科が先にあって時間割りを決められるのではなく、「今日、何やろう」と自分で考えるところから始まるのが楽しいみたいですね。

手や口を極力出さず、子どもの育ちを「見守る」

髙橋先生:保護者との連携も欠かせません。アプリを使って学校での様子を共有したり、月1回開催している茶話会(自由参加)で、情報交換や学習会を行い、二人三脚で子どもを見ていくようにしています。

子どもたち同士のトラブルは日常茶飯事ですが、私たちはそれも仲が深まったり成長するきっかけになると考えています。トラブルになりそうだから止めるのではなく、関係性を把握しつつも口を出さずに見守る。

何かチャレンジしようとしていて「失敗しそうだな」というときも、あえて手を出さない。「子どものために」というのが、実は大きなお世話ということはよくあるんですよね。

大人が考える正義や正解、価値観に子どもたちを閉じ込めるのではなく、子どもたち同士で解決したり、安心して挑戦し、失敗から学ぶチャンスを奪わないことを大切にしています。

茶話会で、保護者同士が互いに意思疎通が取れることで、チームとして子どもの育ちを見守ることができていきます。  画像提供:ろりぽっぷ小学校

髙橋先生:学力は学びたいと思ったときにいくらでも取り戻せますが、体験は今、このときしかできません。

卒業式の少し前に、「不登校になってよかった。ろりぽっぷ小学校に通えたから」と言った子がいました。どんな経験も無駄にはならないし、全てが何かにつながっている。これからも、子どもたち一人ひとりが自分らしく輝くために、今しかできない経験作りを大切にしていきたいと思います。

───◆───◆───

自由に遊びながら学ぶ幼稚園や保育園での生活から、45分間座って一斉に学習する小学校生活への切り替えに戸惑う子は少なくありません。そんな子どもたちにとって、対話から遊びが生まれ、遊びが学びに発展するイエナプランの活動サイクルは、とても自然な学び方なのだと感じました。

何かを「やりたい!」、だから「学ぶ」。

「学ぶ」ばかりに目を向けるのではなく、「やりたい!」気持ちを生み出す環境を整えることが大切だと教えてもらいました。

取材・文/北京子

ろりぽっぷ小学校
住所:宮城県仙台市太白区坪沼長田中9‐1
電話:022-395-9613

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