アメフト日本一目指す立命館大・山嵜大央主将がチームメイトを早朝トレに呼んだ理由
昨年優勝を分け合った関西大と14日対戦
関西学生アメリカンフットボールリーグ1部の立命館大は14日、たけびしスタジアム京都で関西大戦に臨む。ここまで大阪大、桃山学院大、近畿大、神戸大を下し、ライバル関西学院大と並んで4連勝。関大戦後は27日に京都大戦(たけびしスタジアム京都)、11月10日に関学戦(万博記念競技場)が控えている。
8日に高橋健太郎監督とRB山嵜大央主将ら5選手が会見。近大に敗れて3勝1敗の関大に対し、高橋監督は「全勝の関大さんと戦うつもりで準備を進めている」と警戒感を示した。
昨年は関学、関大とともに6勝1敗で並び、3校が同率優勝。立命は4年ぶり13度目の頂点に立ったものの抽選の結果、関学が甲子園ボウルに出場し、史上初の6連覇を達成した。
立命が甲子園ボウルを制したのは2015年が最後。2002年度、2003年度のライスボウル連覇など日本一3回、学生日本一に8回輝いた名門も、当時に比べると近年はやや影が薄くなっている。
午前5時からトレーニングを積んだ山嵜主将
復権に向けて闘志を燃やすのがRB山嵜大央主将だ。夏休みは早朝4時に起床して5時からトレーニング。当初は1人で取り組んでいたが、徐々に人が増え、高橋監督は「彼の熱がチームに伝わっている」と目尻を下げる。
山嵜主将は「しんどいことをしないと結果はついてこないと下級生に伝えたくて(早朝トレーニングに)呼んだ」と明かした。特に気にかけていたのが3年生のQB竹田剛だ。
父・竹田勉さんはマイカルなどでWRとして活躍。兄・竹田祐さんは履正社高の右腕エースとして3年センバツで準優勝し、明治大では東京六大学通算11勝をマークしたというスポーツ一家だ。祐さんは現在、三菱重工Westでプレーしており、ドラフト候補にも挙がっている。今秋は兄弟そろって勝負をかけるシーズンでもある。
「竹田剛はQBとしてチームを背負っているんで、チームを見させる義務があった。朝早く来て主務やトレーナーが裏で働いているのを竹田に気付かせたかったので呼んだ」と山嵜は狙いを明かした。
1学年下のQBに自覚を促すのも主将の責務。強い責任感と日本一への渇望が山嵜を突き動かす原動力だ。
立命館大パンサーズ提供
関大一高出身の水谷天空「成長した姿を見せたい」
もう一人、関大戦に特別な感情を抱くのが4年生のDL水谷天空。関大一高出身で高校2年時にU-18日本代表に選出され副将を務めたが、体育教師になる夢を叶えるため関大には進まず、アメフトも続けながら教師を目指せる環境が整っている立命に進学した。
昨年の年間最優秀選手(ミルズ杯)に選ばれた関大QB須田啓太は関大一高時代のチームメイト。ほかにもともに汗を流した選手や指導者は多い。
「須田くんとは高校から仲が良かった。対戦が楽しみ。4年間で成長した姿を指導者を含めていろんな人に見せたい」
9月には母校へ教育実習に行き、夢への第一歩を踏み出した。教師になれば指導者としてアメフトに恩返ししたいと考えているが、その前に大学でプレーヤーとして日本一を果たす必要がある。
4年生のWR大野光貴も「日本一になるためにパンサーズに入ったけど、まだ日本一の称号を手に入れてない」と今秋に懸けている。山嵜主将は「関大さんも次負けたら終わりというつもりで来るので、僕たちも覚悟を持ってやろうと言っている。甘い試合にはならないので勝ち切ることにこだわりたい」と気を引き締めた。
大麻疑惑で世間を騒がせている学生アメフト界。青春の全てを懸けてきたアメリカンフットボールの魅力をアピールするためにも、パンサーズは頂点を目指す。
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記事:SPAIA編集部