過労死等の労災請求が急増、ここ数年で最多の6212件に パワハラや過重労働が招く精神障がいの実態
厚生労働省は7月15日、2025年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。過重な業務による脳・心臓疾患や、強い心理的負荷による精神障がいをめぐる労災請求件数は、全体で6212件となり、前年度から1402件と大幅に増加した。脳・心臓疾患と精神障がいの双方が増加傾向にあることがわかった。
脳・心臓疾患と精神障がいをめぐる労災請求の急増
脳・心臓疾患に関する労災請求件数は1254件で、前年度比224件の増加となった。このうち死亡件数は303件で、前年度より48件増加している。一方で、労災保険給付の支給決定件数は217件となり、前年度比で24件減少した。業種別の傾向では、請求・支給決定ともに「運輸業、郵便業」が最多で、特に「道路貨物運送業」の「自動車運転従事者」に集中している。
また、仕事による強いストレスを原因とする精神障がいの請求件数は、前年度比1178件増の4958件に上り、ここ数年で最多を更新した。支給決定件数も26件増加して1082件となった。業種別では「医療、福祉」が請求・支給決定ともに最多で、その中でも「社会保険・社会福祉・介護事業」での発生が目立つ。年齢別では脳・心臓疾患が50代、精神障がいが40代で最も多くなっている。
ハラスメントが招く精神障がいと、ミドル層の心理的ケアの必要性
精神障がいの発病に関与した出来事について、心理的負荷の強度を評価した結果に基づき、認定された具体的な要因は以下の通り。
・上司等からの身体的、精神的なパワーハラスメントを受けた事案が222件で最多を占める
・顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けたカスタマーハラスメントが127件
・職場でのセクシュアルハラスメントを受けた事案が127件
・仕事内容や仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった事案が113件
さらに、副業や兼業に伴う複数業務要因災害による支給決定も、脳・心臓疾患で7件、精神障がいで4件とそれぞれ前年度から微増している。今回の集計結果からは、従来の労働時間管理に加え、パワーハラスメントやカスタマーハラスメントの防止、ミドル層の心理的ケアといった職場環境の整備が求められる企業の現状が浮かび上がった。
発表の詳細は、厚生労働省の公式サイトで確認できる。