高校球児10年連続減少 静岡県は全国で2番目に多い116人 部活の地域移行で加速か
■野球部員12万7031人で1326人減 31道府県で減少
日本高校野球連盟が7月3日、今年度の野球部員数と加盟校数を発表した。硬式野球の部員数は昨年度から1326人少ない12万7031人だった。都道府県別では静岡県が116人減少で、2番目に多かった。
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日本高野連は毎年、連盟の加盟校数と野球部員数を公表している。今年5月現在の集計によると、加盟校数は昨年度より20校少ない3798校で、部員数は1326人減って12万7031人。部員数の減少は10年連続となった。
都道府県別に見ると、最も部員数が多いのは東京都の9133人だった。次いで愛知県の6800人、神奈川県の6224人となっている。最も少ないのは鳥取県の736人で、高知県と徳島県もそれぞれ862人と926人で1000人を切っている。
静岡県の部員数は3871人と全国平均の2702人を上回っている。ただ、昨年度からの減少人数は116人で、愛知県の130人に次いで多い。部員数が減ったのは31道府県だった。
加盟校数が最も多かったのは東京都の274校。北海道の203校、神奈川県の188校、愛知県の183校、大阪府の178校と続く。最少は鳥取県の24校。次いで、福井県の28校、高知県の29校、徳島県の30校、山梨県の34校となっている。静岡県は108校で全国平均の80.8校より多い。
■部活の地域移行で軟式野球の場が激減 競技人口減少は加速か
10年前と比べると、加盟校数は232校、部員数は4万3281人減っている。部員数は約27%の減少となる。少子化やスポーツの多様性の影響により、高校野球の規模も縮小が避けられないとは言え、競技人口の減少に歯止めをかけられない状況だ。
さらに、部活動の地域移行で、この動きが加速するとみられている。政府が打ち出した教員の働き方改革によって、中学校の部活は今後、地域に移行される。中学生を対象とした野球のクラブチームは大半が硬式で、部活がなくなると軟式野球をする場が極端に減る。
部活に代わる軟式野球のクラブチームを立ち上げるには、指導者や練習場所の確保、それに伴う費用などハードルが高い。高校以降でも野球を続ける前提の小学生は中学で硬式のクラブチームを選択する。だが、小学校高学年で野球を始めた小学生や、成長が遅く硬式に不安がある小学生らは軟式野球の場がなければ競技を離れる可能性が高い。高校から野球部に入るケースは極めて少ないため、高校球児の減少は今まで以上に進んでいくと予想される。
近年、高校野球では髪形を自由にしたり、練習時間を短くしたりするなど、ネガティブなイメージを変える動きが広がっている。ただ、高校球児減少の課題を解決するには、小学生や中学生のカテゴリーで競技人口を減らさない取り組みも必要になる。
(SHIZUOKA Life編集部)