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キングサーモンの完全養殖に向けた研究がスタート 国内初の試みに期待

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メジャー魚介類のサーモン(提供:PhotoAC)

「サケの王様」と言われ、最も珍重されるキングサーモン。そのキングサーモンの完全養殖を行おうという試みが、北海道で始まります。

キングサーモン養殖研究がスタート

北海道函館市は本年度、「サケの王様」として知られるキングサーモンの完全養殖技術確立に向けた研究をスタートさせると発表しました。今月10日には、関連事業費の約6000万円を、2021年度の予算案に計上することを公表しています。

研究にあたっては、北海道大大学院水産科学研究院、函館国際水産・海洋都市推進機構と連携して行うといいます。いずれも函館市にあり、地場産業として発展させ、函館ならではのブランドにしたいという思いがあるようです。

キングサーモンの切り身(提供:PhotoAC)

国内でのキングサーモンの漁獲は少なく、産卵場所もほぼないとされています。そのため他のサケ類のような採卵・放流を伴う栽培漁業ではなく、完全養殖漁業を目指すといいます。国内では、山梨県でキングサーモンとニジマスの交配種である「富士の介」の養殖実績はありますが、純粋なキングサーモンの養殖事業化は初めての例となります。(『キングサーモンの完全養殖目指す 函館市、新年度から事業開始』函館新聞 2021.2.16)

キングサーモンはどんな魚?

キングサーモンは、「サケの王様」の名の通り最大1.5m前後、重さ60kg前後にもなる、サケ科で最大の魚です。東北地方の太平洋以北、日本海、オホーツク海、ベーリング海に棲息する、サケの中でも北方系の種です。

他の多くのサケと同様に、母川回帰を行う両側回遊性の魚です。しかし、日本国内の河川で産卵を行うことはほとんど無いと考えられています。

その和名は「マスの親分」という意味のマスノスケ(鱒の介)ですが、上記のこともあり日本国内での漁獲は非常に限られています。それでもまれに東北地方で漁獲され、「オオスケ」「ダイスケ」などと呼ばれます。

なぜキングサーモンなの?

キングサーモンは、サケ科魚の中でも高い脂肪率と濃厚な味を持つことで知られ、サケ・マス類の中で最上級に位置付けられる魚です。日本国内ではほぼ漁獲されないにもかかわらず、鮮魚・加工品ともに高い需要があり、高値で取引されています。

キングサーモンを使った料理(提供:PhotoAC)

現在、鮮魚としての人気が高まる一方のサケ・マス類は、全国各地に様々な養殖ブランドが存在しています。そのような現状の中、既存の種の養殖を行っても市場で差別化するのは難しく、希少価値と知名度の高いキングサーモンに白羽の矢が立った形です。

函館などの道南地区は、主要漁業種であるスルメイカなどの不漁が続き、水産関連業界が苦境に陥っています。その振興につながる魚として、養殖キングサーモンには大きな期待が寄せられているのです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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