海遊館からお引越ししたアザラシのミゾレに用意された“搭乗チケット” 粋な試みに「ANAさんステキ」「この気持ちをほっこりというのか」
2023年11月、大阪の海遊館からおたる水族館にやってきた、ワモンアザラシのミゾレ。お引越しの際、実際に用意された“搭乗チケット”がSNSでアップされると「可愛すぎる」「粋な計らい」と話題を集め、Xで4.7万いいねを超える反響となりました。
「北海道でも元気に過ごしてね!」優しさが詰まったチケット
おたる水族館に立ち寄った投稿主さんが撮影したのは、なんとミゾレが北海道にやってくるときに発行された手作りの搭乗チケット。よく見ると、愛らしいミゾレの写真と共に「海遊館→おたる水族館」と書かれています。
ミゾレが生まれた海遊館がある大阪の伊丹空港から、おたる水族館に一番近い空港である新千歳空港までの搭乗チケットには、人間と同じく、行き先や名前、出発日時、便名、座席名までが記載されています。さらにはメッセージまで!大阪でミゾレがどれほど愛されていたのかが伝わってくるようです。
“天使すぎるアザラシ”ミゾレくんって?
ミゾレは、2021年4月1日に大阪の水族館「海遊館」で誕生しました。ワモンアザラシでは日本で初めての完全人工哺育されたアザラシであるとともに、その真っ白でフワフワなうぶ毛がとてもかわいらしく「天使すぎるアザラシ」として大人気に。2023年11月に繁殖のため、1000キロ離れたおたる水族館にやってきました。
現在でもその人気は健在で、遠方から多くのファンがミゾレに会いに来てくれるそうです。
搭乗チケットはANAさんのアイデアだった
1000キロもの距離を移動してきたミゾレですが、アザラシって飛行機に乗れるの?と驚いた方もいるかもしれません。一般的には、動物は貨物として飛行機の荷台に搭乗します。特に水族館の動物を空路で運ぶ場合、水のない環境で運ぶため、細心の注意を払って行われます。
通常、犬や猫などの動物を貨物で移動する場合、人間のような搭乗チケットは発行されません。今回、ミゾレの引っ越しを担当されたANAカーゴさんにお話を伺いました。
「今回、海遊館の人気者として多くのお客様から愛され、また海遊館の飼育員の皆様が愛情を込めて大切に育てているミゾレちゃんのことを知り、荷物(貨物)としてではなく、お客様同様搭乗いただきたいという想いから、社員のアイディアで特別に搭乗券を作成することといたしました。」
コメントからは、多くの方から愛されているミゾレの人気っぷりと、社員さんのあたたかい心遣いが伝わってきます。
おたる水族館に無事到着したミゾレの今は
2023年11月におたる水族館に無事到着したミゾレは、今どんな生活を送っているのでしょうか?おたる水族館のワモンアザラシの飼育を担当する、海獣飼育課の佐々木佑輔さんにお話を伺いました。
「私から見てミゾレは人工哺育下で育ったこともあり、人間に対して距離感が近く、 人懐っこいと感じます。また、日によってプールにおもちゃを入れています。 だいたいの動物は見たことがないおもちゃを入れたときは、警戒して遊ぶまで時間がかかることもありますが、ミゾレの場合は気に入れば、すぐ遊んだりと好奇心旺盛だと感じます。
日中の過ごしている様子については、現在給餌を1日2回行っています。いつもはプールで泳いでいることが多く、お客様の身に着けているものなど気になるものを見つけると近くに寄っていくこともあります。 『ミゾレを見に来ました』というお客様もいて、ミゾレのプールの前でご観覧されている方も多いです。」
好奇心旺盛で気になるものがあれば近づいてくれるなど、人との距離感が近くフレンドリーな性格が今もミゾレのファンを虜にしていているのかもしれません。そして、変わらず愛情をたっぷり注がれている姿も変わらないようです。
今回の搭乗チケットは、ミゾレへのたくさんの愛情が形になったものと言っても過言ではありません。現在ミゾレが生活しているのは、おたる水族館の海獣公園というエリア。海そのものを区切り、自然のままの環境でのびのび暮らしています。
現在は成獣なので、白いフワフワの毛はありませんが、そのかわいさは今も変わりません。ぜひおたる水族館に足を運んでみて下さいね。
(サムネイル画像提供:おたる水族館)
おたる水族館
■所在地:小樽市祝津3-303
■営業時間:2024年3月16日(土)~10月14日(月)9:00~17:00
■料金:16歳以上 1800円 / 6~15歳 700円 / 3歳以上 350円(通常期)
【ライタープロフィール】
ぶちねこ(北海道観光カメライター)
北海道の観光スポットや観光施設につながりをたくさん持ってる「ぶちねこ」です。北海道に住んでいると当たり前に思っているものでも、素晴らしい資源がたくさんあります。そんな素敵な北海道の魅力を発信していきます。