芸妓の世界はやっぱり厳しい?知られざる上下関係は令和の今どうなっているの?【さっぽろ芸妓日記vol.35】
札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。 「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。
しかし北海道にも開拓期から道内各地に花柳界がございました。
現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には11名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。
連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や 文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします!
花柳界は「厳しい」?
皆さんは、「花柳界」にどんなイメージをお持ちでしょうか?
私はこのお仕事をやっていて、お客様からよく「やっぱり厳しい世界なんでしょう?」という質問をいただくことがあります。
私は、入門前は京都の芸舞妓さんのドキュメンタリーなどをよく観ておりましたので、「きっと大変な世界なんだろうな」となんとなく思っておりました。
現実は?というと…。厳しいものだと分かっていて入門したので、さほど驚くことはありませんでした。
お稽古経験もゼロの、何も知らない状態で入門しましたので、お師匠さんには芸事に関しては厳しく教えていただきましたし、礼儀作法に関しては失敗しながらも、お姐さんやお客様方からたくさんのことを教えていただきました。
でも、どれもが決して理不尽な厳しさではなく、「愛のある厳しさ」、という風に感じていました。
(それでもかなり優しい方だと思います。時代ですね…)
お姐さんとの関係で大切なこと
昼間のお稽古にはじまり夜のお座敷が終わるまで、一緒に過ごす時間も長いですし、お姐さん方とは本当の「姉妹」のような関係性であると感じています。
「姉妹のような関係」といっても、普通の会社よりはやはり上下関係がはっきりしています。
花柳界では年齢は関係なく、芸歴順(この世界に入った順)で「お姐さん」「妹」が決まります。
お姐さんに対しては「気配りをする」ことが特に大切です。
細かいところでいうと…
・エレベーターの扉をおさえる、ボタンを率先して押す
・のれんがあれば開けて待つ
・重い荷物があれば進んで持つ
・飲食をするときはお姐さんが口をつけるまで待つ
・もし順番が逆になってしまう場合は「お姐さん、お先です」と一言添える
などがあります。
とにかく、「何をするにも先輩優先!」といったところでしょうか。
私もたいがいボーっとしていることが多いので、まだまだ至らない点だらけで恥ずかしいのですが…。
「令和のこの時代に?」と感じる方も多いかもしれませんが、これらは芸や文化を継承するため、学ばせていただきます!という姿勢を示すため。
そしてなにより、お座敷を円滑にスムーズに進めるために「気遣い、心配り」が大切になってくるんですよね。
私も、いつまでも謙虚な気持ち・思いやりを忘れず、お客様に楽しんでいただけるようこれからも精進していきたいなと思います。
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連載さっぽろ芸妓日記」
文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:Sitakke編集部あま
<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に 知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。
※掲載の内容は記事執筆時(2025年11月)の情報に基づきます。