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「20年前の自分に会ったよう」山口祐一郎が加藤和樹&平方元基と予測不可能のトークを展開『My Story -素敵な仲間たち-』

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山口祐一郎、加藤和樹、平方元基

“ミュージカル界の帝王”山口祐一郎が、これまでの舞台人生で出会った仲間たちと語り合うトークイベント『My Story -素敵な仲間たち-』が、2020年9月17日(木)に帝国劇場で開催された。構成・演出は、山口と長年仕事を共にしてきた演出家・山田和也が務める。

公演期間は2日間。全4公演を通して総勢5名のゲスト(浦井健治&保坂知寿、加藤和樹&平方元基、中川晃教)が各公演替わりで登場し、ここでしか聞けない貴重なトークが展開される。また、本公演は劇場での鑑賞に限らず、全公演Streaming+による映像配信も行われる。本記事では、9月17日(木)夜に加藤和樹&平方元基が登場した回の配信の模様をレポートしていく。

バック・トゥー・ザ・フューチャーの壮大な音楽と共に舞台上空から巨大なセットに乗って現れたのは、上品なスーツを颯爽と着こなす山口祐一郎。さらに、上手と下手の奈落がせり上がってくると、それぞれ加藤和樹と平方元基の姿が見えてきた。劇場の舞台装置を存分に使った力の入った演出に、異例の帝国劇場トークイベントへの期待が高まる。

山口の衣装は、なんと20年前のミュージカル『ローマの休日』で着ていた新聞記者ジョー・ブラッドレーの衣装だという。そして2020年10月に再演される同作に出演予定の加藤と平方の衣装も、もちろんジョー・ブラッドレーのものだ。20年の時を経て、山口から演じ継ぐ2人が今回のゲストとなる。

冒頭、山口が「せっかく3人揃いましたので、ご覧に入れたいと思います」と言うと、おもむろに3人が縦一列に並んでチューチュートレインダンスを披露(!)。楽しげに回り続ける3人の姿に、一気に場の空気が和んだのは言うまでもない。

本イベントは90分間、7つのトークコーナーで構成されている。各コーナー(10分)の終わりが近づくと舞台前方のランプが点灯、さらに点滅し、制限時間がくると容赦なく盆が回って次のコーナーへ展開するという、なかなかコミカルな演出となっていた。

最初のコーナーのテーマは「この半年の出来事」。平方は『SHOW-ISMS』の演出変更、加藤は『ウエスト・サイド・ストーリー』の公演中止、山口は『ヘアスプレー』の公演中止と、それぞれの近況を振り返る。舞台上のスクリーンには、『ヘアスプレー』で山口が演じるはずだった役(エドナ)の特殊メイクのメイキング映像が流れ、型を取るために顔中に材料を塗り固められている山口の姿が紹介された。

会話の途中に制限時間がきてしまい、あっという間に次のコーナーへ。盆が回っている間は音楽に合わせて3人がノリノリで手拍子。回数を重ねるうちに観客も自然と一緒に手拍子するようになると、コーナー転換の時間はちょっとしたショーのよう。終始明るく和やかな雰囲気の中、トークは進行した。

続く話題は3人の関係について。山口との出会いは、加藤は2014年の『レディ・ベス』、平方は2012年の『エリザベート』。するとおもむろに山口が立ち上がり、「元基さんのファンのみなさん、本当に元基の大切なものを、舞台上で、しかもこの位置です、週に3回奪っていました」と客席に向かって謝罪(※)すると、観客からは笑い声の代わりに拍手が送られた。
(※)『エリザベート』で山口演じるトートは、平方演じるルドルフとのキスシーンがあった。

加藤は『レディ・ベス』で共演時のエピソードを「ラスト近くで、祐さんが僕の肩に手を置いてくれるシーンがあったんですよ。あるとき、その祐さんの手にグッと力が入って……」と語っている最中にまさかの制限時間。その先を聞きたいと誰しもが思ったであろう場面があった。

その後のトークコーナーで無事に『レディ・ベス』の話題に戻り続きを聞くことができたので、ここに記しておきたい。「周りがベテラン揃いで、ダブルキャストには山崎育三郎がいて、毎日がオーディションのようだった」と当時を振り返る加藤。そんな中で山口の力の込もった手に“君にも存在理由があったんだよ”と言われたように感じてグッときたのだそうだ。それに対して山口は「なぜ手に力が入ったのか。和樹さんの体に触れたときに、彼にできることがあるならばそうしたい、と思わせてくれたんだ」と優しい口調で語った。舞台上ならではの心に響くエピソードだ。

たくさんの質問を交互に読んで答える形式の質問コーナーでは、舞台上の姿だけではわからない、素の3人の個性も感じられた。

「将来暮らすなら都会?田舎?」という質問に対する平方の「田舎。僕は博多出身で、海の方に行くと都会、山の方に行くと山で……」という珍回答にどよめく会場。思わず山口が「彼はお稽古場でもこういう感じ?」と聞くと、加藤がすかさず「通常運転です」と返す流れはまるでコント。

「うどん・そば・ラーメン、どれが好きか?」という質問には、ラーメン好きで有名な加藤が「僕はまあやっぱりラーメンですね」と即答。すると平方が、加藤が好きなラーメンについて「とにかく大盛りで、野菜がこーーーんなに入っていて」と山口に対して解説するというコンビネーションもみせてくれた。
いつのまにかトークが終盤になると、山口が日本初演に出演し、まもなく加藤と平方が同じ役で出演予定の『ローマの休日』へと話題が移った。山口は「20年前かあ。僕は盆が回っているところをベスパで走っていたんだけれど、日によってセットの位置が違うときがあって、時々通れないなんてことも。スリルとサスペンスを楽しませていただいた」と舞台上をベスパで走り回った日々を懐かしそうに語った。

加藤が山口に「『ローマの休日』で一番大変だったことは?」と尋ねると、「大変よりも楽しくて。このお仕事楽しいですよね。これ以上の贅沢、人生はないと思っています」とさすがの一言。ミュージカル界の第一線を走り続ける山口の言葉からは、舞台への大きな愛が感じられた。

最後に、山口からの挨拶でスペシャルトークショーは締めくくられた。
「なんだか、20年前の自分に会ったような気がしました。元基さんありがとう。和樹さんありがとう。そして、今日この時間、この空間を一緒に過ごしてくださったみなさま、本当に心より御礼申し上げます。本日は誠にありがとうございました」

実は、本格的なトークイベントに出演するのはこれが初めてだという山口。そんなことは微塵も感じさせない、優雅で落ち着いた語り口に魅了された人は多いのではないだろうか。9月18日(金)の昼・夜公演では、ミュージカル『モーツァルト!』で共演を重ねた中川晃教をゲストに迎えてのトークが展開される。Streaming+の配信視聴券は、各配信回終演まで購入可能だ(アーカイブはないのでご注意を)。今だからこそ実現した、奇跡のトークイベントをどうぞお見逃しなく。

取材・文 = 松村蘭(らんねえ)

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