上越市「地域独自の予算」本年度で廃止 最大満額補助の新制度へ
新潟県上越市は、地域の団体などが自主的に行う地域活動の支援策として2023年度に導入した「地域独自の予算」事業を本年度で廃止し、2027年度から新たな制度を導入する。地域独自の予算は補助金の上限が7割だったが、新しい支援制度は最大満額を補助する。8月中には申請の受け付け開始を予定している。
地域協議会が審査した地域活動支援事業
地域の交流イベントや祭りの開催、歴史研究といった地域団体などが行う活動への支援として、村山秀幸元市長時代の2010年度に地域活動支援事業が創設され、毎年約1億8000万円を28の地域自治区に人口割合などに応じて配分していた。一定の効果があったものの、同じ団体が毎年補助を受けていたり、支給基準が各区で異なり使途に疑問が残る事業が採択されたり、地域協議会が事業採択の審査に多くの時間を費やされるなどの課題があった。
中川前市長肝いりだった地域独自の予算
これを受けて中川幹太前市長時代の2023年度にスタートしたのが地域独自の予算事業で、市民団体などが市に事業を提案し、市が直接実施するか、市が補助事業として対象を決めた。予算額の上限はない。審査は市が行うことで地域協議会は本来の役割である自主審議に専念できたが、補助事業の場合、補助率の上限は7割に抑えられ、残り3割の自主財源が捻出できず、活動を断念した団体もあった。
地域活動への補助金制度の変遷
項目
地域活動支援事業2010〜2022年度
地域独自の予算2023〜2026年度
(仮称)協働・共創まちづくり補助金2027年度〜
(仮称)まちづくりスタートアップ補助金2027年度〜
予算枠
地域自治区ごとに配分
総額1.8億円
予算枠・上限額なし地域自治区ごとに配分
予算総額は精査中(2027年度は経過措置あり)予算総額は調整中
補助率上限
10/10
7/10
(経過措置あり)10/10定額補助(上限10万円)
主な対象外経費
地域自治区ごとに設定
地域の活動を伴わないハード整備、ユニフォームや楽器など受益が限定される物品購入地域独自の予算事業における対象外経費を基に若干追加協働・共創まちづくり補助金と同様に設定
提案
提案者
地域の団体
(構成員5人以上)
地域の団体(構成員2人以上)、地域協議会、総合事務所・まちづくりセンター地域の団体
(構成員5人以上)地域の団体
(構成員2人以上、市の区域内で活動する法人・団体)
提案内容の検討
提案者(地域の団体)のみ
提案者(地域の団体等)と市が一緒に考える提案者(地域の団体等)と市が一緒に考える
提案期限
地域自治区ごとに設定(おおむね4月末まで)
追加募集あり
事業実施前年度の8月末(新規事業)、9月末(継続事業)
事業実施前年度の12月末
追加募集なし
実施年の4月から受付開始
選定
地域協議会
②審査基準(採択方針)の設定、事業の審査
③採択事業の確認②地域ビジョンの策定、事業内容の評価関与しない
市
③採択事業の決定
(地域協議会の検討結果を尊重)
①審査(各事業)①評価基準の設定
④採択事業の決定市のみで審査
市議会
①議決(各区への配分額)
②議決(各事業)③議決(各区への配分額)
*上越市の資料を基に作成。選定欄の丸数字(①②③④)は、各制度における手続きの順序
少人数団体への支援創設
制度の検討は2023年度以降も「地域自治推進プロジェクト」として進められていた。
新たな制度は2本立て。(仮称)協働・共創まちづくり補助金はこれまでの制度を引き継ぐ制度で、地域自治区ごとに一定の予算額を配分し、最大で満額を補助する。補助対象となる事業は、各地域協議会が策定するまちづくりの方向性などをまとめた「地域ビジョン」に沿った活動とする。提案事業は簡素な手法で地域協議会が評価し、地域の意見を反映させる。申請の締め切りは前年度の12月末で、8、9月末としていた地域独自の予算よりも期間を長くした。
新たな観点で創設する「(仮称)まちづくりスタートアップ補助金」は、新規事業の立ち上げに必要な初期費用を補助する制度。構成員2人の小さな団体や区域を限定しない活動も対象とし、10万円程度の定額を補助する。審査は市が行う。
新たな支援制度案は各地域協議会や市議会での説明を終え、市は寄せられた意見を踏まえ、最終的な制度設計を行っている。
7月28日の定例会見で小菅淳一市長は「市長に就任してから地域活動の支援についてはいろいろ考え、アイデアも出している。来年度予算からきっちり始められるようにしたい。(まちづくりスタートアップ補助金は)若い人や少人数のグループで何かやってみたい、地域協議会を通すまでもない小さなものでも始めたいという芽を育てたい」と話した。