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静岡の高校サッカー界が一番熱かった時代を知るフリーアナ木田吉彦さん!「印象的な選手は…」「忘れられない試合は…」

アットエス

SBSラジオの静岡サッカー熱血応援番組「ヒデとキトーのFooTALK!」に、元静岡第一テレビアナウンサーで、現在はフリーで活躍されている木田吉彦さんをお招きしました。聞き手はパーソナリティのペナルティ・ヒデさんと鬼頭里枝さん(2024年7月2日放送)

鬼頭:木田さんは元静岡第一テレビのアナウンサーで、日本初のサッカー情報番組「KICK  OFF」のキャスターを務めていました。何年担当されたのでしょうか。

木田:トータルで10年ですね。2代目と4代目を担当しました。一旦、2代目でお別れしたのですが、3代目が1年で、4代目でまた戻ってきました。

ヒデ:10年は番組としては長いですよね。ご自身もサッカー少年だったんですか?

木田:全く違うんですよ。実は私、関西出身で野球少年でした。

ヒデ:当時の日本は野球中心でしたからね。どういう経緯で静岡に。

木田:本当は物書きをやりたくてマスコミの報道か制作へと思っていたんですが、テレビ番組が募集していた学生リポーターに受かりまして、いつの間にかアナウンス講習会みたいなものに残って。静岡第一テレビからも声を掛けていただいたという流れです。

ヒデ:最初は大変だったのでは。

木田:その当時、サッカーは関西では盛んではありませんでした。4月に入社して7月に番組のキャスターをやることになったんですが、何もサッカーのことを分からない状態で実況をやれと言われて、「蹴った! 蹴った! 蹴った!」 のような感じでした。

ヒデ:やったことないスポーツを実況するのは大変ですよね。

木田:静岡に来て、高校サッカー熱にもびっくりしました。

ヒデ:他の地域よりアンテナが高いので、「こいつ知らないな」とバレてしまいますね。

木田:もっとびっくりしたのは結構年配の方も詳しいということ。監督が何人もいるということなんです。

ヒデ:これが静岡の良さであり恐ろしさであり…(笑)

高校時代のペナルティ2人を知っていた?

鬼頭:木田さんは高校時代のヒデさんのことをご存じだったんですよね?

木田:私は1989年に入社したんですけど、ヒデさん(市立船橋高校出身)は1988年度の第67回全国高校サッカー選手権で準優勝されてますよね。(清水商業が1−0で優勝した試合を)僕はテレビで見ていましたが、あの時の国立の雰囲気はすごかったですよね。

1988年度の第67回全国高校サッカー選手権決勝 清水商業ー市立船橋


ヒデ:うれしい…。

木田:ちょうど(相方の)ワッキーさんが1990年度の第69回大会で清水商業高(現清水桜が丘高)と対戦した時は、私は応援席リポーターをしていたんですよ。名波浩選手をずっとマークしている嫌な選手がいるなと思ったらワッキーさんでした。

ヒデ:私たちはコンビで静岡の高校に勝てなかったということなんです。だから、やっぱり静岡は強くあってほしい…。木田さんはそんな強い子どもたちを育てたお一人でもあります。

木田:私が担当を始めたのは藤田俊哉さんが高校3年生の時で、キャスターを終えたのが小野伸二選手などのゴールデンエイジの時でした。時代に恵まれました。

ヒデ:一番熱い時代を担当されてたんですね。反響もすごかったでしょう。

木田:どこにいっても 「キックオフ を言ってくれ」と言われて…(笑)

史上最強チーム、清水商業の慟哭を忘れない

ヒデ:どの試合が一番思い出に残っていますか?

木田:一番印象に残っている試合は1989年度の高校サッカー選手権静岡県大会の準決勝なんですよ。

清水商業(現・清水桜が丘)と清水東の試合で、0-0のままPK戦にもつれ込みました。その頃、清商は史上最強チームと言われていました。ウイングに山田隆裕さんがいて、センターフォワードに田光仁重さんがいて、中盤にはのちの日本代表が3人も。藤田俊哉さん、2年生だった名波浩さん、1年生だった望月重良さん。さらにディフェンスには大岩剛さんが。

鬼頭:すごい…みんな日本代表ですね。

木田:清水東の中盤には野々村芳和さん(Jリーグチェアマン)、ディフェンスには相馬直樹さん、斉藤俊秀さんがいて、すごい試合でした。会場が殺気立ってたんですよ。だって、事実上の全国大会の決勝戦みたいなものがなんと県予選の準決勝で…。

ヒデ:これは酷だなあ。

木田:しかも両チームとも点が入らない。清商が有利と言われていても、清商と対戦する時の清水東は違うんですよ。0-0からのPK戦で最後清水東が勝ったのですが、その時の清水商業の選手たちの慟哭(どうこく)をいまだに覚えています。

ヒデ:殺気立ったあとの慟哭ですもんね…。

木田:もうこの世の終わりなんじゃないかというくらいの…やはり悲しみというのでしょうか。

ヒデ:そこに集約されてるんでしょうね。

1989年度の高校選手権県大会で優勝した清水東のメンバー


木田:清水東対東海第一(現・東海大翔洋)の決勝も素晴らしかったです。東海第一には森島寛晃さんや服部年宏さんがいました。のちの日本代表がわんさかいるような状況だったんですよね。

ヒデ:しびれますねえ。

小野伸二と川口能活

鬼頭:ほかに印象的な選手を教えてください。

木田:なんと言っても小野伸二選手。

鬼頭:みんな言う!

ヒデ:僕も天才だと思う。

木田:すごい選手が清商に入ったという話は聞いていたんですね。大瀧雅良監督が「サッカーを知らない人にもこの選手を見せたい」と言ったくらいの選手です。普通、パスコースって2つ3つのところが、小野伸二にかかれば6つ8つになるって言われていたんです。

ヒデ:左右だけでなく、上下もあるんですよね。

木田:色々な部分が見えていて、パスも人に優しい。

ヒデ:キラーパスではなくて、取りやすいボール、受けやすいボール、シュートを打ちやすいボール、繋げやすいボール…これができる人でしたもんね。

鬼頭:ピッチ外の小野さんに実際に何回も会ったことがあると思いますが、どのような方でしたか?

木田:本当に昔から親孝行のできる選手でした。昔は今ほどしゃべらなくて大人しい感じでしたが、お母さんに話を聞くと、10人兄弟の中でも親孝行だという話が必ず出るくらいでした。

鬼頭:貧しかったから家族のためにというお話を当時からおっしゃってましたからね。小野さん以外に、ほかには?

1993年度の第72回全国高校選手権で優勝して喜ぶ川口能活さん(右)


木田:いろんな選手のプレーが記憶に残っていますが、川口能活っていう選手も思い出深いです。

大瀧監督は当時「大人の話ができる選手だ」とおっしゃっていました。結構いろいろなやんちゃな選手がいましたが、川口選手がいることでチームもまとまった。清商が全国優勝した時に大瀧監督が「もう能活が…」と涙した理由はそこにあるんですよね。

高校ごとに“カラー”があった

木田:高校によっても、それぞれ個性がありました。静岡学園の選手は昔、やんちゃな選手が多かったんです。遠征試合が終わって選手たちがバスに乗り込む時、のちに横浜フリューゲルスに入団した桜井孝司選手が「木田さん」って呼ぶから「いいネタをくれるのかな」と行ってみたら、「今日赤羽に泊まるんだけど、良いお店知ってる?」って(笑)

ヒデ:サラリーマンの感じ〜。だから、カラーなんですよね! これが面白かったんですよね。

鬼頭:それから20年、30年経った今の静岡の高校サッカーをどんな風にご覧になっているんですか?

木田:昔は少年サッカーからトップまで静岡が優勝するのが普通みたいになってましたが、今はそうはいかない。Jリーグのユースを含めていろんな選択肢があって、全国的にもレベルが上がったので、静岡のサッカーがなかなか勝てなくなった。難しい時代だと思います。

アスルクラロ沼津で「勝利の実況」

ヒデ:逆に今のJリーグはどうですか。

木田:地元が生んだ選手が地元チームで活躍するのを見たいなと。

鬼頭:木田さんはDAZN(ダゾーン)でアスルクラロ沼津のホーム戦を担当されていて、今シーズンは木田さんが実況した試合は7勝1分け!勝利の実況!最近のアスルクラロ沼津はどうですか。

木田:ポゼッション率はリーグナンバー1なんですけど、フィニッシュがなかなか上手くいかないんですよね。前半の得点が少なくて、後半の得点が全得点の83%。ただ、やはり前半から得点を取らないと試合が難しくなってしまいます。あとは、下位チーム相手に取りこぼしがなければ、もうちょっと安定して成績が残せるのかなという感じがしますね。

ヒデ:現在は大宮がダントツで1位で、2位をキープしています。

木田:ただ、まだ混戦状態ですね。

「時代に恵まれていた」

ヒデ:さあ、これからの木田さんの夢や目標を聞かせてください。

木田:現在58歳。私は時代に恵まれていました。その分、これからどうやってサッカーを通じて恩返しするか、これからどうやって貢献できるかということを考えています。

ヒデ:2回目の「KICK OFF」みたいなことですね。最後に皆さんにメッセージを。

木田:試合会場にいますので、気軽に声をかけていただけたらなと思います。昔話に花を咲かせるのもいいかなと思っています。

ヒデ:最後に、あの言葉をください!!

木田:いきましょう。今日も一日元気に…キックオフ!
 

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