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シリーズ歴代No.1スタート‼ 劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』監督・重原克也インタビュー①

Febri

TOPICS2025.05.22 │ 12:00

シリーズ歴代No.1スタート‼ 劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』監督・重原克也インタビュー①


長野県警・大和敢助(やまとかんすけ)の隻眼に秘められたミステリーと壮絶なアクションで、シリーズ歴代No.1スタートを記録した劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』。演出として数々の名作に携わり、今回満を持して監督を務めた重原克也(しげはらかつや)が語る制作秘話や演出術を、全3回でお届けする。第1回は、物語の発端と長野県警チームの魅力について。

取材・文/高野麻衣

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック) 』インタビュー_TOPICS重原克也

初めての演出は『ゼロの執行人』(2018年)のクライマックスシーン

――これまで演出として劇場版に関わってきた重原監督。今回、監督としての初参加はどのような経緯で決定したのでしょうか?
重原 最初にお話をいただいたのは、演出で参加した『黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』(2023年)のときです。キャラクターデザイン・総作画監督の須藤昌朋(すどうまさとも)さんと打合わせをしたあと、世間話みたいに「再来年の監督がまだ決まっていない。よかったらどう?」と言われたんです。須藤さんはかなり気さくな人なので、僕も「ちょっと考えときます」みたいに、軽く答えた気がします。もちろん、正式なオファーではなかったし、同席していたプロデューサーの岡田悠平(おかだゆうへい)さんから「青山(剛昌)先生の許可が取れたら、正式にお願いします」と言われたときも、あんまり信じていなかった(笑)。それが決定して、すぐ青山先生に挨拶に行ったのですが、その場に櫻井(武晴)さんも小学館の皆さんもおられて「ストーリーを進めていきましょう」となって。会うまではフワッとしていたんですけど、そこからすぐ「さあ、仕事するぞ」というモードに入っていきましたね。

――監督が最初に演出を担当したのは、2018年の『ゼロの執行人』。そこから数年で、スタッフの皆さんとの信頼関係ができていたわけですね。
重原 そうですね。でも『ゼロの執行人』で最初に参加したときは、「自分でいいんですか?」という感じでした。その時点で、すでに20作以上続いているシリーズじゃないですか。長年参加している方がたくさんいる現場なので、とても緊張しました。おまけに、担当したのが作品終盤、コナンの「安室さん、今度は僕の協力者になってもらうよ」から「買い被りすぎだよ」でエンディングに入るまでの一連のクライマックスシーンだったんです。「え、いきなりここが、僕でいいんですか?」みたいな(笑)。

――それはすごい初体験でしたね!
重原 はい、びっくりしました。「僕の恋人はこの国さ」という、安室の決めゼリフがあるじゃないですか。あの場面で青山先生の絵、いわゆる「青山原画」も初めて体感しました。「ああ、青山先生はこういう原画を描かれるんだ」と。そういう経験は貴重でしたね。

長野県警の話にするなら、やっぱり「大和敢助」

――そうした経験が『隻眼の残像』へとつながっているのですね。今回、青山先生たちと顔合わせの時点で、企画はどのあたりまで固まっていたのでしょうか?
重原 長野県警の話にしよう、というのは事前に決まっていました。じゃあ、長野県警で何をするか。話はそこからでしたね。やっぱりメインとしては、大和敢助の過去がいちばん面白い。原作で数コマだけ書かれている文章を元に、「何カ月か前の話だよね」「雪山が舞台で、雪崩(なだれ)が出てくるよね」という基本線を出して、それありきでプロットを考えましょうというスタートでした。

――毛利小五郎が元同僚・鮫谷(さめたに)を「ワニ」と呼ぶエピソードなど、青山先生のアイデアなのかなと思わせる仕掛けもありましたが、実際のやり取りはどうでしたか?
重原 あだ名の話は、たしか最初に櫻井さんが別な呼び方で発言されたと思います。その後、青山さんが「鮫」から「ワニ」のあだ名を提案されて「いいね!」とぽんぽん進んでいった記憶があります。青山先生からはやっぱり「ラブコメ要素を入れたい」「アクションもしっかり入れたい」というご提案がありました。あと、今回は敢助の話である以上、過去に雪崩に巻き込まれたことは決まっていましたから、『沈黙の15分(ちんもくのクォーター)』(2011年)と似たような感じにならないよう、どうにか差別化したい」という話もありましたね。そんなやりとりから、櫻井さんがまず大枠を考えて、そこにまた青山先生が「敢助ならたぶんこう言う」「(上原)由衣(うえはらゆい)と敢助ならこういうやり取りがいい」と提案する。青山先生は、キャラの設定の詰め方やセリフは必ずチェックされていました。

使えるものは何でも使う、大和敢助の魅力

――櫻井さんのインタビューでは「大人の警察ドラマを目指した」という言葉も印象的でしたが、監督はどんな第一印象でしたか?
重原 メインが長野県警で、脚本が櫻井さんとなったら、もう絶対大人なドラマになるだろうというのは覚悟していました(笑)。そうなると、現場としては結構大変なんです。黒ずくめの組織と違って、警察に関してあまり嘘をつくわけにはいかないし、フィクション感を強くすることができませんから。とくに長野県警は「動」のキャラクターではないので、アクションシーンも、ある程度実写で可能な範囲でないとボロが出てしまいます。敢助のように杖を使用している人ならば、これくらいしか動けない、とかですね。

――たしかにそうですね! そんな敢助が、劇中何度もピンチに陥(おちい)る様子は、見ていてハラハラしました。
重原 敢助の動きはかなり意識しましたからね。本編で敢助が生身で走っている描写はないはずです。地形を利用したり、諸伏高明(もろふしたかあき)を頼ったりしますが、生身ではない。最後に車を利用することになったのも、敢助ならこうするしかないっていう当然の帰結でした。そういうリアリティは、気をつけて描きましたね。

――その不自由さを、敢助は頭脳でカバーするわけですね。頭脳と、仲間で。
重原 そうですね。「使えるものは何でも使う」みたいな、そこが彼の魅力です。

狙って描いた高明の乱れた前髪

――長野県警は、幼なじみの3人がチームを組んでいるところも魅力的ですが、彼らについての印象はどうでしたか?
重原 深掘りできる余地が、いっぱいあるキャラクターたちだと思いました。年齢的にも大人ですし、いろいろな過去がありそうだけど、3人とも自分語りをするキャラじゃない。原作もそうですけど、他のキャラのセリフから「察して読み取る」場面が多いじゃないですか。そこがいいですよね。あと、3人のチーム感は僕もすごくいいなと思って、その空気感は本編でも意識して描いています。敢助と高明は一見いがみ合っているのに、本当は互いを信頼している。そして口では言わないけど行動で示す。そういうバディ的な感じは、意識してなるべく取り入れましたね。

――バディな感じ、伝わりました。いつも隙なく身支度している高明が、終盤は髪を乱してアクションする姿も新鮮で、ときめいた方も多いのではないでしょうか?
重原 乱れた前髪は、まさに狙って描きました(笑)。気づいてくださったらうれしいです。

重原克也しげはらかつや アニメーション監督。主な参加作品は『モブサイコ100』、『勇気爆発バーンブレイバーン』など。2018年『名探偵コナン ゼロの執行人』よりシリーズの演出を手がけ、『名探偵コナン 隻眼の残像』で初監督を務める。中編(②)へ続く作品情報

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©2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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