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【福岡・居心地抜群の小バコ】喫茶店や食堂のカレー感覚で楽しむ、スパイス仕立ての「カレーライス」

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ロールスアイキャッチ

平尾の豆腐店「豆藤」の一角にある小さなテナント前に、「カレー」ののぼりが立ち始めたのは1月のことでした。のぼりの主は「curry & rice ロールス」。カレーマニアの方ならピンとくるかもしれません。南区那の川四角そばにある「キッチン菜の香」で昨年6月から間借り営業をしていたカレー店が、ここに実店舗を構えたのです。

扉を開くとカウンター6席、テーブル2席のコンパクトなスペースが出現しました。ややレトロ感があり、街の小さな喫茶店という印象です。「前に入っていたお店がサンドイッチバーでした。この雰囲気を残したくて、内装はほぼ変えていません」と店主・園井康太郎さんは話します。

園井さんがカレーに目覚めたのは約10年前のことでした。「それまで久留米の実家に住んでいて、いわゆる『おうちカレー』やインド系チェーン店のカレーしか食べたことがありませんでした。福岡に引っ越してきて『ガラム』で初めてスパイスカレーを食べたとき、それはもう衝撃でした」。もともと料理を作るのが好きで自分でもカレーを作りはじめ、8年ほど経った頃にお店をもちたいと考え始めたそうです。コロナ禍とタイミングが重なり一度諦めかけましたが、「40歳までに自分のやりたいことをやりたい!」と一念発起し、13年間勤めていた会社を退社。飲食業の経験がなかったため半年間「ヌワラエリア」でバイトをしたうえで間借り営業をスタートし、並行して「豆藤」でバイトを始めたのが縁となりこの店のオープンにつながりました。

お店のサイズに比例してキッチンも当然狭く、1日1種類ずつ仕込んで1晩寝かせたルウを順繰りに出しているそうです。現在、提供しているカレーは長年作り続け、改良を重ねたという3種類です。いずれもスパイスを駆使していますが、園井さんのこだわりは、あくまでもカレーライスであること。「スパイスカレーでありながら、喫茶店や食堂のカレーライスのような気軽に食べられるものにしたいんです」と園井さん。シンプルでバランスよさを重視し、また1000円前後で提供できることを大切にされています。

3種類なら制覇したい!と、友人とシェア前提ですべて注文しました。食べる順番は、園井さんにおまかせです。

まずは、定番の味という「スパイスチキンカレー」(900円)です。ルウだけ一口食べてみると、けっこうピリッとスパイシー。でも、その後に広がる甘味と旨味によって刺激は緩和されます。スパイスを10数種類使い、たっぷりのタマネギを時間をかけてじっくり炒めるという結果ゆえのバランスなのでしょう。手羽元を使ったチキンはホロホロに煮込まれ肉離れがよく、スプーンでほぐして食べられます。1度グリルしてから煮込むことでこの柔らかさが生まれ、また肉の臭みもなくなるそうです。

「なにしろカレーライスですから」とライスも日本米にこだわります。とある技を使い固めに炊き上げられているので汁気が多いルウでもべちゃとならず、バスマティ米にも匹敵するルウとの相性のよさです。

2皿目は、1番人気の「ポークドピアザ」(1200円)です。「ドピアザ」は北インドのカレーで「ド」は2、「ピアザ」はタマネギを意味しており、つまりルウのベースにも具材にもタマネギを使うカレーだそうです。具材のタマネギとピーマンは注文が入ってからさっと炒めてルウに加えるので、野菜の新鮮な風味が前面に出てスパイシーだけどマイルドな味わい。ゴロゴロ入った豚スペアリブは食べ応えがあり、また味の深みにも一役買っています。

そして最後は「パラクキーマ」(1000円)です。「ロールス」ではホールスパイスを焙煎してフレッシュな香りや味を生み出しているのですが、それが一番感じられるのがこのカレーではないでしょうか。ベースにホウレン草、ミンチは鶏肉を使ってヘルシーではありますが、かなりスパイシーでコクもあります。ビールによく合うカレーとしてもおすすめされていますよ。

ちなみに注文は食券制で、この気軽さも食堂的ですよね。そして、よく見たら「チリチキン」(手羽元2本350円)、「スパイスポテサラ」(200円)などのおつまみもあるではないですか。「『ロールス』の名前は『ローリングストーン』から来ています。転がる石のようにくるくると、『カレー&食堂』『カレー&スナック』『カレー&コーヒー』と、どうにでも使ってもらえるお店でありたくて」と園井さん。ここで楽しむのはカレーだけにあらず……小さい中にもポテンシャルを感じさせてくれるお店です。

curry and rice ロールス
福岡市中央区平尾2-14-20
営業時間/11:00〜20:00

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