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『正直不動産』ドラマを面白くする役者の名演、山下智久らの緩急に魅せられて

ドワンゴジェイピー

『正直不動産』ドラマを面白くする役者の名演、山下智久らの緩急に魅せられて

スマイルは?


毎週火曜よる10時から放送中のNHKドラマ10『正直不動産』。「毎回面白い!」「毎回泣けます」「推しポイントが多い」「名作」と、SNSではとにかく賛辞が並ぶ。現在、全10話のうち第6話までが放送されているが、NHKでは予想をこえる再放送への要望があったとして、2度目の連続再放送が決定。18日第7話放送後の深夜から、3日間かけて3話~6話を再放送する(再放送の日程は本文後に詳しく記載)。


“たたり”によって嘘がつけない体になってしまった登坂不動産の営業マン・永瀬財地(山下智久)は、嘘をついたり本音を黙っておこうとすると顔に風が吹き、客に言わなくてもいいことまでペラペラ。おかげで客は激怒したり、契約寸前の案件も台なしに。しかしその“正直営業”が痛快で、感動の人間ドラマを生む。


毎週多くの視聴者を楽しませている『正直不動産』だが、ストーリーや脚本、演出の妙はもちろんのこと、主演の山下智久をはじめとしたキャストの演技がまた魅力的だ。

回が進むにつれて、楽しさもあるなかで心にグッとくる度合も深くなっている印象。後半戦に突入した先週の第6話は「神回」という声も上がり、山下智久と市原隼人の緩急のある芝居に引き込まれ、楽しんでいるうちに、やがて心の奥で感動し続けてしまった。ストーリーの緩急と役者の演技の緩急がハマると、ドラマはこんなにも面白くなるのか、と実感した回でもある。(※以下、第6話のネタバレあり)



第6話、「竹鶴工務店が、所有する土地に家を複数建てるので、その家を売りさばく」というのが永瀬(山下智久)と桐山(市原隼人)の二人に任せられた案件。桐山は永瀬をライバル視し、二人はもともとバチバチな関係。桐山にはスパイ疑惑も浮上していた。竹鶴工務店は業績も悪く、下請けに安い金額で建築を丸投げしようとしているクソ会社。「営業するだけ時間の無駄」だと食い気味に永瀬に切り込む桐山の眼光は鋭い。それに対し永瀬は、「絶対に売れない物件なんてない」「客のニーズに合わせて売るのが俺たち営業の仕事でしょ」と桐谷を諭すように言う口調や表情には、余裕と熱さが同居。


そこから10秒、月下の怯えるカットも挟みながら見つめ合って目で戦う二人。飄々としたところと熱さのバランスが絶妙な山下智久。デキる自信と隙のなさの中に危うさを漂わす市原隼人。第6話の始まりとともに二人の演技合戦の幕も開いた。


と思ったら…

永瀬「よし 行こうか」
桐山(目を逸らす桐山)
永瀬「スマイル。ハッ」(←これ反則キラースマイル)
桐山「はぁ…。」
永瀬「はいはい。」


まずは、山下がコメディの巧さを挟んでくる。「スマイル」を桐山に促すと、一瞬で口角を上げて少し眉も上げて「ハッ」とスマイルのお手本。桐山塩対応のあとの「はいはい」のびっくりするほどのテンションの低さ。その間も絶妙で、何度見てもクスッと笑ってしまうシーンに。


かつてはセールストークで客に調子のいいことを言って営業成績No.1だった永瀬だが、本音しか話さず成績は下がる一方。そんな永瀬に桐山は疑問を持っている。夢みる客に現実をまくしたて、いらぬことまでいってしまったグッナイ状態の永瀬に、桐山は「何で あんなこと言ったんです?」と問うが、「すいません。何で あんなこと言ったんでしょう?」。永瀬のため息に、桐山は驚いたように少しだけ目が泳ぐ。普段本心をなかなか見せない桐山だけに、そのわずかな変化が人間らしく感じられ、「実はいい人?」「実は心配してる?」といろんな想像をさせてくれる。永瀬が下請け会社に建築プランの見直しを頼みに行こうと誘い、桐山に「ほら行くぞ。ほい ほい。よし!」とスーツの上着をかけてあげる場面でも、桐山は目が泳いで戸惑ったような態度。どこか可愛げがあるのだ。


桐山がスパイなのか確かめようと、部長が思いついた“妙案”会社飲み。永瀬は神妙な面持ちで枝豆をつまみながら、心の声で部長をディスり、酒が強いともてはやされる桐山に対抗心を燃やしてビールをグイっ。最終的には、酔った榎本さん(泉里香)に「ちょっとぐれえ顔がいいからって調子に乗ってんじゃねぞ タコスケが!」と絡まれタジタジ。このドラマ、「顔がいい」というワードがちょこちょこ出てくるが、山下の整ったルックスで暴言を吐いたりコミカルな表情をするから、そのギャップがまた余計に笑いを生む。


屋上で永瀬が桐山の胸ぐらをつかんで詰め寄るシーン。画面には二人のアップ。「迫力あった」「男同士の心のぶつかり合い」「山下智久×市原隼人はマジで強い…」と反響を呼んだ二人のシーンだが、この回の結末を知ってから、もう一度見てみると(特に桐山の事情を知ってから見ると)二人がそれぞれの経験を背負ってぶつかっていることが分かる。実際に自分が否応なく“変わり”、そのことで分かった信念をストレートにぶつける永瀬。“人は簡単に変われない”ことを父親と自分の人生で痛感してきている桐山は、それを“きれいごと”だと言う。山下はギリギリのところで昂る気持ちを抑え込めたような口調で本心を響かせ、市原は独特の低いトーンで殺気立ったようでいて悲痛な言葉を静かに放つ。緊迫感のあるぶつかり合い、にらみ合いは見応え充分だった。


ドラマではここから桐山の過去が明かされ、桐山の人間性についても、月下が不正ではないかと疑った物件の契約内容を永瀬が読み解くことで、桐山がお客のことを一番に考えていたことが判明する。カスタマーファーストを掲げる月下(福原遥)が、永瀬の言葉を聞きながら自分の未熟さを痛感し、桐山を疑ってしまったことを悔いる表情もまた心に迫るものがあった。桐山も、永瀬とともに行動する中で、心を動かしていく。


永瀬「行くか!」
桐山「スマイルは?」
永瀬「今日は なし。」(←ここも反則)
桐山「あっ そう。」


永瀬は口では「スマイルなし」と言ったが、ちょっとだけ永瀬の口元は嬉しそうに緩んでいた。
そうやって臨んだ、今回の案件の最後の関門・竹鶴工務店の説得。永瀬の熱弁は桐山の過去の無念も包み込む。横で聞きながら静かに目頭が熱くなり少し歯をくいしばったように見えた桐山の姿は、心の奥にそっと感動を与え続けてくれた。


次にビルの屋上で映った桐山は、とても穏やかな表情をしていた。桐山の本当の思いを聞き、「あのさ…。」といった後、永瀬はふっと笑って砕けた調子で「そういうこともっと早く言ってよ。張り合ってた俺が バカみたいじゃん」。桐山の笑みにも嘘がなく、二人のバディ最強!と思った瞬間、まさかの展開。「俺は お前と仕事がしたい。やめるな 桐山」。永瀬の言葉は、とても自然で正直に響いた。


キャストの演技(本当はもっともっと他のキャストについても触れたいが)と物語の緩急がハマり、引きつけられ、またもあっという間に終わった『正直不動産』第6話。今夜の第7話は、若い頃の永瀬も登場!?引き続き目が離せない。


文:長谷川裕桃


第7話あらすじ

スパイ騒動は、ミネルヴァ不動産の仕業だった。営業成績の振るわない登坂の営業課長を金で引き込んでいたのだ。退職した課長に代わり、課長代理に抜擢された永瀬(山下智久)だったが、事務作業に追われる一方、うそを連発していた過去の契約者からのクレームが次々と舞い込んでくる。そんな時、メインバンクの融資課・榎本美波(泉里香)が永瀬を訪ねてくる。美波はある定年夫婦の自宅売却に絡み、永瀬に協力を求めてきたのだが…


■ドラマ10「正直不動産」
第7話:2022年5月17日(火)総合 よる10時~10時45分


再放送日程

▼第3話 5月18日(水) 午前2:05~2:50(火曜深夜)
▼第4話 5月19日(木) 午前2:10~2:55(水曜深夜)
▼第5話 5月20日(金) 午前1:55~2:40(木曜深夜)
▼第6話 5月20日(金) 午前2:40~3:25(木曜深夜)

※再放送から1週間、「NHKプラス」で見放題に(20~24日夜まで、3~7話がそろいます)
※「NHKオンデマンド」では、全話視聴することができます


(C)NHK

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