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ロシオ・モリーナ、フラメンコ・フェスティバルでの最優秀作品を携え5年ぶりに来日 ドキュメンタリー映画公開も

SPICE

2020年3月7日(土)、フラメンコダンサー ロシオ・モリーナが5年ぶりに来日する。日本青年館ホール開催される来日公演に向け、ロシオのプチインタビューが到着した。

ロシオ・モリーナは1984年スペイン・マラガ生まれ。2010年には、26 歳という若さでスペイン芸術界でもっとも栄誉ある「PremioNacional de Danza 2010 (スペイン国家 舞踊賞)」を受賞。伝統的なフラメンコを尊重しつつ、映画や哲学、文学といった他ジャンルの影響を受けて作り出される作品は、挑戦的な振り付けと高度なテクニックを駆使しており、世界各国を魅了している。

今回の上演項目は『Caida del Cielo(カイーダ・デル・シエロ)』。2016年パリのシャイヨー国立舞踊劇場で初演され、翌年には2年に一度、スペインのセビージャで開催されるフラメンコ・フェスティバル「ビエナル・デ・セビージャ」で上演。ダンサー及び振付師として最優秀賞を受賞した作品だ。白いドレスで登場し、舞台上で衣装チェンジを繰り返し、終盤にはペインティングをしながら舞台上を舞う。見たことのないステージが各国で評判と衝撃を与え続けている作品だという。

今回のショーの原点は、作品制作に入る1年以上前にあったとロシオは言う。パリの女性刑務所で公演をしたとき、もう二度と外の世界に出ることはないと知っている受刑者も、もちろん起床し、1日を過ごす。ある女性受刑者に、その力はどこからくるのか、と尋ねたところ、答えは卵巣から。「それからその言葉がずっと私の奥深くに残っていたのです」と彼女は語る。女性であることの意味を深く考えさせられ、突きつけられる言葉である。そこから、彼女自身の性別を深く意識した本作品が生まれた。

また、ロシオはフラメンコ以外のジャンルのダンスはもちろん、他の芸術文化にも影響を受けると言うが、今回は絵画にもポイントがあったようで、「ルネサンス期に活躍した画家、ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』にもインスパイアされました。私はいつも、作品を制作するとき、暗い部分に注目するのですが、痛みを伴うこと、悲劇的なことに、人生が映っていると思うのです。まさにフラメンコも、苦しみの中から"宴"が生まれています」と話してくれた。暗い部分に焦点を当て、その中に人生を見出し、時にはくすっと笑えるユーモアをもってステージを舞う。彼女ならではの人生の賛美ではないだろうか。


フラメンコを軸としつつも、様々な要素を柔軟に取り入れる彼女のステージや言葉からは、常に挑戦することの美しさを感じる。しかし挑戦することは、時に保守派からの批判を伴う。「世間の意見などはどうでもいいのです。なぜなら私は、私に必要なこと、私が信じていることをやっているのですから。いい時もそうでない時もあります。でも、どんなかたちで、どんなスタイルだろうと、誠実で本物であれば。」挑戦をして例え間違えたとしても、それは必要な事であり、まずは取組みや姿勢を自身で認め、誠実に向き合うことで強さを保つことができるのだろう。

また、彼女は他のダンサーと比べ、即興で踊ることが多いのが特徴とされているが、今回も例外ではない。「最初の15分間は即興を混ぜた踊りです。(日本青年館ホールは)大きな会場ですが、観客のエネルギーが踊りに影響を与えてくるということもあるかと思います」と語る。そして日本文化の大ファンというロシオ。食事も文化も好きで楽しみだとしつつも、最も大きく言及したのは観客についてだった。「日本の観客はとても静かですね。とても統制がとれていて、驚かされるくらいに!2000人収容の劇場が15分で全員着席してしまうって、本当に信じられない」そして、こう続ける。「『Caida del Cielo』は少し、日本の観客の皆さんには難しいと思われるかもしれません。しかしあるがままを感じられるように、自分を解放して、楽しんで頂けることを願っています」。伝統を踏襲し、敬意を表しつつも、“今日という新しい毎日を踊るロシオを目の当たりにし、きっと大きな感動と勇気をもらえるだろう。一日限りのスペシャルな公演を見逃すことなく、全身で受け止めてほしい。

フラメンコ研究家 志風 恭子コメント

ロシオ・モリーナの登場は衝撃的だった。どんなジャンルでもスターが生まれにくい時代に、突然現れた二十歳そこそこの小柄な女の子は、抜群の身体能力と卓越したそのテクニック、生まれ持ったカリスマ性で観客を圧倒した。26歳の若さでスペイン国家舞踊賞を受賞。これまでに十を超える話題作、問題作を世に送り出してきた。

彼女の一挙一動は常に注目の的だ。2016年に初演された『カイーダ・デル・シエロ』は、「この作品の力は私の卵巣、子宮から生まれた」とロシオが語るように、今までの作品以上に、女性であること、を意識したものとなっている。伝統的なフラメンコやスペイン舞踊をきちんと学んだ人だが、伝統の枠にとらわれることなく、演劇やコンテンポラリーダンスなど、様々な要素を取り入れて、自由な発想でロシオ・モリーナならではの世界を描き出していく。

驚きと感動、そしてユーモア。ロシオを見ることなくして、フラメンコの今は語れない。勇敢で力強く、前を向いて歩き続けるロシオの世界を間近に感じてほしい。

なお、本作の初上演までに密着したドキュメンタリー映画『衝動―世界で唯一のダンサオーラ』(東劇、東京都写真美術館ホールほか全国順次公開)が2020年3月13日(金)より上映されることが決定している。

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