驚愕!フレンチコース2,000円+グラスワイン200円【コスパ抜群のご褒美ランチ】《福岡市南区》
「LE COLVERT」は、クラシックフレンチの流れを汲む料理を気軽に楽しめるレストランです。西鉄高宮駅から徒歩2分の好立地に登場したのが12年前。それから今日に至るまで、ずば抜けた満足感で常連客の厚い支持を集めています。
細い小路沿いの店ですが、目立つ看板のおかげですぐ辿り着けました。玄関先のベンチではドアマン役の鴨のぬいぐるみがお出迎え。「店名が“青首鴨”という意味なんです」とオーナーシェフの篠原竜也さん。「僕自身も鴨やジビエが大好きで、うちの自慢料理になっています」。
看板に「BISTRO」と掲げるように、テーブルとカウンターを配した店の空気はとてもフランク。「大衆食堂のつもりで使ってもらえたら嬉しいですね。正装で来られると僕の方が恐縮するので(笑)」。
目指すはリラックスした空間づくり。そんな篠原さんの想いに強烈な説得力を与えるのが、都心ではまず望めない価格設定です。ランチコースは1300円から用意され、魚と肉が付くコースも2000円・3700円とかなりお値頃。しかも電話予約の際に、店頭配布の「今月のチラシを見た」と伝えればさらに100~300円の割引が! 一体どこまで奉仕されるのかと心配しつつ(笑)、一番人気の2000円コースを注文しました。
それにしてもフルコースで2000円とはリーズナブル。正直「内容もそれなりかな」と思ったほどですが、その疑念を一瞬で吹き飛ばしたのが1品目の前菜8種盛りでした。中央の冷製スープを囲み、上から右回りにパプリカのアラビアータ、タマネギのムース、ハーブ鶏のソーセージ仕立て、レンズ豆サラダ、新ゴボウのキャラメルのサクレ、鶏胸のパプリカマヨネーズ、ポークリエットシュー、生ハムのディップ……と申し分のない顔ぶれです。
それぞれに確かな存在感があり、ランチ限定グラスワイン(何杯飲んでも1杯200円)の味も増します。一見シンプルな仕上げですが、タマネギムースの滑らかな舌触りなどから丁寧な仕込みがうかがえます。そう、然るべき品質あってのハイコスパ。これはかなりの穴場店と遭遇したかもしれません。
前菜と本日のスープを終えると、次は魚料理。今日の素材は篠原さんが釣ったという抱卵イサキで、なんたる幸運、歯応え抜群の切り身には真子と白子まで乗っています。オマール海老の出汁で炊いたリゾットとアメリケーヌソースも添えられ、これまた上質な風味が楽しめました。
聞くと篠原さんは、ハウステンボス「ホテルヨーロッパ」で古典技法を学んだのを皮切りに、大阪の有名店「シェ・ワダ」などで腕を磨いた方。なるほど、どの料理も確かなクオリティをはらんでいる訳です。
肉料理は糸島豚を合い挽きミンチで包み、網脂で巻いて焼きあげたもの。フランス南部の郷土料理カイエットをイメージした料理です。篠原さんが「この店流のハンバーグ」と語るように、親しみある美味しさが口中に充満。快い弾力のピークを引き出す火入れ具合も見事でした。
メインの肉料理は追加料金でグレードアップも可能です。これは焼いた牛スネ肉を4~5時間炊いた「和牛の赤ワイン煮込み」(+700円)で、柔らかくほぐれる肉質と甘い濃厚ソースが陶酔を誘います。他に「仔羊のロースト」(+600円)や「鴨のロースト」(+1200円、注文2人前~)も選べるとか。うーん、次はやっぱりシェフ自慢の鴨かなぁ?
これにデザートとドリンクが続き、破格のフルコースは閉幕。この内容を2000円で維持するには苦労も多いと察しますが、篠原さんは仕込みの工夫と経験で乗り切っているそうです。「ディナーでもコスパの良さは意識しますね。この値段でこれだけの皿数を出す店はないだろうって」とニッコリ。「今も料金を貰いすぎだと思うくらいです(笑)」。なんと頼もしい心意気。“普段使いの本格フレンチ”の雄として、今後も応援したい一軒です。
《LE COLVERT / ル・コルヴェール》
福岡市南区野間1-2-18 ロワールマンション高宮1F
092-554-1760
※掲載しているメニューや価格は取材時のものです。訪問する際にはお店のSNSや電話等でご確認ください。