金融庁が「高齢者向けNISA」創設を検討。同時に若年層にもアピールへ。
4月16日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏が、高齢者用のNISAの創設が検討されているというニュースについて解説した。
寺島尚正アナ「金融庁は高齢者向けのNISA・少額投資非課税制度創設する検討に入りました。2026年度の税制改正要望に盛り込む方向です。運用益などを分配金として毎月払い出す『毎月分配型』の投資信託を高齢者に限定して対象に加える案が浮上しています。『プラチナNISA』と銘打ち、高齢者が運用資産を計画的に活用できるようにします。これは自民党の資産運用立国議員連盟が明日にもまとめる提言案に盛り込み、近く政府に提出する見通しです。金融庁は毎月分配型の投信を65歳以上などに限定して、NISAの対象として認める要望を出す検討を始めました。年金を主な収入源とし、元本を取り崩すリスクがあっても毎月の生活費の下支えに繋げたいとする高齢者のニーズが強くありました。
高齢者用のNISAが検討されているということですが、森永さん、これどうでしょうね?」
森永康平「これは理屈はわかるなと思うのはですね、やっぱりこのいわゆる新NISA、昨年から始まりましたけど、基本的なスタンスというのは『長期でやりましょう』と。つまり『短期でギャンブルみたいな日計り取引はやめましょうね』っていうスタンスなんですよね。私の元にもよく寄せられる質問が、例えば自分は65歳ですとか、70歳ですっていう方が、NISAで資産運用したいってなった時に本を読むと『30年スパンで考えましょう』みたいなことを言われると。でも『多分30年後俺はいないんだ』と。『だったらNISAなんてやらない方がいいのか』って話が高齢の方から結構寄せられるんですよ。それってごもっともな意見だなって思っていて。そういう意味でいうと資産を取り崩しながら運用していくって意味で、毎月分配型の投資信託を対象にしましょうっていう理屈はわかるんです。ただ毎月分配型の投資信託って、それこそ僕が証券会社にいた2010年代とかってめちゃくちゃ流行ってたんですよ」
寺島「はい」
森永「でも結局今廃れた理由は何かっていうと、デメリットというか問題点も結構あったんですよね。つまり運用がめちゃくちゃうまくいってて、毎月利益が凄い出ていると。その利益の一部を分配金として投資してる人に配当していくっていうんだったら全然問題は無いと思うんですけど、実態は何かというと投資っていうのは必ずしもうまくいくわけじゃないので、運用している資産も含めて取り崩して分配金で出してしまっているケースがあって。そうするとある意味『タコ配』っていうんですけど、自分が100万円投資してその100万円のうち10万円を取り崩して配当されたらまったく意味無いじゃないですか」
寺島「そうですよね!」
森永「『何なのこれ?』って話で。しかもその間運用しているコストも取られてしまうわけです。ただ投資のリテラシーが高くないとそれが行われているってことに気付けないんですよ。分配金のどこが原資になっているか、こういうのがわからない高齢者に証券会社がある意味わからないのを利用して営業しまくったっていうのもあって、今回私はNISAとかに入ってなかったんですよね。それをこの『プラチナNISA』ですか?始めちゃうと、同じようなことが再び起こってしまうんじゃないかな?という懸念はありますね」
寺島「金融庁は若年層が使いやすくなる仕組みも検討するとしています。このNISA、2024年1月の新制度開始に伴って18歳以上に限定。未成年を対象にした従来制度の『ジュニアNISA』は、払い出しが出来る年齢が制限されていたことなどから、広がりを欠いて現在は廃止されているといいます。議連は120万円までの積み立て投資枠の対象を18歳未満にも広げるように提言する方向だということです」