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「モハ1形103号」お披露目式開催 日本工業大学で静態保存、内覧会も検討中

鉄道チャンネル

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テープカットの様子

2020年2月7日(金)日本工業大学にて、昨年引退した箱根登山鉄道の「モハ1形103号」お披露目式および内覧会が行われました。

日本工業大学に寄贈されたモハ1形103号
ラストラン時の装飾が残されている

学校法人日本工業大学理事長 柳澤章氏はモハ1形103号を「大変カラフルで可愛らしいお嫁さん」と表現。工業技術博物館で動態保存されているSL2109号とともに「看板コンビとして末永く愛され活躍してほしい。これからも心を込めてお世話をさせていただくので、どうかご安心いただきたい」と語りました。

日本工業大学学長 成田健一氏は昨年行われた車両の輸送に際し、深夜にもかかわらず大勢の方が詰めかけて盛り上がったことから「金額では表せない、プライスレスなものを寄贈いただいた」と実感したと話し、「大学らしい形で地域の方も含めてたくさんの方に愛されるように、車両を大切にしていきたい」と述べました。

くす玉割の様子

モハ1形103号は工業技術博物館前で静態保存・一般公開されるだけでなく、学習教材としても活用される予定です。昔の機械は原理や構造が分かりやすく、写真で見るだけでなく現物を手に取ることで当時の技術の素晴らしさを確認できることから、技術の伝承に役立つのではないかと目されています。

また日本工業大学の学生でなくとも、大学が開いている時間帯にキャンパスを訪れれば、その外観を見学することが出来ます(※1)。内覧会はまだ検討中ですが、月に数回ほど日を決めて対応したいとのことでした。気になる方はぜひ日本工業大学と工業技術博物館の告知をチェックしてみてください。タイミングが合えば敷地内を走るSLと静態保存されているモハ1形103号を同時に見学できるかもしれません。

キャンパス内の軌道を走れるよう動態保存されている

箱根登山鉄道モハ1形103号について

箱根登山鉄道モハ1形103号は1919(大正8)年、箱根登山鉄道の前身である小田原電気鉄道が「箱根湯本~強羅間」登山鉄道線の営業開始にあわせ、小田原電気鉄道チキ1形3号電車として導入した車両です。

同社は1948(昭和23)年に小田急グループの一員となり、1950(昭和25)年に小田急電鉄の電車が小田原から箱根湯本まで乗り入れることになったのを機に架線の電圧を複電圧仕様に改造しました。その際、チキ1形3号車は木造の車体を鋼製車体に乗り換え、車番も元の番号に100を加算した103号に変更されています。1952(昭和27)年にはチキ1形からモハ1形に形式を変更され、モハ1形103号となりました(形式の「モ」は電動車、「ハ」は普通座席車、「1」は車長20メートル以下の車両であることをそれぞれ表しています)。

103号の台車は元はアメリカの「ブリル社」製でしたが、国産の「東急車両製造」製に変更されています。外観については1957(昭和32)年に車体を塗り替え、窓周りはグレー、窓の上下の帯は白、それ以外はオレンジバーミリオン色という現在のカラーに落ち着きました。

1986(昭和61)年には自動列車停止装置を装備。その後年間輸送人員の増加を受け、1993(平成5)年に片方の運転台を撤去して客室とし、貫通路を設け2両固定編成化しました。

長年にわたり「箱根登山鉄道の顔」として親しまれてきたが、ちょうど100歳を迎えた2019(令和元)年7月19日にラストランを行い、7月20日に引退。日本工業大学に譲渡されました。

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103号は箱根登山鉄道に最後まで残った旧式の吊り掛け式駆動の電車です。吊り掛け式は歯車などの駆動メカニズムがシンプルであったため、明治時代から1950年代ごろまで長い間採用されてきましたが、走行中の振動や大きな駆動音が欠点でもありました。しかし走行中に車体の下から聞こえる「ウーウー」と唸るような独特の駆動音が郷愁を誘うのか、一部の鉄道ファンにはいまなお根強い人気を誇っています。

箱根登山鉄道が日本で最も急な80パーミルの勾配を有する路線であることもあり(※2)、103号には他の鉄道車両にはない特徴が備わっています。たとえば通常使うブレーキは空気ブレーキと電気ブレーキですが、車輪と車輪の間に滑走時や空気ブレーキ故障時に使う別系統の「レール圧着ブレーキ」を装備しています。また車体前後には散水タンクが設けられており、車輪とレールの摩擦によりそれぞれの寿命が短くなることを防ぐため、散水して摩耗を軽減しています。

連結器は左右の首振りだけでなく上下にも動くようになっている

なぜ日本工業大学が譲り受けたのか

日本工業大学工業技術博物館の設立は今からおよそ35年前、当時の産業技術(特に機械加工)が急速に姿を変えていった時期のこと。「日本の産業を支えてきた工作機械が姿を消していくことを残念に思った」という当時の理事長ら関係者の熱意によって開設されました。

同館では明治時代の蒸気機関車であるSL2109号を動態保存し、当時の工作機械や製造のための設備をなるべく動くように保存してきました。そうした実績に加え日本工業大学駒場高等学校が強羅駅にモハ1形 101号の模型を寄贈していたといった様々な縁があり、譲渡が実現したといいます。

箱根登山鉄道から日本工業大学へ輸送される様子は同大学のウェブサイトにて公開されています。気になる方はぜひそちらもチェックしてみてください。

記事/写真:一橋正浩

※1 東武動物公園駅から徒歩14分。駅前から有料のスクールバスやタクシーに乗れば数分。
※2 箱根湯本~強羅間は平均20パーミル

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