天然繊維の主要生地40種類。全部知っていたら、あなたは間違いなく洒落者です
生地の名前を聞いて、なんとなく「感じ」が分かって、適当な相槌を打ったとしても具体的に平織りか綾織りか、はたまた編み地なのか。自信をもって答えられるだろうか。そこで、トラッド服に使われている40の生地を一挙ご紹介。それぞれの名称、特徴を知ればもっとファッションが楽しくなるはずだ。
1.インディアンマドラス
インド東部のマドラス地方で産出されるコットン100%の生地。マドラスとは実は生地の名称であり、必ずしもチェックの柄を指しているわけではない。
2.ウェザークロス
もともとは戦闘時の悪天候に耐えうる丈夫な織物として、ミリタリーコートなどにも使用された。緻密に織られており、防水加工が施されている。
3.オックスフォード
緻密だが柔らかい感触で、光沢と程よい厚みがあるのが特徴。オックスフォード大学の学生がこの生地で作ったシャツを着ていたのがその名の由来。
4.鹿の子
吸水・速乾性に優れた表面に凹凸感のある編み地。代表的なアイテムとして挙げられるのはポロシャツだ。ドライなタッチで夏に適した生地である。
5.生機
精錬・染色加工前の織物のこと。簡単に言えば染色前の何も加工されていない生地のこと。これを染色したりプリントを施すことで製品となる。
6.ギャバジン(ウール)
角度の急な綾目がきりっとあらわれ、緻密で丈夫。羊毛を高密度に織ることで風を遮断し、保温性に優れているので秋冬のコートなどに使用される。
7.キャンバス
経糸に太番手の糸を使い、平織で織った厚手の生地。ダック、帆布はほぼ同じ意味で使われる。代表的なのは〈エル・エル・ビーン〉の[ビーン トート]。
8.ギンガム
先染めの色糸と晒し糸(白い糸)など異なる色の染め糸を使って縦縞か格子状に織った平織物。一般的に、この格子柄をギンガムチェックという。
9.グログラン
横方向に入った畝が特徴で、硬く密に織られており、光沢のある高級感のある生地。バッグやコートに加えて、最も使用されているのがタイである。
10.コーデュロイ
ヨコ糸にループ状のパイル糸を用いることで縦方向に畝が走る。日本では「コールテン」とも呼ばれる。畝は太いものから細いものまでさまざま。
11.コードレーン
縦方向に入るコード状の畝が特徴。シアサッカーと混同されることも多いが、シアサッカーのような縮れはない。凹凸感のある生地は夏に適している。
12.サキソニー
ツイードのような生地でよりソフトに作るため、粗野な英国羊毛ではなく、ドイツの羊毛で作られた。冬のスーツやトラウザーズの定番素材。
13.サテン
美しい光沢や滑らかさが特徴的な朱子織の生地。組織が密で肌触りも良く、比較的シワなりにくいため、昔から布団地として多く使用されてきた。
14.サージ
弾力性に富んだ平織の生地で、制服やユニフォームの素材として使用される。表面に斜め45度の斜文線が入り、素材はウールやコットンなどさまざま。
15.シアサッカー
タテ方向の波状の凹凸のある部分と同じくタテ方向の平らな部分が美しい縞を生み出す。薄手でサラッとした肌触りが特徴で春夏用の衣服に多用される。
16.ジャカード
もとは紋織機を発明したフランス人の名前をとってその機械で織られた紋織物を指していたが、現在は織り柄、編み柄のある生地を総称してこう呼ぶ。
17.シャンブレー
タテ糸に先染めした色糸、ヨコ糸に晒し糸(白の糸)またはタテ糸と異なる色の糸を用いた織物。霜降りのような風合いで、小さく白い斑点が出る。
18.シャークスキン
その名の通り、「サメの肌」のようなギザギザした織り目が特徴的な生地。軽量で耐久性が高く、傷にも強いため、ビジネススーツに使われことが多い。
19.スレーキ
主に洋服の裏地やポケットの裏に使用される生地。比較的安価な生地であり、洋服作りのコストを下げることができる。ややシワになりやすい。
20.タイプライター
繊維が長く細い糸を織りこんだ綿織物で、その織組織はブロードよりも高密度である。ハリがあるが耐久性はあまり高くない。主にシャツに使用される。
21.ダンガリー
デニムの薄手版としてよく用いられる綾織のコットン地。経糸に晒し糸(白の糸)、緯糸に色糸を用いており、デニムとは逆の構造となっている。
22.千鳥格子
同じ本数の経糸と緯糸を使った綾織りの生地。織りの配列や組織を工夫することで、まるで千鳥が飛んでいるような柄が出る。別名ハウンドトゥース。
23.ツイード
手紡ぎ風の太い糸で平織りまたは綾織りで構成する紡毛織物。起毛感があり、保温力に優れているのが特徴。スーツやジャケットの素材として多用される。
24.デニム
洗うほどにアジが出る頑丈な糸染めの織物。経糸に濃紺の色糸、緯糸に晒し糸(白い糸)を用いる。表面にはタテ糸の色が強くあらわれるのが特徴。
25.ドリル
太めの糸を使用した丈夫な綾織り生地で、ワークパンツなどに用いられる。デニムの経糸が先染めなのに対して、ドリルは後染め。別名カツラギ。
26.ピケ
表面に畝のある織物。平織と綾織を組み合わせることで畝が生まれており、畝のおかげで肌に触れる面積が減り空気の通り道ができることで夏も快適。
27.フェルト
羊毛などをはじめとした動物繊維を縮絨させシート状にしたもので、織りでも編みでもない不織布。よって断ち目がほつれづらいという特徴もある。
28.フランネル
経糸を緯糸よりも太くし、起毛させているのが特徴。ソフトなタッチと優れた保温性、吸湿性を併せ持つ。いわゆるネルシャツに使われる生地。
29.ブロード
隙間なく高密度に織られた、光沢のある滑らかな質感の平織生地。ドレスシャツに多く用いられ、オックスフォードと並ぶシャツ生地の定番である。
30.ベネシャン
光沢のある滑らかな肌触りが特徴で、表面には角度が急な斜めの細い畝が入る。生地は薄手でやや光沢があり、スーツやジャケットに用いられる。
31.ヘリンボーン
語源は「ニシンの骨」から来ており、ジグザグに入った綾目が開いた魚の骨に似ていることから。耐久性と柔軟性を兼ね備える。日本語では杉綾と呼ぶ。
32.ベルベット
経糸がパイル状になっている織物の、パイルをカットしてできた毛羽で表面を覆った生地。別名ベルベット。本来は絹だが、近年では化繊も見られる。
33.ホップサック
ビールの副原料であるホップを収穫する際の麻袋に似た組織であることが名前の由来。ざっくりと編まれた平織りの生地で夏用スーツなどに用いられる。
34.ポプリン
タテ糸の高密度で織った平織で、布面にはヨコ方向のうねりが出る。ブロードと混同されることも多いが、使用する糸の太さなどわずかに違いがある。
35.メルトン
コットンやウールで織られた生地を縮絨加工し、織り目を密に、全体をフェルト状に加工し起毛させたもの。保温性が高く、撥水性に優れている。
36.モールスキン
その名の通りモグラの毛皮のような厚みのある綿生地で、太い糸を起毛させながら織り上げて堅牢な作りに。フランスのワークジャケットが代表的。
37.ラミークロス
麻の一種である苧麻(ちょま)糸を用いた織物のこと。光沢やシャリ感があり、夏向けの生地としてよく使われる。麻のなかでも繊維が太く長いため丈夫。
38.リップル
布生地を強く縮ませてシボを作ったもので、サラッとした肌触りが特徴。凹凸感があることで肌に張り付きにくく、浴衣や夏用のシャツなどに用いられる。
39.リネン
フランス語ではリンネルと呼ばれ、亜麻で作られた生地を指す。通気性や耐久性に優れ、柔らかな肌触りと通気性の良さから夏の定番に挙げられる。
40.ワッフル
お菓子のワッフルの表面のように、表面にマス目状の凹凸のある織物。柔らかく、吸水性に優れているため下着に使われることが多い。