【京都五山送り火】誰でも奉納ができる「護摩木」を知っていますか?
京都のお盆の行事といえば、京都五山送り火。お盆のはじめに現世へと戻った先祖の精霊(おしょらいさん)を再びあの世に送る伝統行事です。それぞれの山で文字や形をかたちづくるよう火が焚かれます。京都市内の様々な場所からその様子が見られるので、毎年鑑賞しているという方も多いのではないでしょうか。しかし、その点火時に焚かれる「護摩木(ごまぎ)」を誰でも奉納できることをご存知でしたか。護摩木とは何か、どこで奉納できるのかなどをご紹介します。
護摩木(ごまぎ)とは何なのか?
8月16日の夜、東山如意ヶ嶽の「大文字」、松ケ崎西山(万灯籠山)と東山(大黒天山)の「妙法」、西賀茂船山の「船形」、金閣寺付近の大北山にある大文字山の「左大文字」および嵯峨鳥居本曼荼羅山の「鳥居形」の5つの山が点火されます。これを京都五山送り火と呼びます。この伝統行事は、数百年ものあいだ、地域の人々によって受け継がれてきました。
≪各山の点火時間≫
大文字 ─ 20時
妙 法 ─ 20時05分
船 形 ─ 20時10分
左大文字 ─ 20時15分
鳥居形 ─ 20時20分
※点火時間は各山とも約30分間
※気象条件によっては点火時刻を変更する場合もあります。
送り火について詳しくはこちら:https://ja.kyoto.travel/event/major/okuribi/
イベント情報はこちら:https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=1467
(京都五山送り火共通護摩木)
仏教の「護摩(ごま)」という儀式で、炎の中に投げ入れる木の棒を護摩木(ごまぎ)といいます。名前と願いごとを書いた護摩木を神聖な火で焚き、願いが叶うように祈願するものです。京都五山送り火では、専用の護摩木を「送り火」の炎で焚き上げてもらうことができます。誰でも奉納することができるので、先祖供養や無病息災、家内安全など思い思いの願いごとを書きましょう。気になる持病がある方は、護摩木に記すと癒えるともいわれています。
護摩木は、五山それぞれの受付や、「京都五山送り火共通護摩木」の受付で奉納することができます。
納めた護摩木は、送り火保存会の方が山の上の火床まで運び上げ、送り火として焚き上げられます。このようにして、一般の方も京都五山送り火という伝統行事に関わることができます。「自分の護摩木が焚かれているんだなぁ」という実感をもって、ぜひ、ご覧ください。また、納めていただいた志納料の一部は「京都五山送り火」の保存・継承に活用されます。
共通護摩木について質問してみた
各山の保存会が受付する護摩木に加えて、京都市観光協会は「京都五山送り火共通護摩木」の受付を行っています。これは、普通の護摩木とは違うものなのでしょうか?京都市観光協会 観光活用課の村山さんに教えてもらいました。
(京都市観光協会の村山さん)
共通護摩木がはじまった背景を教えてください。
京都五山送り火を維持・継承している各山の保存会では、焚き上げる護摩木の志納受付を行っています。しかし、五山は市内を囲む山々にあることから、各山の志納受付は京都市内の中心エリアから離れており、気軽に志納することができないという課題がありました。
そこで京都市観光協会では、京都五山送り火連合会と連携して、2024年に「京都五山送り火共通護摩木」を制作し、京都市内の中心エリアで受付を行ったのがはじまりです。
京都総合観光案内所「京なび」・商業施設「ミーナ京都」と連携し、新たに制作した「京都五山送り火共通護摩木」を京都市内の中心エリアで受付けられるようにしました。さらに、2025年は「BiVi二条」での受付も開始します。
護摩木にはどんなことを書くのがよいのでしょうか?
護摩木の書き方には特に決まりはありません。先祖の霊や大切な人(家族・友人など)の無事息災を祈ったり、願いを記したりしてください。
名前や住所を書く方もいますが、書かない方も多いです。ほかに、家族や頼まれた分など複数奉納する方もいらっしゃいます。
護摩木は誰でも奉納できるのでしょうか?
京都市民だけでなく、もちろん観光で来られた方も奉納できます。大切な人を想う・祈る気持ちは、万国共通です。2024年は多くの方が奉納され、約400本の「京都五山送り火共通護摩木」を受け付け、各山で焚き上げました。
夏の京都を彩る伝統行事「京都五山送り火」を知っていただくとともに、この機会に、大切な方を想うひとときを過ごされてはいかがでしょうか。あなたの想いを護摩木に託していただき行事にご参加いただくことが、伝統行事の保存・継承につながります。
共通護摩木受付に行ってみた
ミーナ京都前にある、京都五山送り火共通護摩木の受付に行ってきました。多くの人が立ち止まり、護摩木や記念品を見たり手に取ったりしていました。京都五山送り火や護摩木に関心を持つ方がたくさんいらっしゃることがわかります。
外で護摩木を購入した後は、店内にあるブースに移動して願い事を書きます。
何を書こうか、悩ましいです。スタッフさんにお聞きしたところ、ご先祖さまの供養をされる方が多いそうですが、願いごとなら何でも大丈夫だとか。
「健康第一」と祈願して、スタッフさんにお渡ししました。これで奉納完了です!送り火の日がさらに楽しみになりました。
護摩木の受付場所
2026年の五山それぞれの護摩木の受付はこちらです。
受付で護摩木を受け取り、マジックで願い事と名前を書いて奉納してください。いずれも無くなり次第終了となりますので、早めの奉納がオススメです。
大 文 字
場所: 銀閣寺奥八神社境内保存会集会所前(大文字山登山口付近)
日時:
2026年8月14日(金)12:30~17:00頃
2026年8月15日(土) 8:00~17:00頃
2026年8月16日(日) 8:00~12:30頃
妙法
場所: 武與門(ぶよもん)ビル入口(地下鉄「松ヶ崎」駅1番出入口(東出入口)西隣)
日時:
2026年8月15日(土)10:00~17:00頃
2026年8月16日(日)10:00~13:00頃
船形
場所:西方寺駐車場
日時:
2026年8月2日(日)~15日(土)8:00~16:00頃(4、6日は受付していません)
2026年8月16日(日)8:00~10:00頃
左大文字
場所:金閣寺門前
日時:
2026年8月15日(土)9:00~14:00頃
2026年8月16日(日)7:00~14:00頃(16日は法音寺でも受付を行います)
鳥居形
場所:右京区嵯峨鳥居本小坂町 府道50号線 八体地蔵付近
日時:
2026年8月13日(木)~15日(土)10:00~16:00頃
2026年8月16日(日)9:00~15:00頃
京都五山送り火共通護摩木
場所:ミーナ京都、BiVi二条、京都総合観光案内所「京なび」(京都駅)
日時:
ミーナ京都、BiVi二条
2026年8月14日(金)・15日(土) 11:00~15:00
京なび
2026年8月7日(金)~15日(土) 8:30~19:00頃 ※8月15日(土)のみ17:00まで
護摩木奉納受付場所マップ
https://www.google.com/maps/d/embed?mid=15IDQ6S6aruG7dvjoesD2aevFbmeQLfk&ehbc=2E312F
記念に残る、京都五山送り火記念品
落ち着いたモノトーンのグラデーションが美しい扇子と記念符は、池上真紀さんが描かれました。記念符は5枚1組で、専用の台紙に収められており、記念品として大事に残していただくのはもちろん、贈りものにもぴったりです。
価格:扇子3,300円、記念符(5枚1組)1,500円、手ぬぐい1,200円
販売場所(京都市内):京都総合観光案内所 京なび(京都駅ビル2F)、元離宮二条城(大休憩所内売店)、市バス・地下鉄 各案内所等
記念符・手ぬぐい・扇子の詳細、インターネット販売はこちら
https://ja.kyoto.travel/event/major/okuribi/goods.php
2026年度五山送り火グッズの作画を担当いただいた池上真紀さんにインタビュー
――今回作画を担当いただくことになった際のお気持ちを聞かせてください。
私はもちろんですが、娘が大喜びでした。娘は京都五山送り火を鑑賞するのが大好きなんです。遠足などで大文字山に登ったり、送り火を眺めていたときにテレビ取材を受けたことがあったりと、いい思い出があるんでしょうね。
大学入学から京都で暮らしていますが、実は毎年必ず京都五山送り火を見に行くようになったのは、娘が生まれてからなんです。当時、平安神宮のあたりに住んでいて、大文字の炎の揺らめきまで見える地域でした。それから家族で京都五山送り火を見に行くのが習慣になっています。
――制作にあたり、テーマやイメージはありましたか?
京都五山送り火は、ご先祖様を冥府に送る仏教的行事なので、儀式的で神秘的な雰囲気を出したいと考えた色使いになっています。
また、私は普段の制作から「白」を大切にしていて、白い色で「内に秘めた光」を表現しています。夜というシチュエーションなので山をシルエットとして影で表現するのが一般的かと思いますが、山を主役として扱いたくて、あえて白色で表現しています。
――素材や技法など、制作のなかでこだわった点はありますか?
現代は、額装して壁掛け展示が一般的であり、ある程度距離をとって絵画を鑑賞するスタイルが多いかと思うのですが、昔は机上などの近い距離で鑑賞することが多かったという特徴がありました。だからこそ細密に描き込まれているんですね。私もそれを意識して制作しています。大学卒業後、6年間で培った文化財修復の技術を生かしたいという気持ちもありました。和紙や絹などの修復・修繕を行っていたのですが、古画の魅力として、作者が意図した表現以上のものがあると思っていて。例えば、掛け軸なら巻いた際につく柔らかな巻きシワや筋(すじ)といった大切に扱われてきた歴史や、時間の経過とともに生まれる自然な風合いなどですね。
今回、全体でそういった雰囲気をつくりだすために、和紙の上にくしゃくしゃにした別の和紙を貼っているんです。するとしわの山の部分はくっつかず、谷の部分はベースとなっている和紙にくっつきますよね。その山の部分をサンドペーパーで削り取ることで、古画のような質感を表現をしています。
池上 真紀 IKEGAMI MASANORI
<主な経歴>
1987年 兵庫県生まれ
2013年 京都市立芸術大学大学院美術研究科保存修復専攻修了
京都市立芸術大学作品展 大学院市長賞(同12年)
2013年~2019年 文化財修復技師として活動
2020年 京都 日本画新展 優秀賞(同21年、23年)
2024年 第9回日経日本画大賞展(上野の森美術館/東京)
2026年
[個展]
9月15日(火)〜9月20日(日)池上真紀-浄土をみつめて-(ギャラリー恵風1.2階)
[グループ展]
8月29日(土)〜9月27日(日)タイトル未定(白沙村荘橋本関雪記念館)
9月1日(火)〜9月10日(木)生動in仁和寺(仁和寺)
10月13日(火)〜10月18日(日)生動(京都市美術館別館 第二展示室)
参考文献:
『京の大文字ものがたり』 岩田英彬著 松籟社発行
『送り火 OKURIBI』 安藤博文著 暮しの手帖社発行
『京都大文字五山送り火』 財団法人京都市文化観光資源保護財団、大文字五山保存会連合会編
※本記事は初回公開後、最新情報に基づき随時更新しています(初回公開:2025年8月)
記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto
京都の街、そして京都にかかわる人たちの役に立ちたい。そんな想いを原点に、人と人、人と地域との交流のなかで見つけた物語をまちかどの語り部たちが発信しています。智恵の循環が紡ぎ出す、京都人でもよく知らない京都、そして深遠なる京都の魅力を伝えていきます。