トヨタなど「型式指定」不正問題に、石戸諭「企業風土が問題になっている」
自動車など大手5社で大量生産に必要な「型式指定」の認証不正があった問題で、国土交通省は6月5日、道路運送車両法に基づいて、静岡県のヤマハ発動機本社を立ち入り検査。立ち入り検査はトヨタ自動車に続いて2社目となる。
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時)6月5日の放送は、ノンフィクションライターの石戸諭氏が週替わりパートナーを務め、このニュースを解説した。
野村邦丸(パーソナリティ)「そもそも型式指定って何ですか?」
石戸諭「簡単にいうと、自動車や重機は人の命にかかわるもので不良品があったらいけない。だから、出荷にあたり1台1台検査しなきゃいけないというのが基本的な考え方ですが、ただ、1台ずつ検査するのは現実的ではない。だから、保安基準を満たすか審査をうけて問題がなければ大量生産していいですよという方法をとる。これは合理的なやり方でいいんだけど、今起きているのはメーカーが国の制度を独自に解釈してしまって、結果的に法令違反になったということです。国が設けた基準よりもメーカー独自の厳しい検査をやっている。例えば、トヨタが主張しているのは、後ろから台車が衝突させて燃料漏れなどを確認する実験で、国の基準だと1100キロだけど、トヨタは1800キロでテストしてて、このデータを流用しても大丈夫でしょ、というやり方でやっていた。でもそれは法令の独自解釈という話になっている」
そして石戸氏は、この問題は企業風土が問題となっていると話した。
石戸「トヨタグループで認証不正の問題はあったんですよ。その時に、トヨタ本体で働く現場の人たちは、うちもやってるんじゃないか?と思ったはずなんだけど、内部でなぜ声が上がらなかったのか。どうもトヨタの会長の記者会見を聞いていると、内部で問題視する声があったという話はない。内部で、これはまずいんじゃないかと誰も言わなかったか、言ったとしても上まで声が上がっていない可能性が高いというのが本当に問題なんじゃないかと思います」
邦丸「国土交通省が立ち入り検査するのは相当、重い事態でしょ」
石戸「重たいですよね。今回、救いがあるのは、国の基準より厳しい検査をやっていた面もあって、事故が起きていない。だから、データを一部流用しても安全性には問題がないといえるのはその通りだと思います。ただ、トヨタの会長は会見で、国の認証のやり方がそれでいいのかと問題視していることはよくわかった。それも一理あると思うんです。ただ、記者会見の場いろいろ留保をつけていたけど、口にするタイミングが今なのかとは思いました」
邦丸「これまでにも国に要望を出すタイミングはあった?」
石戸「認証のあり方は、今起きた話ではないですよね。業界が声を挙げるタイミングはいくらでもあったのに、今、それを持ち出すのはどうなの?というのは論点としてありますよね」