松名瀬沖での船キス釣りで150匹オーバー手中【三重・丸安丸】アマモ際で良型連発
夏を彩る魚、キス。投げ釣りでの人気ターゲットだが、船からの釣りも盛期を迎えつつある。今回はそんな船キスをもっと掘り下げてみようと、6月27日に三重県松阪市松名瀬から出船している丸安丸に乗船し、この釣りの奥深さに迫ってみた。
丸安丸で船キス釣り
今回お世話になった丸安丸は、秋~初夏まで鳥羽市小浜からタイラバメインで出船しており、キスは初夏から秋までとなる。切り替えの時期は、その年によって微妙に変わるので、ホームページを参照してほしい。
ポイントとなる松名瀬沖は、遠浅の海域が広がり砂地にアマモが群生するエリア。水深が極めて浅いのが特徴で、底がうっすら見えるぐらいのポイントを流すこともあるほど。深くても10mもないポイントがほとんどだ。そのためビギナーでも釣りやすく、釣果を得やすいフィールドといえるだろう。
キスの魚影が濃い海域ではあるが、やはりそこはポイントを熟知した船長のウデの見せどころで、良型が群れるアマモ際で絶妙の筋を流し、20cmを超えるサイズが入れ食いになることも。
松名瀬沖のキス釣りタックル
そんな松名瀬沖で使用するタックルだが、使用するオモリが3~10号と軽いこともあり、さまざまジャンルのタックルの流用が効く。
もちろん専用のキスザオがあればいいが、なければ6フィート前後のバスロッド、ショートタイプのティップランロッド、硬めのトラウトロッドなど。リールは2000番クラスのスピニングリール。サオとバランスの取れたものを選びたい。
ミチイトは伸びがなく高感度のPEラインで、太さは0.8号が基準。これに絡み防止のため、先イトにフロロカーボン3号を1mほどつないでおく。ただし浅いので、そこまでミチイトの太さにこだわることもなく、何ならフロロカーボンやナイロンラインでも十分釣りになる。
松名瀬沖のキス釣り仕掛け
仕掛けだが、最初は市販仕掛けで良いと思う。ただひとつクレームをつけるとすると、市販の船キス仕掛けは全体的に細い仕様となっているため、ちょっとしたことでハリスが縮れたり切れたりする。
今回は自作仕掛けを使用したが、ハリス2号、モトス3号というやや太めのもの。仕掛けを底にはわせる釣りにおいて、ハリスの太さは食いにほとんど影響がない。むしろ細い方がデメリットが大きいと感じている。
エサはイシゴカイ
エサはイシゴカイ一択でいい。今回は釣行日前日にフィッシング遊で2杯購入し、木箱に入れて冷蔵庫の野菜室で保管して当日はクーラーの氷に直接当てないようにして持参した。
別で小さな木箱かタッパーを用意し、そこに石粉とその都度使用する分のイシゴカイを入れるようにした。石粉はまぶすと滑り止めになるが、そのまま長時間置くと石粉がゴカイの水分を吸い取ってしまい弱らせてしまう。そのため使う分だけ小出しにして、石粉をまぶすようにする。
丸安丸では船に石粉が常備してあるが、用意されていない船では自身で持参するようにしよう。
エサはよほど食いが悪くない限り、半分に切ってハリに刺す。垂らしは1cmほどが目安。垂らしが長すぎると、食い逃げされてしまうことが多くなる。
実釣開始
午前5時に出船し、ポイントまでは10分ほど。いよいよ実釣開始だ。船のキス釣りでは直下もポイントとなるが、やはり少し投げて広範囲を探る方が圧倒的にアタリを拾いやすい。
その際、堤防のようにふりかぶって投げるのはご法度だ。キスを釣る前に人間を釣ってしまう可能性が高いので、必ずキャストは下から。アンダーハンドキャストは必須となる。
何も思い切り遠くに飛ばす必要はない。10mも投げれば十分。少し練習すればアンダーハンドキャストは、すぐに習得できるはずだ。それでもどうしてもできない人は、1.5m以下の極端な短ザオを使うか、諦めて船下を探ろう。船は常に流れているので、ある程度の範囲は探れるはずだ。
開始早々にキス入れ食い
釣り開始早々からトモで釣っていた常連の谷中さんは、いきなり入れ食い。ミヨシの出口さんのサオも小気味良くたたかれ、20cmあるなしのキスが次々に船上に抜き上げている。水深が浅くオモリも軽いので、キスの引きがダイレクトに伝わるから、とにかく面白い。
3本バリを操る谷中さんは、トリプルまで披露してものすごい勢いで数を重ねていく。もちろん私も含め、他の4人も1投1匹以上のペースでキスが入れ食い。
早アワセは厳禁
そんな入れ食いでも、素バリを引くこともちらほら。キスのアタリは非常に鮮明で、いきなりひったくるようなアタリを出すこともある。そんなときに思わずびっくりアワセをしてしまうこともあるが、これだとまずハリに掛かることはない。
ひったくるようなアタリは、キスがエサの端っこをくわえて一気に走るため。ここでアワせてもまず掛からない。サオ先でついていくように送り込み、ひと呼吸、ふた呼吸おいてからサオを立てるようにする。今回もこのびっくりアワセで、何度か素バリを引いてしまった。
常連の出口さんや谷中さんはさすがで、ほぼほぼ素バリを引くことなく次々キスを仕留めていく。ハリをのんでいないピンギスはリリースしていくが、それでもバケツの中はあっという間にキスだらけ。
釣った魚の扱い方
この時期に注意したいのが、バケツにキスをためすぎないこと。キスはそんなに強い魚ではない。あまりバケツに入れすぎると、酸欠で死んでしまう。そのまま放置しておくと、バケツの中の水温が上がり、せっかく釣ったキスが傷んでしまう。4~5匹釣ったらこまめにクーラーボックスに移してやるようにしよう。
そのためクーラーボックスには、多めの氷を入れておくようにしよう。海水を入れて潮氷にするのもいい。キスが全体的に冷えるし、たくさん釣れても重さで下の魚がつぶれることもない。
ハリをのまれたら…
当日も何度かあったが、キスにハリをのまれることは珍しくない。そんなときいちいちハリスを切ったりすると、時間ロスになる。ハリをのまれたら親指と人差し指をキスのエラに下から突っ込み、そのままハリスを引っ張ると、あら不思議、あっさりハリが外れてくれる。ハリをのんだキスはバケツに入れてもすぐに死ぬので、汚れを洗ってからクーラーへ直行だ。
アマモ際では良型
船長によれば、前々日の出船時は数は出たものの、サイズが今ひとつ。だがこの日はとにかくサイズがいい。20cm前後の良型も多く交じり、出口さんは23cmクラスもキャッチ。もちろんピンギスも交じるが、口に掛かったものはリリースしていく。谷中さんは終盤に20cmクラスのトリプルまで。少し出遅れた中野さんも、中盤から盛り返してクーラーはキスだらけだ。
特に終盤にかけて良型が多く目立ったのは、船長がアマモ群生エリアの際を流したから。アマモの際でくるキスは、とにかく良型が多いとのことだ。アマモに仕掛けが引っ掛かるので非常に釣りにくいが、くればデカイのが魅力だ。
前述した谷中さんもの良型トリプルも、このアマモ際をうまく攻略した結果。仕掛けのロストもほとんどなく、午前10時半に全員が大満足の納竿となった。
サオ頭は150匹超え
サオ頭はもちろん谷中さんで、余裕の150匹超え。出口さんも100匹超えと船中で3ケタ釣果は5人中3人。なんとも恐ろしい海域だ。私自身も撮影の合間にサオを出しても、50匹ほどの釣果。ロストした仕掛けは3組だった。事前準備の参考にしていただきたい。
この日は終始曇天で暑さを感じることはなかったが、これから炎天下の釣りも予想されるため飲料と氷は多めに持参することをお勧めする。また帽子の着用も必須だ。
松名瀬沖のキスは9月いっぱいまで楽しめる。夏魚を代表するキスの小気味良いアタリと引きを堪能してほしい。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年7月12日号に掲載された記事を再編集したものになります。