Yahoo! JAPAN

「災害時は釜石から遠野へ」 広域避難の可能性に備え、両市が施設利用協定

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす

協定書を手にする野田釜石市長(右)と本田遠野市長

 大雨洪水による災害発生に備え、釜石市は1日、遠野市と「災害時における施設等の利用に関する協定」を結んだ。甲子川や鵜住居川、小川川で大雨洪水による災害が発生した場合、遠野市青笹町の遠野運動公園を釜石市民の避難場所として利用できるもので、駐車場350台とトイレを確保。市域を超えた広域避難に関する初の試みで、市民の安心安全の向上を図りながら防災対策を推進する。

遠野運動公園の案内図。災害時には赤線で囲んだ350台収容の駐車場、7番と12番のトイレが開放される

 協定の内容は、釜石市内に高齢者等避難、避難指示を発令した場合、釜石市が同公園駐車場の利用を依頼し、遠野市が開放。現地には釜石市職員を配置し、避難者への対応や施設の保安、関係機関との連絡調整を行う。避難対象者と想定されるのは自家用車で移動できる人で、食料や飲料などを持参し状況に応じて車中泊をする。現地は東北横断道釜石秋田線の釜石道を使うと、市中心部から約40分で来ることができる距離にある。

災害時の避難場所として釜石市民に開放される遠野運動公園内の駐車場。奥に見える建物は消防署が入る総合防災センター

 釜石市は2019~20年に、市内を流れる3河川についてハザードマップを更新。大雨で洪水が発生した場合、流域に暮らす計約1万3300世帯(約2万5800人)が浸水想定区域に含まれると予想している。

 一方、市指定の洪水・土砂災害緊急避難場所は36カ所で定員は約8000人。コロナ下では感染症対策として避難者間の距離を十分に取る必要があり、2000人程度しか収容できず、避難先の確保が課題となっていた。

 市では安全な場所にある親族や知人宅、ホテルへの宿泊など「分散避難」を呼び掛けているが、広域避難の必要性も視野に入れ、遠野市に施設利用を働き掛けたという。今回の協定締結で自動車避難(車中泊)を選択肢の一つにしてもらう考えだ。

 協定締結式は同公園に隣接する遠野市総合防災センターであり、釜石市の野田武則市長と遠野市の本田敏秋市長がそれぞれ協定書に署名し取り交わした。野田市長は「津波も洪水も新しい想定が出ていて、避難場所や経路の見直しが必要になった。道路網の整備で広域避難が視野に入り、研究・調査をしてきた」と経緯を説明。式の前に現地を視察しており、「素晴らしい場所を提供いただいた。避難者自身が安全な場所を考え、選択し、行動するきっかけになれば」と期待した。

現場を視察する両市の関係者ら。背後に建つ陸上競技場管理棟内のトイレも開放される

 同公園には東日本大震災直後から自衛隊や警察、消防の各部隊が全国から集結。甚大な被害を受けた沿岸部での救援活動の後方支援拠点となった。本田市長は「9月1日は防災の日であり、新たな絆を確認する日にもなった。互いの足りない部分を補い合い、地域の特性を生かし、命を守る連携を深めていきたい」と話した。

【関連記事】

おすすめの記事