デジタル時代に独立系書店が増えている理由
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、4月30日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。「独立系書店の日」である4月26日、アメリカで行われた試みに関連し、独立系書店を続けるためのヒントについて語った。
小倉孝保「4月26日、独立系書店の日に向けて、とある話があったんです。アメリカ中西部、ミシガン州のある独立系書店が、100メートルほど先の新店舗に引っ越しすると。そのオーナーが、どうせならみんなに協力してもらおう、とSNSで『引っ越し手伝ってもらえませんか』と呼びかけた。そのところ330人ぐらいが集まってきたんです」
長野智子「あらま!」
小倉「バケツリレーみたいに手渡しで9100冊、次々と100メートル先の新店舗に運んで。アルファベット順に並べたと。そのオープンが独立系書店の日に合わせているんです。その活動に、独立系書店が生き残っていくヒントがあるんじゃないかな、と思って。検索して狙った本を買う、それはネットが便利ですよね」
長野「はい」
小倉「独立系書店には独立系書店の利点があります。参加して『自分の書店』的な意識を持たす。『あそこは行きつけなんだよ』と。喫茶店やバーなんかは、お店の人と顔なじみになって『きょうはどんなのがあるの?』と会話しながらお店を育てていく、ということがあるじゃないですか。大型書店、ネット書店では難しい」
長野「そうですねえ」
小倉「街にある独立系書店なら、それができる。SNSで呼びかけたら6歳から92歳までの300人以上が集まった。歩道を2列に並ぶようなかたちで渡していった」
長野「いいですね!」
小倉「報道によると渡しているとき『その本、読んだよ!』みたいな話をして盛り上がったと。新しいお店ができたとき『この本、俺が運ぶの手伝ったんだよ』という意識が芽生えてくる。オーナーは、自分の店だという意識や、このコミュニティにはこのお店が必要なんだ、というのを持ってほしいから、こういうことをした、と話しているんです」
長野「このデジタル時代に、いい話ですね」
小倉「アメリカもイギリスもそうで、ここ5、6年で独立系書店の数って増えているらしいんです」
長野「そうなんですか!?」
小倉「驚きますよね。理由はいろいろな人が分析をしていて。ひとつはコロナがあったことによって、近くの親しいお店で、何かしたい、という意識が高まったのでは、と。人とのやりとり、交流の大切さを知ったんじゃないか、と。もうひとつ、これがけっこう大きいんじゃないかなと思って。日本も出てきているけど、大型書店に勤めてものすごく本に詳しくなった人が、小さい独立系書店をつくっている例があるんですよ」
長野「なるほど!」
小倉「本に詳しい、流通のこともわかる。でも自分の店もほしいな、こういう置き方するのに、こういう本を集中しておくのに、こういう本屋さんがやりたいんだ。そういう人が増えてきて。実際に日本でも、大手から独立した人、いろいろ知っていますよ」