【秘境】鳥取に「賽の河原」があるってマジ!? 行ってみた結果 → 「三途の川」と勘違いしてたけどマジだった…
「鳥取に『賽(さい)の河原』があるってマジ?」と同僚に言われたので「あるワケねぇだろ」と返したのだが、調べたら本当にあるようでビックリした。なお鳥取は私の出身地。長いこと鳥取出身者をやっているが、賽の河原なんて見たことも聞いたこともない。
そもそも賽の河原って、あの世とこの世を隔てる川のことでしょ? それがなんで鳥取にあるんだよ……と思ったところで、冷静に考えるとそれは『三途の川』の話だったことに気づいた。混同しちゃってる人、多いんじゃないかな?
え〜と、じゃあ賽の河原って、一体どういう河原なんだっけ?
・行ってみた
賽の河原があるのは鳥取県西部に位置する大山町。中国地方最高峰である大山(だいせん)を有する町である。
ちなみに鳥取出身者は学生時代に全員が大山登山を経験させられているぞ。
大山の中腹(車で行けます)に大山寺という由緒あるお寺があり、その周辺はちょっとした観光地になっている。マップによると賽の河原はそう遠くない場所にあるようだ。何十回もここを訪れているけど、そんな話、本当に聞いたことないんだがなぁ……?
ま、ともかくマップどおりに行ってみるしかない。この先は神社が点在する参道。上り坂になっており、ちょっと歩くと息が上がる。だんだん道が険しくなるとかはマジ勘弁な。
・険しくなった
そんな願いも虚しく、平らだった道は徐々にデコボコし始め……
最終的に石の上を歩いてる状態に。
これ、見た目よりキツい。サンダル履きはさすがにナメすぎてた。
うっかりクマとかもののけ姫とか出てきそうな雰囲気。夜来たら絶対に戻ってこれない自信がある。本当にあの世と繋がっているんじゃないか?
とかやってたら……
あれ!? 賽の河原、通り過ぎてね!?
・通り過ぎてた
ここまでに「賽の河原コチラ → 」的な目印は見つけられなかったが、引き返してみたところ、やっぱりそういう目印は見つけられなかった。
ただひとつ、可能性があるのはこの標識の曲がり角である。しばらく進んだ先に川が流れているようだ。水のせせらぎをたよりに歩くハメになるとは思いもしなかった。
これは……道なのか? 大丈夫そ?
だいじょばなかった。虫が……クモの巣が……生い茂る草がっ……! マムシでも出てきたらジ・エンドであるうえ、その可能性はまぁまぁ高そうな空気感である。「早く帰りたいけど帰りもこの道を通るのは嫌だ」……そんな四面楚歌な気持ちになったところで……
ようやく賽の河原に着いたぞォ!!!!
・賽の河原とは
なぜここが賽の河原だと分かったのかというと、ここが賽の河原であることを示す立札があったからである。獣道を抜けた先に立札があるとは、訪れる者の覚悟が試されているかのよう。
立札によると、賽の河原とは「子供が死んでから苦を受けるところ」であるらしい。え? 死んだうえに苦を受けるの? なんで??
「子供が河原で石の塔を作ろうとすると、鬼が来て塔を壊す」という話は、そういえば聞いたことがある。それを繰り返すうちに地蔵菩薩が現れ、子供の霊を救うのだそうな。そんなイジワルせんと最初から救ってやれよ、と感じずにいられない。
この場所が賽の河原である所以は「子供を亡くした親が我が子をしのんで石の塔を作る」場所だからだそう。要するに賽の河原には “あの世の賽の河原” と “この世の賽の河原” があって、存在意義が異なるということなんだね。
なお、私がしばし河原を散策したところ……石の塔は、確かにあった。
この賽の河原は県の観光案内で紹介されているほどなので、観光客が興味本位で訪れること自体は全然問題ない、むしろウエルカムなのだと思う。
が、だからといって面白がって石塔の写真を撮ったりするのは、なんか人としてダメな気がする……と個人的には感じた次第だ。ここを訪れる場合はどうかマナーとモラルを持った行動を。どの土地を訪れる場合も同じことが言えますが。
結果:鳥取に賽の河原はあった
帰り道。人里へ戻ってきた喜びとともに、私はなんとなく「帰ったら親を大事にしよう……」みたいなことを考えていた。現場からは以上です。
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24. / GoogleMap