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【江東区・大久保朋果区長】第4回 英語体験・デジタル学習・地域交流で育てる「子どもたちの未来」

ママスタセレクト

江東区では、デジタル教育や英語体験、地域交流などを通して、子どもたちの「生きる力」を育てる取り組みが進んでいます。大久保朋果区長に、教育・防災・子育て支援までの幅広い取り組みの背景と、今子育てをがんばっているママたちへのメッセージを伺いました。

自分で判断して行動できる子どもに

── 江東区では教育のデジタル化が進んでいますね。具体的には、どのような取り組みをしているのでしょうか?

大久保朋果区長(以下、大久保区長):コロナ禍をきっかけに、1人1台の端末の整備が一気に進みました。今では区内の小中学生全員がChromebookを持っています。特に若い先生たちはデジタルをうまく活用されているなと感じます。たとえばChromebookで生徒の意見を集めたり、まとめたりして、それをもとに発表する。そんな授業をしている学校が、今ではたくさんあります。

また学校のなかだけでなく、学校同士でも連携しながら取り組みを進めています。教育委員会には専属の教育長がいるのですが、この教育長がとてもパワフルで。実際に学校へ足を運び、先生たちと一緒に授業づくりを進めてくれているんです。

── まさに“学び方”そのものが変わってきているんですね。

大久保区長:本当にそう思います。ただ、いい面がたくさんある一方で、やはり課題もありますね。学校ではある程度の制限をかけていますが、「デジタルの危険性」や「情報の取り扱い方」についても、しっかりと教えていく必要があると考えています。 最終的には、デジタルの便利さを理解しながら、自分で判断して行動できる子どもを育てていくことが大事だと思っています。

江東区から世界へ。「国際交流のコツは、現地の言葉を学ぶこと」

── 英語教育や国際交流にも力を入れていますね。

大久保区長:江東区は、カナダのサレー市と姉妹都市協定を結んでいて、中学3年生を対象に短期留学を行っています。毎年40名ほどが参加していますが、応募者がとても多いため、全員を受け入れられないのが本当に残念です。

実際に留学したお子さんたちは、みんな本当に成長して帰ってきます。出発前と帰国後に「いってらっしゃい」と「おかえり」の会を開くのですが、留学の前後でお子さんたちの顔つきがまったく違うんですよね。自信がついて、表情がすごく明るくなるんです。

── 海外を経験することで、子どもたちの意識も大きく変わるのですね。

大久保区長:変わってきますね。江東区では、区内の施設「Tokyo Global Gateway(TGG)」という英語体験施設での活動にも力を入れています。いわゆる“英語村”といわれているもので、空港やホテルを模した空間で、ネイティブの先生と英語でやり取りをします。まるで“ミニ留学”のような体験ができるんですよ。以前は小学生のときに1回だけの体験だったのですが、今年 から中学生でもさらに1回体験できるように変えました。

── 区内の有明西学園では、英国大使の特別授業も行われたそうですね。

大久保区長:ロングボトム駐日英国大使が来てくださって、英語と日本語を交えながら授業をしていただきました。大使は日本語がとても流暢で、「国際交流のコツは、現地の言葉を学ぶこと」とおっしゃっていました。 私もその通りだと思います。英語を学ぶことはもちろんですが、日本の文化を伝える力も同じくらい大事。互いに理解し合うことが、真の国際交流につながると感じています。

── 区長ご自身は、英語教育についてどう考えていますか?

大久保区長:私自身は英語が得意ではないのですが(笑)、これからの時代、英語は欠かせません。だからこそ、子どもたちには早い段階から英語に親しみ、楽しみながら身につけてほしいと思います。

伝統行事に中高生が参加。地域の絆を育む取り組み

── 海外との交流だけでなく、地元地域とのつながりづくりにも力を入れていますね。

大久保区長:亀戸の夏祭りや深川の青空市など、江東区には昔から続く行事がたくさんあります。そこに地元の中高生がボランティアとして関わってくれているのです。お神輿の担ぎ手が小学校で出前授業を行うなど、地域の方々が力を合わせて、伝統を次の世代へつないでいこうという動きも広がっています。江東区はもともとスポーツ施設がとても充実していて、オリンピックやパラリンピックの会場になった施設も多いんですよ。

── 国際的な大会も予定されているそうですね。

※江東区提供

大久保区長:2025年11月15日からは、区内の施設でも聴覚障がい者のための国際的なスポーツ大会「デフリンピック」が開催される予定です。カヌーも昔から盛んな地域なんです。パラカヌー選手の瀬立モニカさんも、区内の中学校の出身。彼女は車椅子になった後もカヌーを続けて、今では世界の舞台で活躍しています。

障害があっても自分の夢をあきらめずに挑戦し続ける姿は、本当に素晴らしいと思いますし、子どもたちにとっても大きな励みになりますね。

抱っこひもやベビーベッドも。女性目線で進める防災備蓄の見直し

── 防災教育や施設整備にも力を入れているそうですね。

大久保区長:小・中学校は、災害が起きたときの避難所にも指定されています。そのため建て替えるときには、必ず「バリアフリー設計」にしたり、「上の階に避難できるスペース」をつくったりしています。江東区は水辺の多い地域ですから、水害を想定したつくりにしておくことがとても大切なのです。

──ハード面だけでなく、備蓄や支援体制の見直しも進めているとか。

大久保区長:区役所の女性職員による「プロジェクトスマイル」では、防災備蓄品の内容を見直しました。抱っこひも、ベビーベッド、カップ付きキャミソールなど、実際に女性や母親の立場から出た意見を採用しています。防災も福祉も、現場の声から生まれるものです。職員の提案が形になるのは本当に嬉しいですね。

ママたちが育児を楽しめるように、区でもサポート

── 最後に、ママスタの読者の方にメッセージをお願いします。

大久保区長:育児って、本当に大変なことが多いですよね。でも振り返ってみると、「あのとき、もっとこの瞬間を楽しめばよかったな」と思うことがたくさんあります。もちろん、それは終わってみたからこそ言えることかもしれません。

だからこそ、その限られた育児の時間を、どうか大切にしてもらいたいです。ママたちをサポートするため、区としてもいろいろな制度がありますので、どんどん活用してください。さまざまな支援を活用し、育児を楽しみながら、お子さんとの時間を笑顔で過ごしてほしいと思います。

※取材は2025年10月に行いました。記事の内容は取材時時点のものです。

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