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パスポートや航空券なしでロンドンからニューヨークへ 空港セキュリティの甘さに批判の声(英)

Techinsight

航空券やパスポートを持たずに空港にやってきた男は、一度も提示を求められることなく「ブリティッシュ・エアウェイズ」の機内に搭乗したという(『Metro 「Man who vanished after flying to New York without passport or ticket arrested」(Picture: EPA)』より)

英ロンドンの空港からパスポートや航空券も持たずに国際線の飛行機に搭乗し、米ニューヨークに降り立った男が逮捕された。男は他の乗客の後ろにピタリとくっついてセキュリティなどを通過しており、無料でフライト中の食事などを楽しんでいた。しかしアメリカへ入国する際にパスポートを提示することができず、その場でロンドンに送り返された。パスポートや航空券なしで出国できてしまったセキュリティの甘さには、「なぜ見逃されてしまったんだ?」といった批判の声があがっている。英ニュースメディア『The Sun』などが報じた。

英バークシャー州スラウ出身で無職のクレイグ・スタート(Craig Sturt、46)は昨年12月23日、英ロンドンのヒースロー空港を訪れた。通常なら航空券を持ってカウンターでチェックインや荷物の預け入れなどを済ませるが、クレイグは航空券を購入しておらず、チェックインをせずに5番ターミナルの保安検査場に向かった。

当時、空港にはいつものように警察官や空港職員が配備されており、目を光らせながら保安検査を進めていた。保安検査では搭乗券やパスポートを提示する必要があるが、クレイグはどちらも用意していなかった。提示できなければ保安検査を通過することはできないが、クレイグは前の乗客の後ろにピタリとくっついて進んでいった。

しかし保安検査を通過することができても、搭乗の際にはパスポートの提示が必要だ。だがクレイグは、イギリスの航空会社「ブリティッシュ・エアウェイズ」が運航するフライトの搭乗口へ向かうと、またしても前の搭乗客の後ろに張りつくように進んだ。そしてパスポートを見せることなく、飛行機に乗り込むことができてしまったのだ。

当時はクリスマス前のハイシーズンだったため、「飛行機に乗れても座席がないのでは?」という疑問が生まれるところだが、乗り換えで搭乗予定だった乗客が間に合わなかった影響で空席があったため、クレイグは座席に座ることができたそうだ。

ひとたび搭乗してしまえば、フライト中にパスポートや航空券を確認されることはほとんどない。クレイグは無料で機内食などを楽しみ、快適なフライトを味わった。

そして飛行機は12月24日、目的地の米ニューヨークにあるジョン・F・ケネディ国際空港に到着した。飛行機から降りたクレイグは、入国審査の際にパスポートを提示することができず、ここでようやく悪行が明るみに出た。

パスポートや航空券も持たずにロンドンからニューヨークにやって来たクレイグは、アメリカの警察に逮捕された。チャーター機でイギリスに送還され、クリスマス当日の午後8時にヒースロー空港に到着したクレイグは、複数の航空法に違反したことでイギリスでも逮捕され、バークシャー州レディングにある精神科病院で隔離された。

ところがクレイグは同病院から脱走し、先月22日にアクスブリッジ治安判事裁判所で行われた法廷審問にも出廷しなかったため、逮捕状が発行された。テムズ・バレー警察は先月30日に、“緊急捜索中の行方不明者”としてクレイグの顔写真などを公開し、身柄確保のための情報提供を呼びかけた。クレイグはロンドンのトッテナム・コート・ロードでATMから200ポンド(約3万7700円)を引き出しているところを防犯カメラに捉えられ、先月31日よりロンドン警視庁に捜査権限が移った。そして今月12日、ロンドン警視庁は英ニュースメディア『The Sun』に対し、クレイグは逮捕されて現在、拘留中であると明かした。

英内務大臣のジェイムズ・クレヴァリー氏(James Cleverly)は、「こんな事態が起こるなんて、唖然としますよ。誰かがクビになるでしょうね。『テロリストが発見されずに搭乗していたら』と考えるだけでぞっとしますよ。今回の件はヒースロー空港と国境警備隊にとって大恥ですし、ブリティッシュ・エアウェイズにとっても良い印象はありません。スタッフたちはいい加減な仕事をして、自分の仕事をきちんと遂行しなかったのです」と非難している。

さらにジェイムズ氏は、「アメリカの政府関係者は激怒しており、なぜこのようなことが起きたのか、真相を知りたがっています。彼は複雑なセキュリティシステムをかいくぐるために壮大な計画を立てたわけでもなく、単に前の搭乗客の後について行っただけなのですよ」と語った。

ヒースロー空港の広報担当者は、「空港の制限区域に行く人は、セキュリティチェックの対象となります。現在進行中の当局の捜査に協力しています」とコメントしており、ブリティッシュ・エアウェイズの広報担当者も、「当局の捜査に協力しています」と述べた。

今回のニュースを見た人々からは、「パスポートもなしに保安検査などを通過できたなんて、とても信じられない」「ブリティッシュ・エアウェイズは搭乗券やパスポートをチェックする義務があるのに、それをしなかったのは良くない」「セキュリティの過失なのに、なぜこの人が逮捕されないといけないの?」「セキュリティの無能さを証明したこの男には、メダルが贈られるべき」「どうしてこんなことが見逃されてしまったんだ?」などと、様々な声が寄せられた。

ちなみに2022年4月には英マンチェスター在住の男性が、クロアチアの入国審査で継娘のパスポートを間違えて持ってきたことに初めて気付いたという。

画像は『Metro 「Man who vanished after flying to New York without passport or ticket arrested」(Picture: EPA)(Picture: Reuters)』『LADbile 「Dad Stuck In Croatia And Kept In Cell After Accidentally Using Daughter’s Passport」(Credit: SWNS)、「Boy Runs Away From Home Before Sneaking On To Plane And Travelling 1675 Miles」(Credit: Newsflash)』『Manchester Evening News 「Devastated family’s £7000 Thailand holiday ruined by tiny passport flaw」(Image: Suzanne Senior)』『Mirror 「Brit mum 58 used daughter’s passport to travel - even though she’s 23 in picture」(Image: Triangle News)』『real fix 「Dad Managed To Fly From UK To Poland Using His Four-Year-Old Step-Son’s Passport」(SWNS/REALFIX)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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