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「演出:荒木宏文」 前代未聞!?の“3人の演出家”に挑戦する舞台『幽☆遊☆白書』 演出家+崎山つばさインタビュー

SPICE

(左から)伊藤栄之進、 崎山つばさ、荒木宏文、加古臨王

舞台『幽☆遊☆白書』――懐かしの大人気漫画アニメ作品が2019年8月・9月に舞台化された。崎山つばさ・鈴木拡樹・橋本祥平ら2.5次元を牽引するメインキャスト、荒木宏文・平田裕香の戦隊シリーズ作品以来の共演再び……と、2.5次元舞台ファンのみならず、数々の話題性で高い期待値があったが、さらにその上をいく評判で大成功を収めた。そんな本作の続編が2020年12月に決定した。

しかし、ただの「続編決定」だけではなく、同時に驚きの仕掛けが。

「演出:伊藤栄之進、加古臨王、荒木宏文」

今回はその前代未聞となる試み「3人の演出家」と主演 浦飯幽助役の崎山つばさの、本作の支柱になる4人に注目した。

【PROFILE】
伊藤栄之進:脚本、演出家。御笠ノ忠次の名義で俳優としても活動している。ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズやミュージカル「文豪ストレイドッグス」などを手掛けている。(Twitter:@noshin0724)
加古臨王:俳優、声優、演出家。ミュージカル「刀剣乱舞」には藤原泰衡役で出演。(Twitter:@dancing_lion)
荒木宏文:俳優。テレビドラマや映画にも出演している。「獣拳戦隊ゲキレンジャー」(理央役)、ミュージカル『刀剣乱舞』(にっかり青江役)、「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」(伊弉冉一二三役)など多数の舞台作品に出演。本作ではコエンマ役で出演しながら演出も担当する。(Twitter:@araki_hiro0614)
崎山つばさ:俳優。TVドラマやバラエティ番組への出演も多く、ミュージカル『刀剣乱舞』の刀剣男士(石切丸役)として第69回NHK紅白歌合戦など多くの歌番組にも出演。自身の名義でCDも発売中。(Twitter:@skym_official)

この舞台『幽☆遊☆白書』は僕の中ではすごく特別

ーーまず、どのような経緯があって演出が3人という形になったのでしょうか。

伊藤:実は僕自身の舞台『幽☆遊☆白書』は1回で終わるつもりで、立ち上げをやったら誰かに渡したいと思っていました。でも前作がびっくりするくらい楽しかった! キャストたちもみんな自分たちで次のスケジュールを合わせるくらいになっていたり。それで「この作品を渡せる相手ってだれだろう?」って考えた時に見つからなかったのもあるし、心のどこかで渡したくないなとも思う部分もありました。いろいろ挑戦したいことがあるので、ちょっと演劇を作るということから距離を置きたいなと思ってるときに、コロナ禍で演劇をまともに作れなくなって状況が一変。なので、最初は次の公演もひとりで演出をやろうと考えたんですが、でも今このビッグタイトルをひとりで演出するっていうメンタルが自分の中で整わなかったんです。

伊藤栄之進

ーー稽古をしていても公演自体が途中でなくなる可能性もありますよね。

伊藤:そう。演出だけではなく対コロナに関しても考えていかなければならないっていう状況での作品作りはなかなかしんどい。どうしたら舞台へのモチベーションをキープできるのか、支えてくれる人間を探せないかとなったときに、プロデューサーから「加古臨王くんなんてどうです?」という話が出たんです。実は加古くんが、エンドレスさん(舞台『幽☆遊☆白書』の制作会社)制作の舞台の演出をやる予定がコロナで中止になったという経緯もありました。彼はまだ演出家としてのキャリアは浅いんですが、才能があると思っているので、彼と一緒にやるのは面白そうだなってまず思ったんです。

……でもこの作品を作るにはまだ何か足りない。舞台『幽☆遊☆白書』ってタイトルは僕の中ではすごく特別なんです。スタッフさんを含め、前作を作った人たちはすごく特別な人たちだったから、元々いた現場メンバーの中で誰か演出家で入ってもらうっていう選択肢を考えたら、一択だった!

荒木:ふふっ。

伊藤:もちろんあらやんは演出をやったことないという認識だったんですが、あらやんと加古くんと僕とのトライアングルで演出だったら……! それなら楽しんで演劇作りができる! って話したらトントン拍子で決まりました。

加古:そこからいろいろ決まっていくのが早かったですよね。

加古臨王

伊藤:うん、Zoomで週一で定例会してます。

荒木:毎週ね、楽しいですよ。

ーーZoomでの打ち合わせははかどりますか?

荒木:うーん、やっぱり会って話すの方が早いとは思いますね。音声が重なると聞き取りづらいのでその点は直接会うことには敵いませんけど、定期的にできるっていうところで効率はアップしているのかなって思います。

ーーおふたりはどうしてそのオファーを受けようと思ったんでしょうか。

加古:僕はお話をいただいて、単純にまず面白そうだなって思いました。栄之進さんと出会って10年目くらいなんですが、当初から「臨王は演出やったほうがいい」って言い続けてきてくれていました。僕自身も演出に興味があって、ようやく動いたのが去年。それも栄之進さんがきっかけで、彼の脚本でした。なので今回のこともものすごく強い縁だなって感じているし、そもそも個人的に尊敬している作演出家であるというところも大きいです。あらやんも演出家としての姿はもちろん見たことないんですが、ひとりの役者・俳優としてすごく尊敬する方なので、これはものすごく面白い組み合わせになるんじゃないかなと。あとは作品を世に出すっていうこと自体が難しいこのコロナ禍で、そういう対策も3人で一緒に考えながらやっていけるということに興味がわきました。

荒木:僕はお話をいただいたときに、ふたつ返事で「はい」と。他の演出家さんからのお願いだったらきっと悩んじゃうと思うんです。前作の稽古場で一緒に作っていって、同じ空気を吸って、芝居を味わって。栄之進さんの「幽遊白書」での脚本のあがりや演出のつけ方を見ているので、この環境なら一緒にできると思ったんです。逆に「俺の世界はこうだ。俺のやってほしいことを変えずにやってくれよ」っていうタイプの演出家だったらこういうお話には乗らなかったと思います。

もちろん原作があるのでそれに沿ったものを提示しなければなりませんが、役者の持つ個性をどう生かすのかという部分も楽しんで面白がる。そんな栄之進さんを見ていたので、この人とだったらプレイヤーでやってた時とあまり変わらない状況で「一緒に作る」ことができるなぁって想像できたので、悩むことなくオファーを受けました。

荒木宏文

ーープレイヤーでありながら、演出でもある!

荒木:キャストで僕より先輩の人もいますが、おそらく気を使うことなくできます。このカンパニー、この作品だからこそできることだと思いますけどね! ビシバシいっちゃいましょう!

一同:(笑)

ーー崎山さんはこの件を聞いてどう思いましたか。

崎山:「そうか、3人の演出家……え!? 宏くんがいる!? あれ? コエンマ出ないのかな?」って台本を見たらコエンマ役でいるんです。どういうことだろう? って驚きましたが、こういった経緯の話を聞いて一層楽しみになりました。舞台『幽☆遊☆白書』はビッグタイトルなだけに、ただ普通に舞台をするだけではきっとダメだって前作の頃から思っていたこともあり、このように誰も想像できないようなことがあった方が楽しみが増えますね。稽古場がどうなるのかまだ想像はできませんけど!

崎山つばさ

伊藤:僕ら稽古場ではどこにいるんだろうね?

崎山:前(の演出家席)に3人いるのかな? きっと威圧感がすごい!

加古:オーディションみたいになっちゃう。たしかに経験したことないね。

伊藤:みんないろんなところから見てるとか。

荒木:むしろ全員前にいないとか。

加古:今日は上手側から見るわ~とかありそう!

一同:(笑)。

崎山:でも視点が3つあるわけだから、そういう見方もできますよね。プレイヤーとして内側にも視点があるし。そんな新しい形が今後主流になってきても面白いと思います。

(左から)崎山つばさ、荒木宏文

ーー演出家が複数人いるって相当珍しいことですよね。

伊藤:いままで聞いたことないです。聞いたことないからこそ面白い! 演出家って自己主張が強い生き物だという印象もあると思いますが、普通に考えたら揉めると思うんです。「全てのセクション能力をいかにちゃんと共有して引き出せるか」っていうのが僕が考える演出家・ディレクターの仕事で、多分こういう考え方の方が世界的には主流なんです。

前回の『幽☆遊☆白書』の現場はみんなで集団創作をしている感覚でした。ちょっと劇団チックな感じではあるけれど劇団のような密接な距離感ではなく、個々がプロフェッショナルな現場。そういう意味でも僕の中で前作の現場の作り方は完璧に理想的な形で取り組めたし、最後まで終えることができた。さらにその上を目指すことになった時、作る構造からもっと攻めたくて。

そもそも僕は「挑戦」がないとモチベーションがキープできないんです。他のシリーズものの舞台でも毎回演出を降りるっていう騒動を起こしてるくらい。今回の「3人の演出家」も演劇界で聞いたことない挑戦だけど、このカンパニーだったらできるっていう確信もあります。そして僕らが見たこの景色が演劇界のスタンダードになる可能性もある。そういう、作品作りの雛型のようなものになったらいいと思います。

伊藤栄之進


芝居で繋がっていくしかないと思うと結構シビア

ーー第2弾を作るにあたっての課題とは。

荒木:まず「前作を超えること」。これは鉄板です。前作が舞台『幽☆遊☆白書』というもののベースになったと思うんです。演劇的表現と最新技術のバランスをどう面白く取り込んでいくか、そして舞台『幽☆遊☆白書』っていうジャンルをさらに確立するっていうのが今回の課題なのかなって個人的には思っています。前作よりももっと派手に、豪華になったけど、しっかりこの環境で「演劇やったよね」って同時に思わせることが必要なのかなと思っています。

加古:僕は前作のゲネプロを見てファンになった者のひとりなので、すごくプレッシャーを感じています。新たに入ったことで「下がっちゃったね」ってなったらもう目も当てられない! 僕自身の課題としては、僕が見た大好きな舞台『幽☆遊☆白書』をさらに超える歯車のひとつになればいいと思います。戦闘シーンなど激しいパフォーマンスの派手さ、エンターテインメント性が高いのに演劇的な遊びや舞台ならではの表現が共存していたら面白い作品ができるんじゃないかなっていうイメージを持っています。

加古臨王

伊藤:課題は「対コロナ」。千穐楽を無事に迎えなければいけないっていうのは今までの演劇の作り方と全然違いますし、博打にはなりたくない。ちゃんとこのやり方をやったら演劇を作れるんだぞっていうことを、データ収集もしながら作っていきたいなと。今先進国で演劇を上演しているところってあまりなくて……特に2.5次元はこの状況下でもちゃんと回ってたりするんですが、その役割って実はすごく大きいなって思ってます。どれだけコロナに立ち向かえるかっていうのも今回のひとつのテーマですね。

崎山:初めて舞台『幽☆遊☆白書』が発表されたときもものすごく注目度や期待値が高くて、顔合わせした時にみんなでそれを共有した記憶があります。プレッシャーも大きかったですが、前作だからこそインパクトを与えられたっていうところもあると思います。コロナの不安があるとはいえ、高いハードルをしっかり超えていけるようなものを見せたいです。個人的には前回は幽助を作るまでにすごく時間がかかってしまったので、今回は稽古にスムーズに入れるようにしたい。それと、前作では地方公演もあったのでみんなと飲みに行く機会が多かったんです。でも今回はそれができないから、どうやって埋めていこうかなって……。今回新たに加わってくれる方もいるので、飲みに行くのとは違うやり方で深められればというのも課題かもしれません。

ーー確かに、お互いへの理解を深めるのに食事や飲み会をしますが、しばらくはそれも気軽にできませんよね。

荒木:感染のリスクでいえば、本番入ってからよりも稽古中の方が危険だと思います。同じシーンを何度も繰り返したり、いろんなことを稽古では試します。稽古場に行くまでの交通機関、並行してほかの舞台をやっていたりすると出会う人や関わる人も増えるわけだから、リスクはどうしても高くなってしまう。稽古期間中に親睦会開きましょうなんて本当に危ない! 芝居で繋がっていくしかないと思うと結構シビアだよね……。だからこそ役者がやってて楽しいと思える稽古内容にしたいな。

原作に忠実「じゃなかった」キャラクター

ーー前回公演の反響は覚えてらっしゃいますか。

荒木:もちろん覚えています! 「ぼたんがそっくりだった」って。

伊藤:Twitterのトレンドに入ってた!

荒木:そのくらいそっくりって言われていたのが一番記憶に残ってます。

崎山:コエンマ登場もなかなかでしたよ?

荒木:ビジュアル詐欺ですよね(笑)。今回もビジュアル撮影はめちゃくちゃかっこつけて撮りたいと思ってますけど!

崎山:お客さんは「ちびコエンマどうやってやるの?」って思ってたと思うんです。それを見事にモノにしましたよね。むしろプラスアルファで面白いものを見せてくれたっていうのがすごかったし反響も大きかった。今回のキャラクターに関しては……「例の大きいサングラスの人」がいるじゃないですか。僕も舞台に演者として居ますが、どういう風に表現するか気になる人物のひとりです。

荒木:ちびコエンマで「ハードルは飛び越えるんじゃないて潜ってもいいんだ」っていうのがわかりましたね。

荒木宏文

一同:(笑)。

加古:なるほどね! 下から行く!

荒木:僕、2.5次元作品のなかで、初めて原作に忠実「じゃなかった」キャラクターかもしれません。作品のポジション――コエンマが「やるべき役割」を優先した感じでした。しかも『幽☆遊☆白書』だったからこそそれが許せたというか。

この作品はそもそも漫画とアニメがありますが、漫画自体も途中からバトル漫画になったりして進行中に修正しているところもあるし、さらにアニメでコエンマの声優である田中真弓さんもストーリーが「○○編」って進んでいく中で表現が変わっているんです。田中さんご自身もコエンマが置かれている役割を理解して演じていて、どこの場面のコエンマをイメージして見たかによっては全然違うようにも見えるし、漠然と「コエンマ」を見ている人にとってはどこを切り取っても同じに思わせることができているってことを考えると、僕もこの舞台で初めて「原作に忠実じゃなくても役を見せる、説得させる」っていう表現をやった感じがします。

伊藤:そういえば幽助は今回結構大変だよね。

荒木:うん、特に戦闘シーンが。あなたボロボロになるよ!

伊藤:前回、身体はどうだったの?

崎山:いや、やばかったです(苦笑)。前回は剛鬼・飛影の連戦と不良たちと戦ったけど、今回は桑原や飛影、蔵馬が戦うシーンもあるので幽助としては分散されるのかなって……。

荒木:分量は多くなるけど連戦じゃないから、ポイントポイントで集中できるもんね。それはやりやすいのかな。

伊藤:飛影は(お話的には)秒で戦いが終わっちゃうけどね

崎山:アイツ(飛影役:橋本祥平)には負荷かけてください。

崎山つばさ

荒木:祥平がね、多分それじゃ満足しないから!

伊藤:そのあたり、実はもう考えてある(笑)。

ーー最後にファンのみなさまに向けてメッセージをお願いします。

加古:まず3人でブレーンになって、カンパニーのみなさんとともに、この状況下の中でも前作を超えるようなエンターテインメント、演劇を作りたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

荒木:演出の部分でも参加させていただき、すでに打ち合わせにも臨んでいるんですが、演劇を作ることが楽しいなって思える進行状況です。これを稽古始まって役者をやり始めたらもっと楽しくなるんだろうなっていう想像ができるし、今からとてもワクワクしています。やっぱり楽しいなっていう気持ちのまま幕を下ろせるように、最後まで楽しんで作っていきたいなと思います。

伊藤:演劇の理想って遊んでいるうちにできあがって、お客さんも巻き込んで遊んで、千穐楽がきたら「ああ楽しかった!」で終われるのが理想です。このタイトルは前回それを本当に久しぶりにやらせてもらいました。今回もただただ楽しく作って終わればいいなと思っています。楽しみにしていてほしいし、公演を観に来れたら、または配信ででも見ていただけたら嬉しいです。

崎山:この舞台が公演される頃はコロナ禍における演劇がどうなっているかまだわかりませんが、僕らもお客さんもみんなで万全な状況を作っていきたいですし、純粋に楽しんで帰ってもらうっていう段階にいけていたらいいなって思います。『幽☆遊☆白書』はバトル漫画でもあるので見て爽快な気持ちになってもらいたいですし、純粋に演劇を楽しんでもらいたいっていうのも強くあります。前向きに待っていてください。

(左から)伊藤栄之進、 崎山つばさ、荒木宏文、加古臨王

取材・文=松本裕美 撮影=池上夢貢

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