あらき ゲスト6名を迎えた賑やかな饗宴『LIVE ARK HELIX』、KT Zepp Yokohama公演をレポート
LIVE ARK HELIX
2024.12.1 KT Zepp Yokohama
歌い手のあらきがプロデュースするライブイベント『LIVE ARK HELIX』が、2024年12月に神奈川と大阪にて開催。「あらきが見初めた」ゲストボーカル6名<弱酸性、shack、Izumi、NORISTRY、モリスレイ、KOOL>を迎え、それぞれの個性やこの日しか見れないコラボパフォーマンスがシームレスにつながっていく、賑やかな饗宴となった。ここでは、12月1日にKT Zepp Yokohamaにて行われた神奈川公演の模様をお伝えする。
“HELIX=螺旋”を思わせるオープニングの演出が期待感を高める中、先陣を切ったのはあらきだ。「紳士諸君、淑女諸君、おおいに騒いでいってください!」と呼びかけて始まったのは「トキヲ・ファンカ」。すぐさま熱量高いコール&レスポンスが巻き起こり、1曲目からアクセル全開のオーディエンス。続く「スーサイドパレヱド」でも全力コールが響き渡り、会場全体が享楽の渦に巻き込まれていく。
「ひとときも目を離すことなく、全細胞で最後まで楽しんでいってください!」
そう挨拶したあらきが最初に呼び込んだのはモリスレイだ。「俺にも声聴かせてもらっていいですか⁉」と煽り「パンダヒーロー」をソロで歌い上げる。オーディエンスからのかけ声に感情を爆発させる歌声で応え、続く「バビロン」でもオーディエンスの熱狂を加速させるように捲し立てる。
次は何がくるのか?と一瞬の間が空いた瞬間、あらきが再びステージへ。モリスレイとの「ラヴィ」の歌い出しで歓声が上がる。荒ぶるラップとハイトーンの掛け合いは相性バツグンだ。
あらきを送り出した後、モリスレイがshackをステージへ招き2人で高揚感たっぷりに歌って沸かせたのは「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」。shackがMCで「踊ろうぜ!」と叫んでスタートしたのは「バレリーコ」だ。コール&レスポンスを全身で浴びながら多層的な歌声を響かせていく。続くオリジナル曲の「健康的ミュージック」でもオーディエンスと手の振りを合わせ笑顔を見せる。shack自身がライブで歌うことを心底楽しんでいるのがひしひしと伝わってきた。
「健康的ミュージック」終わり、何やらステージ後方から「楽しいー!!」という声が聞こえる。曲中もコーラスで参加していたKOOLだ。shackの呼び掛けに応じ、KOOLはステージ前方に登場。「バッド・ダンス・ホール」で一気にボルテージが上がる。2人の息ぴったりな歌声に盛り上がらないわけがない。
颯爽とステージに現れたのはIzumi。「セパレイト」「ワールド・ランプシェード」といった青い疾走感を思わせる楽曲を伸びやかな歌声で歌い上げる。「もっともっと熱くなってもらいます! あの男を呼びましょう!」とIzumiが叫び、駆け足で登場したのはあらきだ。その様はまるでこれから試合が始まるよう。お互いをリスペクトしているからこそ本気でぶつかり合うあらきとIzumiの「PLATONIC GIRL」。前半戦の勢いは最高潮へ。
「今日のライブは一度きり、終われば泡のように消えてしまいます。でも、この日のことを忘れないでもらいたいです」そう前置きしてあらきが丁寧に歌ったのは「シャボン」。静も動も、低音も高音も、歌声を自在に操ることができるのがあらきなのだな、とあらためて思う。
IzumiとNORISTRYのタッグで艶っぽさマックスに彩った「ダーリン」。あらきとNORISTRYの歌唱力にただただ圧倒された「8.32」。お互いに念願だったコラボが実現した喜びを噛み締めるあらきとNORISTRYの姿も印象的だった。なにしろ『LIVE ARK HELIX』のコラボが生む化学反応はとんでもなく刺激的だ。
NORISTRYはバラードアレンジの「少女レイ」をエモーショナルな歌声で歌い上げる。雨の音を再現するレインスティックの音色とあらきのコーラスを織り交ぜたハーモニーは、少女の儚く切ない想いを感じさせた。
間髪入れずに「僕もみなさんと一緒に歌いたいな!」とオーディエンスを誘い、ソウルフルな歌声で虜にした「ビビデバ」。ライブ中盤、NORISTRYによってオーディエンスはよりいっそう高低差の激しい感情のジェットコースターに乗せられることに。
礼儀正しく挨拶し、「メーベル」で揺れ動く曖昧な気持ちを歌声で巧みに描いたのは弱酸性。歌い手の先輩からバトンを受け取り披露した「砂の惑星」。どこか透明感の中にも憂い帯びるような、他には無い不思議な魔力を感じるパフォーマンスだった。
「めちゃめちゃかっこいいですねぇ!」と弱酸性を褒め称えるあらき。憧れの存在であるあらきと共にステージに立ち感激しきりな弱酸性。そんな2人で歌う「フォニイ」では、曲中に目を合わせ歌声で対話をしているようだった。初めてのコラボ歌唱とは思えないお互いの歌声に寄り添うパフォーマンスだった。
「引き続き鬼たちの共演をお届けします!」とあらきが宣言し、「まだまだ帰さんで!」といたずらっぽく現れたのはKOOL。赤と青のライトに照らされ赤鬼と青鬼のように見える2人の凄味が発揮された「鬼ノ宴」、タオル回しでオーディエンスと一体になった「サイクル」。百戦錬磨のあらきとKOOLが手を組んだら無敵である。
「あなたのその心に、ガソリン撒いて着火してもいいですか!!」と、大胆不敵な礼法でパワフルに走り抜けたKOOLの「脱法ロック」。赤いライトに染まるステージでさすがの貫録を見せつけたあらきの「ヒバナ」。7つの個性が入り乱れ、高め合い融和するその様はあまりにも鮮烈すぎた。
ステージに出演者全員がそろったのはアンコール。あらきの「白熱した闘いだった」という言葉が、この日のすべてを表していたように思う。ラストナンバーは「アンノウン・マザーグース」。重なった7人の歌声から無限の可能性と未来へ続く道標が見えたような、心に火が灯る1日となった。
12月6日(金)にはZepp Osaka Bayside公演が行われ、大盛況のうちに幕を閉じた全2公演の『LIVE ARK HELIX』。運命に導かれた“HELIX=螺旋”が、これからも途切れることなく続いていくことを切に願う。
文=杉江優花
撮影=Ryuji Tamaki