神輿が海で“みそぎ”を行う!茅ヶ崎市の西浜海岸で「浜降祭」が7月21日に開催
湘南地方を代表する夏の祭典「浜降祭(はまおりさい)」が、2025年7月21日(月・祝)に神奈川県茅ヶ崎市の西浜海岸で開催。空が白むころ、寒川神社をはじめ寒川町・茅ヶ崎市の各神社の神輿約40基が海岸に続々と集まる。
夜明けとともに約40基の神輿が集結
湘南地方を代表する夏の祭典「浜降祭」。毎年7月の海の日の早朝に、寒川神社をはじめ、寒川町・茅ヶ崎市の各神社から大小合わせて約40基の神輿が西浜海岸に集まり、その勇壮さから「暁の祭典」ともいわれる。「これほどの数の神輿が一度に集うのは全国でもめずらしい」と話すのは寒川神社の小野さん。浜降祭は神奈川県の無形民俗文化財に指定されているほか、「かながわのまつり50選」にも選ばれている伝統的な神事だ。
「ハマオリ」とは海辺における「禊(みそぎ)」を意味していて、海水のもつ霊力によって心身を清め、ご神威を授かる神事。全国各地で行われている習俗だが、この西浜海岸で行われるようになったのにはこんな由来がある(諸説あり)。天保9年(1838)、國府祭(こうのまち)に参加した寒川神社の神輿が帰路の途中に、馬入の渡し場(現在の平塚市)で地元氏子の争いに巻き込まれ、相模川に落ちて行方不明になってしまった。その数日後、南湖の浜(西浜海岸)の網元・鈴木孫七が海中に沈んだ神輿を発見し、無事神輿が寒川神社に戻るところとなった。それをきっかけに毎年寒川神社の神輿が西浜海岸に赴き、「みそぎ」をするようになったといわれる。
神輿が一斉に海に向かう「お発ち」は迫力満点!
当日は夜明けに西浜海岸に集まるよう、神輿は夜中に各神社を出発。早朝5時ごろから神輿が次々と祭場に入場し、一之鳥居、二之鳥居をくぐった後、海へと進路を変えて「みそぎ」を行う。三之鳥居を抜けた祭場にすべての神輿が集まるのは6時ごろで、約40基が横一列に整列する様子は必見。7時より厳かな雰囲気の中、斎主である寒川神社による浜降祭が執り行われ、地域の産業発展や海上安全を祈る祝詞が読み上げられる。
祭典後は帰路へと神輿が動き出す「お発(た)ち」となり、相州神輿独特の「どっこい、どっこい」という掛け声を響かせながら砂浜を乱舞する様子は迫力満点だ。「約40基が集結するので、神輿の形や担ぎ方、甚句など、それぞれの違いを楽しむのも醍醐味のひとつ。この機会に日本の伝統文化に理解を深めてもらえれば」と小野さん。早起きは必須だが、勇壮な「みそぎ」を見に出かけてみては。
開催概要
「浜降祭」
開催期間:2025年7月21日(月・祝)
開催時間:5:00~8:00ごろ
会場:西浜海岸(サザンビーチちがさき西側/神奈川県茅ヶ崎市)
アクセス:JR東海道線茅ケ崎駅から徒歩20分
【問い合わせ先】
寒川神社☎0467-75-0004
URL:https://samukawajinjya.jp/festival/hamaorisai.html
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。