都心エリアの賃貸住宅の投資家の期待利回り(キャップレート)最低値を更新│吉崎誠二の不動産投資ニュースピックアップ
【今回ピックアップするニュース】
第 54 回 「不動産投資家調査 ®」(2026年4月現在)の調査結果を発表
一般財団法人日本不動産研究所から5月27日に「第54回不動産投資家調査®」(調査時点:2026年4月)が公表された。これによれば、賃貸住宅の投資家の期待利回り(キャップレート)は、全国主要都市で引き続き史上最低水準が続いており、一部都市では最低値を更新する結果となった。
城南ワンルームは3.6%に低下 4都市で過去最低を更新
ワンルームタイプは、東京城南、札幌、横浜、大阪の4都市で前回調査(2025年11月公表:2025年10月調査)から0.1ポイント低下し、いずれも調査以来(1999年)の最低水準を更新した。賃貸住宅のキャップレートでは全国で最も低い値とされる東京城南エリアのワンルームタイプは3.6%となり、前回の3.7%から0.1ポイント低下した。
東京城南のワンルームタイプの期待利回りは、コロナ禍以降一貫して低下基調が続いており、2023年以降は3.7〜3.8%のレンジで推移してきたが、今回3.6%まで切り下がった。一般に、キャップレートよりも実際の「取引」利回りはさらに低くなる傾向があり、東京城南(想定エリアは、目黒区・世田谷区、渋谷駅や恵比寿駅まで15分以内の鉄道沿線)の優良物件では、より低い利回りでの取引されている。
主要10都市のワンルームタイプの期待利回りを見れば、東京城南は前述のとおり3.6%、次いで横浜市と大阪市が4.2%(ともに前回から-0.1ポイント)、名古屋市と福岡市が4.5%(ともに前回と同値)、京都市4.6%(前回と同値)、神戸市4.7%(前回と同値)、札幌市4.9%(前回から-0.1ポイント)、そして仙台市・広島市が5.0%(ともに前回と同値)となっている。
不動産投資を投資の1つとしてみれば、他の投資との比較の中で期待する利回りは変動する。長期(10年)国債金利は不動産投資における期待利回りのベースとされているが、
昨今のように、長期国債金利が急ピッチで上昇する局面において、ワンルームタイプの期待利回りがむしろ低下するという結果は注目に値する。
収益不動産価格は、純賃料(NOI)を還元利回りで割り戻す手法が用いられており、このときの還元利回りの参考にされるものの1つが、キャップレート(=(Capitalization Rate))であり、値が小さいほど投資リスクが低いということになる。
吉崎誠二の不動産投資ニュースピックアップについて
不動産エコノミストの吉崎誠二が、不動産投資に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。投資家や業界関係者はもちろん、不動産投資に関心がある人にとって、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。
吉崎 誠二
不動産エコノミスト
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 、(株)ディーサイン取締役 不動産研究所所長 を経て 現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション,CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演、また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。