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60年前に実在した西表島炭鉱の記憶 書籍『緑の監獄』台湾で年間優秀図書に

HUB沖縄

授賞式の様子。左は書籍『緑の牢獄』台湾版出版社の前衛出版社編集長・鄭清鴻氏、中央は映画『緑の牢獄』助監督・何孟学氏で、著者で監督の黄インイクの代理として出席した

 1960年代まで八重山列島の西表島にあった採炭場「西表炭坑」を巡るドキュメンタリー映画『緑の牢獄』(黄インイク監督)公開とともに出版された同名の書籍が、台湾の年間優秀図書に贈られる賞「Ooenbook好書賞2021」の「年度中国語創作部門」での受賞を果たした。
 黄監督は「この作品を支持してくれた読者と審査員の方々にとても感謝しています」と喜びのコメントを発表した。

3000冊以上の中から選出

 授賞式は12月4日に台北で開催された。この賞は2016年から始まっており、年毎に台湾で出版された書籍を「中国語創作」「翻訳書」「生活書」「青少年・児童」の4つのカテゴリーに分けて各分野の専門家が審査。それぞれのカテゴリーで10冊が選出され、今年は3000冊以上が選考対象だった。

 ちなみに、台湾のIT大臣として知られるオードリー・タン氏が昨年同賞の宣伝大使を務めている。

 黄監督は著作について「教科書にも載っていない歴史の断片を7年掛けて撮影し終えた後、これを映画だけでなく本としても残そうと思ったのは自然な流れでした。私にとっても大きな挑戦でした」と振り返っている。

黄インイク監督

 映画『緑の牢獄』は、炭鉱労働者の斡旋をしていた管理人の養女として10歳で台湾から西表島に渡り、80年以上島に住み続けた橋間良子さん(旧名:江氏緞)の晩年を記録したドキュメンタリー。橋間さんのインタビューを中心に、炭坑の廃墟や島の自然を捉えながら、再現映像も交えて島と彼女の歩んだ歴史に光を当てる。

映画の制作過程を記録

 書籍版は映画では描き切れなかった記録や、撮影や史料掘り起こしの過程、さらにドキュメンタリー撮影の方法論などを盛り込んだ副読本的な位置付けで、映画鑑賞と並行して読み込むと西表炭坑の歴史や撮影テーマがより立体的に浮かび上がる。もちろん、書籍単体で読んでも興味深い内容だ。

書籍版『緑の牢獄』

 審査委員を務めた精神科医師・呉易澄氏は「『緑の牢獄』は記憶の本です。同名のドキュメンタリー映画によって形成した物語の軸に沿って発展し、さまざまな歴史資料、インタビューなどを補足しながら、著者の視点と歴史的な観点からの真実が語られている」とコメントしている。

 受賞を受けて『緑の牢獄』は12月17日から沖縄市の「シアタードーナツ」での再上映が決まっている。

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