羽田空港アクセス線「臨海部ルート」も、2031年度に「東山手ルート」と同時開業に! 羽田空港アクセス線の3ルートをおさらい
羽田空港アクセス線の「臨海部ルート」に関して、JR東日本が2031年度の開業を目指し調整中と報じられています。この機会に、羽田空港アクセス線に関して、少しおさらいしておきましょう。
「羽田空港アクセス線」の3つのルート
「羽田空港アクセス線」(仮称)は、東京都心と羽田空港を結ぶJR東日本の鉄道路線です。
この羽田空港アクセス線が開業することで、「鉄道輸送力の増強」や「多方面エリアからのダイレクトアクセスの実現」、「シームレスな移動の実現」、「異常時等における輸送代替性の向上」が実現され、「都市の発展や国際競争力の強化」につながるものと考えられています。インバウンド需要のさらなる拡大などで、首都空港として重要性が高まる羽田空港の機能強化にも大きく寄与する新線の計画なのです。
羽田空港と東京都心などを3つのルートで結ぶ路線が計画されており、羽田空港の地下に建設される新駅やアクセス新線と、東京駅方面に向かう「東山手ルート」の整備に関しては、昨年4月に本格的な工事への着手が発表されています。
東京貨物ターミナル駅から羽田空港新駅までの約5kmの区間は、アクセス新線として新設される複線トンネルになることが発表されています。
羽田空港の新駅は、京急空港線・羽田空港第1・第2ターミナル駅の手前(北ウイング側)、第1ターミナルと第2ターミナルの間の首都高速湾岸線とP3駐車場との間の地下に、島式ホーム1面2線の構造で設置されます。
2023年11月に、東京都港区の「東山手ルート」の建設予定地で、明治時代の鉄道遺構・高輪築堤の一部とみられる石垣が見付かり工事への影響が懸念されていましたが、大きな遅れは生じていないようで、着工時と変わらず2031年度の開業を目標としています。完成すると、東京駅~羽田空港間は、乗り換えなしで約18分で結ばれる予定です。
東山手ルート概要はこちらをご参考に:JR東日本が羽田空港アクセス線6月からの工事着手を発表!2031年度の開業を目指す新線 | 鉄道チャンネル (tetsudo-ch.com)
2031年の同時開業を目指す「臨海部ルート」
今回新たに、2031年度に「東山手ルート」と同時開業を目指すと報道のあったのが「臨海部ルート」です。
羽田空港新駅~東京貨物ターミナル間に関しては、アクセス新線として3ルート共に同じ線路を利用します。東京貨物ターミナルの先、西側から「西山手」「東山手」「臨海部」の3ルートに分かれることになります。
最も東側のルートとなる「臨海部ルート」に関してですが、東京貨物ターミナルに隣接する場所にある、りんかい線・東臨運輸区(八潮車両基地)を通じ、そこからりんかい線へつながる回送線を複線化し、東京テレポート駅構内でりんかい線に合流、そこからりんかい線と線路が接続しているJR京葉線へ直通というルートが想像されます。
羽田空港から新木場駅間の所要時間は、約20分と想定されており、現行の東京モノレール利用で天王洲アイルでりんかい線へ乗り継ぐ41分よりも、約20分間短縮されるとされています。
羽田空港から京葉線に直接つながると、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅や、幕張メッセがある海浜幕張駅、そして千葉県の内房地域などへの直通列車が考えられますので、羽田空港から各地を結ぶアクセスが格段に向上することとなります。
もう一つ計画されている「西山手ルート」に関しては、現段階では特に進捗などは発表されていません。こちらは、東京貨物ターミナルの北側から西へ向かう新たな線路(東品川短絡線)を建設し、品川シーサイド駅・大井町駅間でりんかい線に合流するルートが予想されています。この新線の建築に、少し時間を要すると思われます。
「東山手ルート」と「臨海部ルート」という2つのルートが開業することで、羽田空港から首都圏の北西地域へのアクセスが大幅に向上すると考えられます。同時に開業ができるのか、進捗に注目していきましょう。
鎌田啓吾(鉄道チャンネル)