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時短勤務のお金の不安を解消する!?「育児時短就業給付」とは?

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日本では長らく女性の社会進出が遅れており、家事や育児は主に女性の役割とされてきました。しかし、少子化対策の強化を目的として2023年12月に「こども未来戦略」が閣議設定され、さまざまな施策が考えられています。そのひとつが、「育児時短就業給付(仮称)」の創設です。本記事では、育児時短就業給付(仮称)についての概要と、女性が働き続けることの難しさ、さらに金銭的支援以外に求められる支援についてまとめてみました。

育児時短就業給付(仮称)とは

【画像出典元】「stock.adobe.com/beeboys」

育児時短就業給付(仮称)は、短時間勤務によって生じる賃金低下を補い、男女ともに時短勤務を取得しやすくすることを目的とした制度です。対象者は2歳未満の子どもがいる労働者であり、給付額は賃金の1割とする方向で現在厚生労働省にて検討が進められています。(2025年からの実施を目標)

現行の育児・介護休業法では、子どもが3歳未満の場合に原則として1日6時間の勤務とする「育児のための短時間勤務制度」が定められています。労働者は子どもが3歳に達するまで短時間勤務を利用できる一方で、この制度を利用すると6時間分の賃金しか受け取ることができません。そのため、なにかとお金がかかる未就園児の時期に一家としての収入が減ってしまい、経済的な負担を感じる人も少なくありませんでした。

育児時短就業給付(仮称)が創設されれば、時短勤務によって減少する収入を補うことができます。また、男女問わず対象となるため、育児をする労働者がより時短勤務を利用しやすくなるでしょう。

女性が正社員として働き続ける難しさ

残念ながら、日本では「女性が家事・育児をすべきだ」といった強いバイアスがあり、そのことはデータにも表れています。OECDのデータを元に、女性の家事時間を男性の家事時間で割ると、日本の女性の家事時間は男性の5倍以上という結果になりました。特に韓国と日本ではその傾向が強く、現実問題として両国とも少子高齢化が深刻化しています。

※女性の家事時間/男性の家事時間(OECD.Statを元に著者作成)

もうひとつ、内閣府男女共同参画局が公表したデータを見てみましょう。女性の「正規の職員・従業員」は25歳から29歳がピークであり、その後は年齢が下がると共に割合が減少し、パートやアルバイトなどの非正規雇用者が増加しています。実際のところ、女性が結婚や育児を理由に退職するケースは多く、一度退職してしまうと正規社員に戻ることは困難です。

※出典:「社会全体の女性の活躍状況」内閣府男女共同参画局

実際、私は妊娠を機に仕事をやめました。周りの友人たちを見ても育休中に退職した人、小一の壁を機に非正規雇用に切り替えた人と、全員が仕事をやめたわけではありませんが、非正規に変わった友人は非常に多いように感じています。その背景には男性の働き方(数年ごとの転勤ありなど)や職場の制度が整っていないといったさまざまな事情もありますが、育児時短就業給付(仮称)で短時間勤務がしやすくなれば、正社員として働き続けることを選択する女性が増えるのではないかと考えています。

金銭面だけではないバックアップ体制も必要か

【画像出典元】「New Africa/Shutterstock.com」

育児時短就業給付(仮称)では賃金低下を補い、育児とキャリア形成の両立を支援することを目的としていますが、特に子どもが未就園児・未就学児の間はさまざまな面でサポートが必要ではないかと思います。私自身、2人の子どもを育てていますが、私たちが考えている以上に小さい子どもはすぐに体調を崩します。子どもの体調不良で仕事を休めば、当然他のメンバーに負担をかけてしまいますが、とはいえ子どもを病院に連れて行かないわけにはいきません。昨今では「孫疲れ」という言葉も聞くように、晩婚化に伴って祖父母となる親の年齢も高齢化しており、場合によっては親族の助けを借りられないケースもあるでしょう。

ベビーシッターなどのサポート制度を充実させることはもちろん、病児保育の拡充など、他にもできることがまだたくさんあるのではないかと感じています。また、どうしても女性の育児・家事時間が長い中で、正規・非正規、兼業・専業を問わず、一時的に子どもを預かってくれるサービスや施設がまだまだ足りていない、あっても予約がとれないといった声も多く聞きます。

超高齢化が深刻化する日本において、少子化対策は大切な事業の一つです。育児時短就業給付(仮称)だけでなく、「こども未来戦略」の他の施策についても今後の動向を見守りたいと思います。

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