カーリーネクタイはどう選ぶ?開発者が語る「厚み」と「動き」の使い分け
気鋭のブランド「Brizm」を率いる松山カズヒロさんに、カーリーネクタイ制作のこだわりを訊いた。徹底しているのは、現場で差がつく「厚み」と「動き」の絶妙な使い分け。開発者ならではの緻密な細分化は、そのままアングラーの実戦的なネクタイ選びに繋がるはずだ。
解説◎松山カズヒロ(まつやま・かずひろ)
写真と文◎月刊つり人編集部
Brizmの総合プロデューサーとして製品の企画・監修を行なうタイラバフリーク。釣り歴は35年で若いころはバス釣りに夢中になった。現在は明石・神戸エリアをメインに日々タイラバ実釣テストに明け暮れている。
フック絡みを徹底的に排除した「EZカーリー 明石スタンダードシングル」
ブリズムとして最初にリリースしたのが、「EZカーリー明石スタンダードシングル」です。実はこれ、もともとは僕が自分用に作って、ひとりで使ってたネクタイなんですよ。ブリズム用に別のデザインも考えてたんですけど、中途半端なものを出すわけにはいかなくて、自信のあるものをベースに改めてブラッシュアップしました。
EZカーリーのコンセプトはとにかく絡まないこと。絡まないって、めちゃくちゃ大事じゃないですか。ひと流し集中して巻いたけど、船長の指示で上げてみたら絡んでたって、かなり残念な気分になります。信じて巻ける安心感だけは絶対に妥協したくなかった。泳いだときにフックを拾わないカーリーの形状をひたすら探しました。カーリー部分の幅も、広すぎると動きが大きくなり過ぎてフックを拾いやすくなる。逆に細すぎると動きがタイトになってネクタイが思うように仕事をしない。そのちょうど真ん中。一番絡まないところに合わせています。
スタンダードシングルの動きはEZカーリーシリーズのなかでも一番ハイピッチ。でもシルエットは細身だから強すぎずタイの反応も素直に出る。「季節を選ばない安定感」っていうキャッチコピーのとおり、難しいことを考えず、ただ巻くだけでもいいです。僕は、マイクロベイトパターンやバチパターンなどで、これを結構使ってます。
絡みにくさにも大きな比重が置かれているEZ カーリーシリーズ「明石スタンダードシングル」と「EZ フックエッジハンター3本針ユニット」のセット例。下のハリがカーリーの湾曲下部までの2/3 に収まるようにするのがベストセッティング
満員の船でも釣り勝つアピール力「EZカーリー スタンダードシングル マグナム」
「EZカーリー スタンダードシングル マグナム」を作った理由は、遊漁船で例えば朝の5時から出船して昼前後に上がるまでの間に、魚探にやる気のあるタイがはっきり映るタイミングって何回かありますよね。その多くないチャンスに、確実に捕れるネクタイを作りたかった。
活性の高いタイを、いち早く自分のタイラバに気付かせて、追わせて、食わせるためのマグナムです。僕としては一番好きなネクタイで、満員の遊漁船で18人くらいが一斉にタイラバを落としている状況でも、ちゃんとタイを引っ張ってくれる感触があります。
厚みは0.7mmに設定しています。最初は市場でも流行りだしていた0.8mmで作るつもりでした。でも実際にテストすると、確かに釣れるんですけど、デッドスローでの動きが悪くなるからなのか、追ってきても最後に見切られる感じが出る。
逆に0.6mmに薄くしたら水中で伸びすぎて動きがペロペロになってしまう。本来この形で出したい動きや波動が活かせない。つまんでぶら下げてみても重力でビローンと伸びてしまいます。個人的に「重力伸び」って呼んで、カーリータイプのネクタイの性格を見る目安にしています。それで0.7mmにしたら、テストで一気にタイの反応が変わりました。
今は僕の中で、このマグナムがパイロットになっています。ハイシーズンなら初心者にもまずこれを使ってほしい。実際、仲乗りさんに「初心者の人がいるからネクタイ1本ちょうだい」って言われて渡したら、いきなり70cmクラスを釣っていた方がいましたよ。
厚みやテール部の幅などで動きの質やアピール力が変わるのでミリ単位で数多くのサンプルが生み出されている
魚の目先を変える選択肢「EZカーリー スリム ツイン」
スリム系ツインカーリーって、一般的にはフィネスとか、ちょっと食わせ寄りのイメージで使われることが多いですよね。他社さんの製品を見ても、形や薄さからしてそういう方向性がほとんどだと思います。
でも、「EZカーリー スリム ツイン」は攻めの位置づけで、スタンダードシングルを使っていて反応が止まったときに、同じ強さのまま動きだけをガラッと変えたい。味変のためのネクタイです。弱くするんじゃなくて、モジャモジャさせることで魚の目先を変える使い方を想定しています。
海苔を食べているタイミングや、バチが湧いているときなどは、このスリムツインがかなり効きました。
この長さと形で、厚みは0.6mmと結構厚いです。多くの製品は0.4~0.5mmだと思います。でもこの形状で0.5mmにすると、めちゃくちゃ絡むんですよ。絡まないギリギリのところで、ちゃんと動いて、ちゃんと存在感が出る厚みにしています。
もっとフィネス寄りで使いたいときは、真ん中でカットしてシングルにして使ってください。
Brizm の母体であるロックリンク合同会社の鍛冶達也さん(左)と勝井孝さん(右)とともに。同社のコストパフォーマンスの高いフック類を愛用していた松山さんが、タイラバ関連商品について熱い要望を送ったことからブランドが始動した
低活性時に横方向の誘いで口を使わせる「EZカーリー スタンダードシングルプラス」
気づかせてから長く追わせて口を使わせるための、シリーズの中で一番ナチュラルなのが、この「EZカーリー スタンダードシングルプラス」です。
最近はキャスティングなどイトに角度をつけた誘い方も主流です。寒くなってくると、縦の釣りで上下に追わせる動きに反応しなくなることが多くなります。タイにとって横に追えるほうが頭を上下させる必要がなくて楽です。シングルプラスは、その横方向の動きに追いかけてくれるネクタイを目指しました。追わせて追わせて、見切られずに、15mくらい巻いたところでもバイトが出るようなイメージです。
カーリー部分から先端に向かって幅を細くし過ぎないことで、ニョロニョロした動きを出しています。実はスタンダードと比べると120%サイズが大きいんです。厚みは0.7mm。0.6mmでこのサイズにすると、重力伸びしてしまうので水押しも弱くなりすぎました。
船長から「今日は角度つけたほうがいいよ」「キャスティングできる人は投げてみて」とかって指示が出ることがありますが、ドテラ流しも含め、そんなとき最初に使ってもらいたいネクタイです。
松山さんが惚れ込んでいるアシストラインが「ブリゲージ」。35Lb(5号)の細さで3本撚りの中芯が入っており、絡みにくさの面で優れているうえ、タイラバに合わせる小さなフックにも結びやすい。ラインナップは35Lb(5号)、40Lb(6号)、50Lb(8号)
ハイシーズンに可変アクションで出し抜く「EZカーリー ディアブロ」
ハイシーズンに底から20mくらいに浮いているタイをねらって食わせるような場面では、気づいてもらいやすい大きいネクタイはやっぱり強いんです。そのなかで頭ひとつ抜けられるビッグカーリーがほしい。そこで、普通に巻いていても泳ぎ方が変わるネクタイ「EZカーリー ディアブロ」を作ろうと思いました。
可変ワイドアクションと呼んでいますが、カーリー部分の出っ張り(フィン)が水を受けて、ただ一定のスピードで巻いているだけで、動きがイレギュラーになります。普段通りの釣りでも潮の中で誘い方が単調にならないのが特徴です。
今はネクタイ単体で使うのが当たり前になっています。それはネクタイの存在感をしっかり見せたいのと、抵抗を減らして早く落としたいという流れだと思います。ユニットもどんどんシンプルになってきてますが、そのなかでEZカーリーシリーズを使い分けてタイラバの深みにハマってみてほしいです。
EZカーリーシリーズの使い分けチャート
※このページは『つり人 2026年4月号』に掲載した記事を再編集したものです。