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企業にとって「ゴルフトーナメント」を支援する意義とは?地域とゴルフ、企業が身近にある関係|住友ゴム 白河工場

Sports

ダンロップブランドのタイヤやゴルフ用品メーカーとしても有名な住友ゴム工業。2014年から東日本大震災復興の意味も込め、ゴルフで福島を盛り上げようと「ダンロップ・スリクソン福島オープン」をスタートさせました。2022年からは「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」にその形を変え、それまで以上に “地域のため”の活動・枠組みづくりに注力しています。

「復興支援」「ゴルフを通した地域活性」「生涯スポーツゴルフの振興」「ジュニア育成」を4本の柱とした住友ゴムが行う福島県でのゴルフ活性化の取り組みを、Sports for Socialでは、さまざまな視点からひも解き、ゴルフの持つ価値や地域にとっての意義を発信します。

住友ゴムの国内主力タイヤ工場として、福島県白河市にある白河工場は50年という長い歴史を持ち、この地域とは切っても切り離せない関係にあります。工場として、“ゴルフによる地域活性活動”は社員に対してどのような影響を及ぼすのでしょうか?また、自社の“地域への貢献”という意味で実感できていることは何なのか?

住友ゴム工業株式会社 白河工場 総務課長、秡川彌生さん(以下、秡川)にお話を伺います。

住友ゴム白河工場とは?

1974年8月、福島県白河市に乗用車およびトラック・バス用タイヤの生産工場として操業を開始した白河工場。現在も、住友ゴムの主力製品となるタイヤの製造拠点として従業員約1,700名が東京ドーム13個分という広大な敷地面積内で働く大きな工場です。
環境への取り組みとして、水素ボイラーや太陽光発電パネルを導入し、カーボンニュートラルに積極的に取り組むだけでなく、苗木の育成や植樹などの緑化推進活動、福祉施設の訪問や幼稚園への蜂誘引器設置など地域貢献活動も行っています。

「ゴルフのボランティア」に親しんでもらうために

ーー秡川さんは、工場内でどのようなお仕事をされているのでしょうか?

秡川)総務としてさまざまな役割を担いつつ、『GENKI活動』という住友ゴム全社で行っている地域社会貢献活動の白河工場の事務局を担当しています。
昨年ですと福島県知事や白河市長をお招きした白河工場操業50周年記念祭の開催や、毎月1回福祉施設にお邪魔しているボランティア活動、地域のクリーンアップ活動などを行っています。

ーーゴルフトーナメントのボランティアとしても白河工場の方々が活躍されていると伺いました。

秡川)およそ30年前に、茨城県で行われていたダンロップ関連のゴルフトーナメントや、宮城県で行われているミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンにも5~6名でボランティアとして参加していました。私は、総務の立場でそうしたボランティアに参加する機会があったため、ゴルフトーナメントというのは割と近い存在でした。ほかの参加者も、固定したメンバーではなく2日間別のメンバーが参加し、少しずつ経験して楽しみながら興味を持ってもらえるように配慮していましたね。

住友ゴム工業株式会社 白河工場 総務課長 秡川彌生さん(写真左)と白河工場の空撮(写真右)

ーー白河工場の“地元”であるグランディ那須白河ゴルフクラブでダンロップの冠トーナメントが開催されると聞いたときは、いかがでしたか?

秡川)今までのゴルフトーナメントは“ボランティア”の意識だったのですが、2014年以降ダンロップ・スリクソン福島オープンが始まると、“運営側”の想いを感じるような活動に変わりました。
4日間の大会に、お手伝いとして工場から毎日30人、合計120人の募集を計画されて、正直最初は集めるのが非常につらかったです(笑)。工場内の会議で主旨説明や各部署に参加のお願いをしたことをよく覚えています。

ゴルフトーナメントのボランティアは、ゴルフができなくてもルールがわからなくてもできる役割がたくさんあるのですが、「ゴルフが身近なものではない方」にどのように魅力を伝え、参加してもらうかは難しかったですね。

ーーよく集めましたね(笑)。実際にボランティアをされた方々の反応はいかがでしたか?

秡川)いざ参加してみると「楽しかった」と言ってもらえたのは嬉しかったですね。もともとゴルフが好きな方は、間近でトップ選手のプレーが見られるチャンスですし、プロの練習を見たいという人もいました。また、ボランティアに参加すると別の日の観戦チケットをもらえるようにしたところ、土曜日はボランティアとして参加して、最終日の日曜日は家族で観戦にくる、というように、それぞれで楽しみ方を見つけてもらえたのがよかったです。

グランディ那須白河ゴルフクラブは結婚式が行われたり、宿泊もできたりする施設だということを知って「ゴルフしなくてもこんなに遊べるところがあるんだ」と魅力を発見し、翌日にお子さんを連れてくる人もいました。

また、自社のブランドが冠として付く大会を近くで観たり支えたりすることは、住友ゴムの社員であることのヨロコビを感じられる場にもなっています。

ーーゴルフというスポーツの魅力だけでなく、イベント全体の魅力がさまざまあり、それを社員の方が発見してくれるのは素晴らしいですね。

“地域のゴルフ”に対する白河工場の関わり

ーーこうしたボランティア参加は、職場における通常のコミュニケーションでも共通の話題ができ、社内の一体感にも繋がりますよね。

秡川)福島県にはゴルフ場が多くあり、ゴルフが盛んな地域です。白河工場にもゴルフ好きの人がたくさんいますし、そうでない人にとっても新たな発見があり共通の話題は増えたかなと思います。

ーー2014年からダンロップ・スリクソン福島オープンがスタートし、ゴルフ場以外の部分でなにか変化はありましたか?

秡川)以前、中嶋常幸プロに来ていただいてスナッグゴルフ体験会を工場内のテニスコートで開催したこともありました。大会開催やこうしたイベントをきっかけに、社内制度である『住友ゴム CSR基金』(基金に賛同する社員の給与から毎月200円を拠出、会社からも同額を上乗せし、さまざまな支援団体に寄附する制度)に“ゴルフ”の項目を白河工場としても追加しました。子ども向けのゴルフレッスンに取り組んでいる団体に、ここ数年は助成を推進しています。

白河工場のCSR基金加入率が40%を超えており、社員の興味関心が高まってきていることを嬉しく思っています。

「住友ゴムCSR基金」が2025年度助成を実施~社員の募金をもとにボランティア団体などを支援~

ーーダンロップ・スリクソン福島オープンの時代から、地元企業の協賛社数が非常に多いことも印象的な大会です。そうした意味でも地域にゴルフやこの大会自体が根付いていると感じます。

秡川)大口の協賛企業様には、大会後に記念品を持って直接お礼にお伺いし、感謝をお伝えさせていただいています。地元の企業様とのつながりも増えますし、毎年お話を伺うことができて、実際に仕事にもつながっている企業様もあります。コミュニケーションが円滑になって仕事がしやすくなるなど、大会協賛というだけではない財産をさまざまな場面で感じています。

「白河工場があるからこそ」地域に根差した大会になることができた秘訣

ーー白河工場としても、社員のボランティア参加や地域の企業との繋がりでメリットを感じていることがわかりました。逆にダンロップの冠トーナメントを開催するという意味でも、白河工場という長年地域にある工場の存在は大きかったのではないでしょうか。

秡川)白河工場の50年という歴史があるからこそ、福島県や白河市などの自治体、福島中央テレビ様などの地元メディアとも接点があり、トーナメント開催に当たっての調整などはスムーズだったと伺いました。
それだけでなく、2022年以降カタチを変え、西郷村で行っている西の郷スポーツクラブとの中学生の活動における連携も、素早い対応ができたと伺っています。

ーー復興支援ということも大きな目的の1つとして掲げていた『ダンロップ・スリクソン福島オープン』において、地域に入り込むきっかけとなる白河工場の存在は大きかったのですね。

秡川)そうですね。ですがやはり、トーナメントが実現できたことで社員の愛社精神の醸成につながりましたし、地域の皆様に支えられていることを感じられるようになりました。私たちはタイヤを作る工場ですが、ゴルフを通じてチームワークを発揮したりコミュニケーションが活性化したり、誇りにつながるようなものにもっとしていきたいと思っています。

従業員とその家族を巻き込む『ゴルフトーナメント』の力

ーー毎年スナッグゴルフのイベントをされていると伺っています。社員だけでなく、その家族も巻き込める素晴らしいイベントですね。

秡川)ゴルフは“敷居が高いイメージ”があるスポーツだと思っています。とくに子どもに関しては、大人がゴルフに触れあうきっかけ作りをしてあげる必要があります。そうした意味でスナッグゴルフはいいきっかけになるものですよね。
また、参加者には弊社ブランドである『SRIXON』ロゴの入ったハンドタオルをプレゼントすることで、私たちの宣伝にも家庭内での共通の話題にもなり得ます。スナッグゴルフが代表例ですが、さまざまな興味の入口を提供できるように取り組んでいきたいです。

ーー2022年以降、『ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま』に名前を変えました。その影響を感じる場面はありますか?

秡川)チャレンジトーナメントになったことで観戦が無料になりました。多くの社員が大会に関わったり、観戦したりするハードルは下がっていると思いますので、ゴルフやゴルフ場をより身近に感じてもらい、興味をもってもらえるように工場内でも発信していきたいと思っています。

弊社のタイヤブランド『DUNLOP』を聞いて、ゴルフブランドの『SRIXON』まで連想できる人はなかなかいません。会社全体として企業価値を高め、社名やブランドを知ってもらいファンになってもらうために、スポーツ側から盛り上げることもそうですが、タイヤ部門の人がスポーツ自体を盛り上げる動きをするなど、相互に関わりながら「住友ゴムの社員でよかった」と会社への誇りを感じられるようにしていきたいです。

ーーほかに、こんなことをしたいというアイデアがあれば教えてください!

秡川)トーナメントの会場が近いので、プロと一緒にプレーの解説つきで観戦できるような企画があると行きたいですよね。工場長杯という名前の工場内ゴルフコンペには約200名もの参加があるほど、ゴルフのプレーは人気ですし、参考にしたいと思う人も多くいるはずです。

また、東北地区や東京地区など、他の住友ゴムグループの拠点と一緒に取り組めることも行いたいです。タイヤ工場としては大きな拠点なので、近隣他県のグループ社員とその家族で工場見学に来ていただくことも実現させたいと考えており、そうした際にスナッグゴルフなどを絡めてよい体験をしていただければと思っています。

ーーありがとうございました。

秡川さんが感じる地域の盛り上がり

ダンロップ・スリクソン福島オープンが始まって以降、ほかの都道府県から白河市を訪れる人も増えたと言います。大会の時期はホテルが満室になり、ゴルフウェアを着た観戦客と思われる方々が駅前の居酒屋で飲食するなど、活気にあふれています。「ゴルフのファン層は年齢が高いかもしれませんが、県外関係なく観戦に行ったり、ご当地のグルメを堪能するなど、経済効果もあるのではないか(秡川)」ということも実際に地域の住民として感じているそうです。

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