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「この本読んでみて」は要注意。本を渡しても子どもが本好きにならない理由

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「この本読んでみて」は要注意。本を渡しても子どもが本好きにならない理由

子どもが読む本を選ぶとき、「◯年生におすすめ」と書かれている本を選ぶことはありませんか? 『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』の著者・笹沼颯太さんによると、その本の選び方には注意が必要なのだそうです。その理由を詳しく伺いました。

教えてくれたのは……笹沼颯太さん

株式会社Yondemy代表取締役。東京大学経済学部経営学科3年次に、筑駒中高時代からの友人とともに株式会社Yondemyを設立。「日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける」をミッションに、オンラインの読書教育サービス「ヨンデミー」を提供中。

『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』
著者:笹沼颯太
価格:1760円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン

子どもに「この本読んでみて」はなぜNG?

子どもにもっと本を読んでほしいと思ったとき、「○年生 おすすめ 本」とネット検索して本を購入し、子どもに渡したことはありますか? 学校からのおたよりにある課題図書を図書館で借りて、「この本、いいらしいよ」と渡したことがある方もいるかもしれません。

どちらもやりがちなことですが、東大在学中に起業して、子どもが読書にハマる習いごと「ヨンデミー」を立ち上げた笹沼颯太さんは、こうしたアクションはあまりおすすめしないとおっしゃいます。

笹沼さん 「子どもが好きな著者の新刊が出たなど、子どもの読書傾向を把握したうえでの声かけならもちろん続けてほしいです。でも『本を読めるようになってほしいから』ということなら、子どもはやらされていると感じて、かえって本を読むことを嫌がるようになります。また、『○年生におすすめ』とあるものは、本が読める子どもの水準に合わせたものであり、普段本を読み慣れていない︎子どもにとっては難しすぎる本が多いのです」

stock.adobe.com

笹沼さん 「仮に勧めた本を読み始めたとしても、途中でおもしろくないと感じたとき、子どもがやめづらくなるかもしれません。本を読むのが好きな人って、イマイチと感じた本は途中で読まなくなったり、“積読”していて読まない本がたくさんあったりすることが多いんです。読書には、『読まない自由』もあっていいと思います」

本を読むワクワク感から伝えよう

「多くの人が、『子どもに本を読ませる』という考え方をしている」と笹沼さんは指摘します。

笹沼さん 「『絵本からはもう卒業してほしい』『そろそろ伝記を読めるようになってほしい』『3年生になったから、3年生の課題図書を読めるようになってほしい』などは、僕たちが立ち上げた『ヨンデミー』を利用し始めた保護者の方からもよく寄せられる声です。メディアでも、『子どもにどう本を読ませるか』を扱うことが多いですよね。でも、本が好きな人って、読まなきゃいけないから読むのではなく、楽しいから本を読むんです」

stock.adobe.com

笹沼さん 「子どもがすすんで本を読まないのは、まだその楽しさを知らないから。本を読むワクワク感を知ると、気づいたときには子どもが本を読んでいたということもあります。だから、まず子どもに伝えたいのは、『読書って楽しい』ということ。本を読むワクワク感を知ってもらうことがスタートです」

推奨学年は気にせず、無理なく楽しめる本からスタート

笹沼さんが主宰するオンラインの読書教育『ヨンデミー』では、本の難しさを独自の分析によってあらわした「ヨンデミーレベル」と、本の総文字数で、本のレベルを測っています。下のグラフにあるように、同じ学年でも、本を読む力(ヨンデミーレベル)には、かなり幅があることがわかります。

lp.yondemy.com

笹沼さん 「『うちの子に合う本が、こんなに簡単な本だったのか!』と、これまで渡していた本とのギャップに驚く保護者はとても多いです。想像していたレベルよりも低いことが多く、ショックを受けるかもしれませんが、これまで本を読む習慣がない場合はとくに、負荷なく、無理せず楽しめる本からスタートすることがとても大切です。筋トレも、しんどいメニューから始めると、なかなか長続きしないですよね。『楽しくて、ついやっちゃった』ほうが無理なく長く続きます。そこを目指してほしいのです」

「親が読書家でなくても、子どもは読書家になれる」と笹沼さん。次回は、「本が好きな子どもがしている2つのこと」について教えていただきます。

saita編集部

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