【倉敷市】第10回ハレノミーノくらしき(2025年11月16日開催)〜 6年ぶりのにぎわいを歩く、倉敷はしごグルメ体験レポート
行ってみたいお店はたくさんあるけれど、「ちょっとハードルが高いな」「味はどのような感じ?」「雰囲気はどうだろう」、と考えすぎてしまって、なかなか新しいお店に足を踏み出せないこともありますよね。
そのような気持ちにそっと背中を押してくれるイベント「ハレノミーノくらしき」が6年ぶりに開催されました。気軽にお店を巡りながら、普段より少しお得に料理やドリンクを味わえる一日。街のあちこちで笑顔が生まれる大変楽しいイベントです。
筆者は今年、初めて参加しました。
6年ぶりに復活したこのイベントを、現地の空気とともに紹介します。
ハレノミーノくらしきとは
「ハレノミーノくらしき」は、倉敷駅前周辺の中心市街地を舞台に、参加店舗を自由に巡りながらはしごグルメを楽しめる飲食イベントです。
2012年に始まり、2019年まで毎年開催されてきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でしばらくお休みしていました。
そして2025年。
地域の飲食店をもう一度盛り上げたいという思いから、有志の実行委員会が再び立ち上がりました。節目となる第10回は74店舗が参加し、イベントを盛り上げてくれています。
ハレノミーノくらしき参加方法
ハレノミーノくらしきはチケットを購入すれば、誰でも気軽に参加できるイベントです。チケット1枚で各店舗の「1ドリンク&1フード」と交換できます。
【チケット料金】
・前売り:4,500円(5枚つづり/1枚あたり900円)
・当日:1,000円(1枚バラ売り)
回数券(5枚セット)は複数人で分けて使うこともでき、一つのお店で複数枚使うことも可能です。
友人とシェアするも良し、一人でゆっくり巡るも良し。思い思いの楽しみかたができるのがこのイベントの魅力です。
イベント当日は、Dan Y Dwa(ダナドゥア)隣の駐車場に設置された本部ブースで、予約した前売りチケットの受け取りや当日券の販売がおこなわれていました。
スタッフが笑顔で案内してくれるので、初めてでも安心。
お店の完売状況やイベントのようすなど、立ち寄って気軽に声をかけてみるのもおすすめです。
第10回ハレノミーノくらしきのようす
筆者にとって、今回が初めてのハレノミーノくらしき。
「復活したら一緒に行こうね」とずっと話していた友人と、前売りチケットを早々に購入し、この日を心待ちにしていました。
そして迎えたイベント当日。
まるで開催を祝福するように、真っ青な空が広がっています。お昼から夕方まで、倉敷の街を巡りながら楽しんだはしごグルメの一日を、順に紹介していきます。
1軒目:ビストロ プチ・ラパン
午前11時、友人二人と最初の目的地「ビストロ プチ・ラパン」で待ち合わせをしました。なんとこのお店で筆者たちはうれしい一番乗りでした。
お店は倉敷駅前の西ビル地下一階の一番奥で、隠れ家のような場所にあります。
午前11時30分のオープン予定でしたが、早くから人が集まり、あっという間に30人ほどの行列になりました。
開始時刻より10分ほど早くオープンした店内に案内されると、カウンター9席とテーブル席が一つありました。
席に着いたら、料理は決まっているのでドリンクだけ注文します。筆者はオレンジジュース、友人二人は、それぞれワインを選びました。
出てきたのは、コース料理のように美しく盛り付けられた一皿。
パセリソースとサーモンマリネの相性が抜群で、鶏のパテにはマスタードがアクセントになっています。ナイフとフォークでいただきながら至福の時間を過ごします。
プチ・ラパンは、以前は別の場所で営業していたそうで、隣に座っていたお客さんが「なつかしいな、やっぱりおいしいね!」とスタッフに声をかけていました。
そのようなやり取りを聞くだけで、長く愛されてきたお店なんだと感じます。
1軒目から心もお腹も大満足のスタートでした。
2軒目:ONODA BAR(オノダバー)
地下から地上に移動し、「次はどこへ行く?」とパンフレットを見ながら歩きます。
ちょうど12時オープンのお店があったので立ち寄ってみることに。
お店の名前は「ONODA BAR」。
すでに行列ができていましたが、運良く1巡目で入れました。カウンター9席を、店主が一人で切り盛りしています。
ニコニコと迎え入れてくれた店内では、穏やかな空気が流れ、居心地の良さを感じます。
メニューには、おつまみからしっかりした一品料理まで魅力的なものがずらり。
筆者は2品のプレートと瀬戸田みかんジュースを注文しました。
このジュースはみかんを丸ごと1個以上使って、その場で手搾りしてくれるぜいたくなドリンクなんです。
一口飲むと、炭酸の爽やかさに果肉のつぶつぶ、そしてみかん本来の甘みが重なり、果物そのものを飲んでいるような味わいです。
筆者が頼んだ料理は、旬の食材が使われていて、思わず頬がゆるむおいしさです。一品一品がていねいに作られていて、店主の料理への愛情がしっかり伝わってきました。
少し落ち着いたころ、店主に話しかけてみると、
「果物は自ら厳選し、瀬戸田をはじめとする地域の産地から取り寄せています」
と教えてくれました。
季節ごとに旬の果物を使ったカクテルも登場するそうで、「次はどの季節に来る?」と友人と話しながら店をあとにしました。
店主の人柄も含めて、また来たくなるような温かいお店でした。
3軒目:串かつ おこし
続いて、今回一番のお目当てだった「串かつ おこし」へ。
「ONODA BAR」のすぐ近くなので、「移動も楽でちょうどいいね」と話していたのですが、すでに開店前から長い行列ができていました。
並んでいる間もおしゃべりは尽きません。「次はどこへ行こうか?」「何が食べたい?」と作戦会議。
この待ち時間もまた、ハレノミーノくらしきの楽しみのひとつです。
あっという間に時間が経ち、30分ほどで入店。
カウンターのみの店内で、席に着くとまず飲み物を注文します。串かつは4種類のセットになっていました。
レンコンの間にミンチを挟んだ串や、大葉で巻いた鮭、豚肉としめじ、ひき肉入りの豆腐など、熱々出来立ての串揚げです。
食べたことのない組み合わせに少し驚きつつ、ひと口ずつじっくり味わいました。
注文したドリンクは、「生フルーツ酎ハイ」。果物が入った見た目にも楽しい一杯。
ノンアルコールも用意されていて、お酒が飲めない人にも優しいラインナップです。「よく混ぜて飲んでくださいね」とスタッフさんが親切に声をかけてくれます。
念願のお店に来られて、また来たいという気持ちが素直に湧いてくるうれしい時間でした。
ちょっと一息 美観地区や阿智神社をぶらり
お腹も満たされたので、運動も兼ねて少し歩くことにしました。
商店街をぶらぶら歩いていると、阿智神社の鳥居が見えてきました。せっかくなので、そのままお参りへ。
阿智神社の境内はそれほど混雑しておらず、鳥の鳴き声やそよ風を静かに感じられます。
お願い事をしたり、御朱印をいただいたりと、思い思いの時間を過ごしました。
帰り道は、美観地区を抜けて次の目的地へ。秋の空気が心地よく、紅葉もちょうど見頃でした。
地元に住んでいるとなかなか立ち寄る機会がない場所を訪れて、つかの間の観光気分を味わいながら街歩きを楽しみました。
4軒目:ハイザバー(ロイヤルアートホテル内)
4軒目は、ロイヤルアートホテル内の「ハイザバー」へ。
ホテルの外観に圧倒されながら、地下の入口へ向かいます。
店内には、宿泊客や観光客もいるようでした。スタッフに「相席でも良いですか?」と聞かれ、私たちはボックス席に通されました。
「おいしそうですね」「どこに行かれましたか?」
先に来ていたお客さんとの会話も自然に弾みます。このような光景が生まれるのも、ハレノミーノくらしきならではかもしれません。
メニューは「和牛肉の赤ワイン煮込み」と「濃厚抹茶のテリーヌ」から選べます。
三人でシェアしながら味わいました。
とろけるような牛肉となめらかなマッシュポテト、濃厚な抹茶テリーヌに合うフルーツと、見た目・味ともに完璧でした。
筆者たちが席を立つころ、ちょうど入れ替わるようにファミリーが店内へ入ってきました。店を出るとホテルのロビーにはずらりと行列ができるほどの盛況ぶりに。
「ハレノミーノくらしき」がいろいろな年代の人に楽しまれていることを実感した瞬間でした。
5軒目:Dan Y Dwa(ダナドゥア)
最後は「Dan Y Dwa(ダナドゥア)」へ。
店内は、多くの人でにぎわっていたので、外で待ちます。
少しの待ち時間で入ることができ、テーブル席に案内されました。メニューにはおいしそうな料理名が並び、どれを頼もうか悩みました。
ドリンクもレパートリーが豊富です。
それぞれ違う料理を注文してシェア。
「ワインに合うね」「全種類食べたいね」。見慣れないメニューに会話も弾み、ラストにふさわしい一軒となりました。
回数券もすべて使い切り、まだ行きたいお店はたくさんありましたが、もう暗くなってきていたので、筆者たちはここで切り上げることにしました。
ハレノミーノくらしきは、まだまだ夜も続きます。
午前11時から夕方まで、たっぷりと倉敷のおいしい料理と人の温かさを感じた一日でした。
チケットが余っても安心「あとノミーノ」
イベントは1日限りですが、チケットが余る心配は不要です。
期間中は「あとノミーノ」として、参加店舗で1枚900円の金券として使えます。
おつりは出ませんが、1店舗で複数枚利用できます
私たちは全部使い切りましたが、チケットが余ってしまった場合でも、ゆっくり別の日に楽しめる仕組みがあるのはとてもありがたいと感じました。
ハレノミーノくらしきに参加して
友人と過ごした時間はもちろん、初めてのお店や、偶然出会った人との会話が心に残る一日でした。
「どこのお店へ行きましたか?」「どこがおすすめですか?」
そのような何気ない会話が自然に生まれるのも、ハレノミーノくらしきの魅力だと思います。
ハレノミーノくらしきは、実行委員の皆さんのていねいな準備と、倉敷を愛する地域の人たちの気持ちが重なり合って生まれたものだと感じました。
来年はどんなお店と出会えるんだろう、どんな景色が待っているんだろうと、想像するだけで少しワクワクしてきます。
また倉敷の街でおいしい出会いがありますように。