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【渡邉美穂卒業セレモニー目前】日向坂46“飛行機雲ができる理由”を今語るべき理由

SODANE

【渡邉美穂卒業セレモニー目前】日向坂46“飛行機雲ができる理由”を今語るべき理由

(designed by 黒澤圭介)

 日向坂46(以下日向坂)は、6月1日(水)に7thシングル『僕なんか』をリリースした。3月末に念願となる約束の地・東京ドームにおけるライヴを経た彼女たちにとっては、小坂菜緒が休養から復帰して表題曲で再びセンターに立ったことも含め、再スタートとなるシングルである。その中で、今というタイミングに改めてフォーカスを当てたい楽曲がある。共通カップリングとして収録された“飛行機雲ができる理由”だ。何故今この楽曲を語るべきであるか。渡邉美穂というメンバーの卒業セレモニーを目前に控えたおひさま(日向坂ファンの総称)は推して然るべきだろうが、来るべき一日を迎えるためにこのテキストを綴る。

「口ずさめる」懐っこさと切なさの源泉

 一聴すればわかるように、J-POPリスナーの耳に馴染むポップネスは非常に強いものの、何処か切なさを携えている“飛行機雲ができる理由”。その源泉に迫る上で、まずは楽曲そのものに触れていきたい。

 4つ打ちをベースにしたビート構成の上でハネ感の強いメロディラインが展開される、というのが端的に本楽曲を言い表すものだろう。その中でまずメロディラインに触れると、間違いなく語るべきは、徹底的なまでのメロディのリフレイン(繰り返し)構造だ。特定のワードにおけるリフレインや、サビを終盤で2回繰り返すなどは邦楽定番の展開だが、この楽曲は兎にも角にもすべてのセクションにおいて、メロディがブロックごとリフレインする。Aメロだけを聴いても、末尾やブロックの繋ぎ部分は変化はするものの、それ以外はほぼ同様のメロディラインを2度繰り返す。これが他のブロックにおいてもほぼ同じように展開し、非常に音数自体は多いものでありながらも、この楽曲の中で出現するメロディの種類は基本的には4パターンしか存在しない。潜在的にリフレインのメロディ構造は脳裏に焼き付く効果を産み、ひどく端的に言えば「すぐに口ずさめる」のだ。作曲者の小網準氏は三期生楽曲である“Right?”も手掛けているが、同楽曲も同じようにメロディの音数は非常に多いものの、リフレイン構造を持ってポップスとしての強度の高さを放っている。“飛行機雲ができる理由”は、BメロのPPPH構造、7thコードの響きも含め、楽曲の強度の高さは完全に計算尽くされたものと言っていいだろう。日本人にとって非常に懐っこい耳に馴染むメロディという面で、日向坂の楽曲の中でも随一の出来だ。

 ここにアレンジ(編曲)が加わる。アレンジャーの若田部誠氏は多くの坂道グループのアレンジを手がけているが、日向坂並びにけやき坂46の楽曲だけを考えても、鍵盤の旋律とストリングス(ヴァイオリンなどの弦楽器)を楽曲イメージに合わせて組み込む点で非常に傑出している。“耳に落ちる涙”のイントロの鍵盤フレーズはグループ史上でも白眉の美しさを誇っているし、二期生楽曲の“半分の記憶”なども、アタック感の強い澄んだ鍵盤の響きが非常に切なさを増長させるアレンジを施している。“飛行機雲ができる理由”にも楽曲イメージに寄り添うためのアレンジが綿密に施され、郷愁を誘う鍵盤の旋律とストリングス、そして多重コーラスによるアレンジが楽曲のポップネスにスパイスとして加わる。ハネ感を加える意味でのアレンジもポップスとしての強度を高めるのに一役を買っていることは間違いないが、何よりも素晴らしいのはサビとCメロにおけるストリングのアレンジと多重のコーラスワークだ。サビではストリングスが柔らかで大きな旋律を奏でることによって空を泳ぐかのような解放感を創出し、Cメロではコード感の役割を超えた多重コーラスが上空へ手を伸ばすかのような浮遊感を創出することによって、空を見上げるイメージの歌詞に完全にフィットしている。

 メロディ、アレンジ共に楽曲としての「懐っこさ」というポップネスと歌詞に寄り添う切なさが施された同曲。楽曲だけを捉えても完成度の高さは明白だ。

飛行機雲=日向坂という足跡

 “飛行機雲ができる理由”というタイトルにあるように、本楽曲は「飛行機雲」というモチーフを元に歌詞世界が展開されているが、当然渡邉美穂の卒業というトピックは本楽曲に色濃く反映されていると言える。ミュージックビデオで描かれた様々なギミックはもちろん、飛行機雲という空に描かれる白は彼女のペンライトのカラーをもちろん想起させるし、冒頭渡邉が雲を描くような振りからセンターに立って自由に踊る姿を見ても、彼女の日向坂で過ごした日々を飛行機雲という言葉に宿していると言っていいだろう。

 とはいえ、彼女とこの楽曲が表現するすべての答えは卒業セレモニーというステージで目撃すべきことであり、今言葉を並べるべきものではない。語るべきは、この楽曲が日向坂というグループ/メンバーの姿と歩み、そのものをギュッと描いている点だ。

 <空のキャンパスに 指で描くような白い飛行機雲>という歌詞でストーリーは始まるのだが、この時点で明確なキーワードが登場する。「空」そして「飛行機雲」だ。日向坂は改名後から空色をグループカラーとして掲げて活動してきた。ひらがなけやきとしての苦しい日々を乗り越えて、遂に飛び立ったグループを象徴するに「空」というイメージはふさわしく、彼女たちの活躍の軌跡を表す上でまさに「飛行機雲」という言葉は言い得て妙だ。

 その理由は何故か。まずそもそも飛行機雲というものは、非常にシンプルに言えば、飛行機が空を飛ぶ中でエンジンが水蒸気を排出する、もしくは上空で急速な動きをした際に生まれるもの。まさにその原理そのままに、日向坂というグループは、常に逆境を前にしてもグループ全体のエンジンを爆発させて進んできた集団であり、そして予想もできないほど多岐に渡る活動を通してファンを驚かせてきた。<地上から空を見上げていると 飛行機雲は見えてても/エンジンの音は 何も聴こえて来ないね>という歌詞の通り、ファンには本当の意味で彼女たちがエンジンに熱を込める姿ーー表には出すことはない苦悩や努力に関しては想像することしかできないが、時には雲ができる源泉となる涙を零しながら歩んできた彼女たちの歴史は、空の中で飛行機雲のように足跡となり、目に見える形のストーリーとして刻まれ続けてきた。つまり“飛行機雲ができる理由”というのはまさしく「日向坂の歩みが生まれる理由」と言っても過言ではなく、渡邉美穂の卒業への餞としての存在に留まらず、グループにとって大きな存在となる可能性を大いに秘めているのだ。アイドルという存在は飛行機雲がそうであるように、一瞬を切り取った刹那に輝くものであるからこそ<なぜか切ない>。だからこそ、この楽曲への想いを少しでも大切に抱きながら、22人が描く最後の姿を目撃すべきだろう。

 ステージと客席の間で、互いに涙を零し続けてきた日向坂とおひさまという存在。渡邉美穂という大切な存在が旅立つ瞬間、間違いなく涙が互いに零れ落ちてしまうだろう。だからこそ、おひさまが創り出した空色の中で溢れた涙が、飛行機雲に変わるだけではなく太陽を浴びて虹となり「切なさ」を超えた「ありがとう」が溢れる美しき瞬間が生まれることを願って止まない。

(テキスト・画像デザイン:黒澤圭介)

日向坂46 リリース情報

2022年5月11日(水)発売 7thシングル「僕なんか」
商品形態:
初回仕様限定盤TYPE-A CD+Blu-ray(SRCL 12140~1)税込1900円(税抜1727円)
初回仕様限定盤TYPE-B CD+Blu-ray(SRCL 12142~3)税込1900円(税抜1727円)
初回仕様限定盤TYPE-C CD+Blu-ray(SRCL 12144~5)税込1900円(税抜1727円)
初回仕様限定盤TYPE-D CD+Blu-ray(SRCL 12146~7)税込1900円(税抜1727円)
通常版(SRCL 12148) CD only 税込1100円(税抜1000円)
※初回仕様限定盤・封入特典:応募特典シリアルナンバー封入・メンバー生写真(各TYPE別22種より1枚ランダム封入)

「僕なんか」特設サイト: https://www.hinatazaka46.com/7th_single/
公式サイト: https://www.hinatazaka46.com
公式Twitter: @hinatazaka46
公式TikTok: https://www.tiktok.com/@hinatazakanews?lang=ja-JP
公式YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/channel/UCR0V48DJyWbwEAdxLL5FjxA

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