現代のウェルネス志向にも通じる、日本人の健康に寄り添ってきた生薬のチカラ【1週間で勝手にぐっすり眠れる体になるすごい方法】
生薬は昔から日本人の健康に役立ってきた
生薬の歴史は古く、奈良の正倉院にも御物として保管されています。当時から高貴な人々の病気の治療に使われるほか、健康を保つための予防医療にも利用されてきました。
時代が進むにつれ、生薬の知識と利用法は民間にも広まります。「煎じ薬」だけではなく、湿布のような「外用薬」や「薬湯」としても用いられ、体を温めたり、血行を促進したり、また心身の疲れを癒やしたりするために利用されるようになっていきました。室町時代には5種類(桑、桃、柳、槐、楮)の樹皮、8種類の草(菖蒲=アヤメ、艾葉=ヨモギ、車前=オオバコ、荷葉=ハスの葉、蒼耳子=オナモミ、忍冬=スイカズラ、馬鞭草=クマツヅラ、繁縷=ハコベ)からなる「五木八草湯」が登場します。
江戸時代になると、「ゆず湯」「菖蒲湯」などとともに銭湯でも薬湯が用いられるようになり、一般の人々にも広まりました。そして近代に入り、生薬を配合した婦人薬「中将湯」の製造過程で出る生薬の切れ端を利用した、日本初の入浴剤が商品化。生薬は飲み薬としてだけでなく、さまざまな形で現代の生活へと溶け込んでいったのです。
これらの生薬は経験に基づいた知恵の集積ではありますが、科学的な分析が進む現代においても有効成分が注目され、その薬効は再評価されています。自然の力を借りて心身のバランスを整えるという考え方は、現代のウェルネス志向にも通じる、普遍的なものといえるでしょう。
薬が多くなかった室町時代に生まれた薬湯
生薬は、時代とともに「煎じ薬」のみならず、薬湯としても利用されるようになり、5種類の樹皮、8種類の草からなる「五木八草湯」というものが現れました。
生薬とは植物の葉、茎、根、果実、種子や、動物の一部、鉱物など、自然界に存在する薬効のあるものを、乾燥、蒸すなどして薬として使用できるようにしたもの。
● 五木( 5種類の樹皮樹木):桑、桃、柳、槐、楮
● 八草(8種類の草):菖蒲(アヤメ)、艾葉(ヨモギ)、車前(オオバコ)、荷葉(ハスの葉)、蒼耳子(オナモミ)、忍冬(スイカズラ)、馬鞭草(クマツヅラ)、繁縷(ハコベ)
⇒日本最古とされる入浴剤(薬草湯)。これらをまとめて薬草ボールにし、薬湯に→『五木八草湯』
江戸時代には季節の植物を直接お風呂に入れる、銭湯も登場
【出典】『1週間で勝手にぐっすり眠れる体になるすごい方法』著:石川泰弘/監修:新見正則
