「これまで出会ったことのない種類の“ブチ切れ”だと感じました」ーー『ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~』エリザベート・レイストン/エリー・レイス役・大西沙織さんインタビュー
2026年7月6日(月)より放送開始となるTVアニメ『ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~』。祖国に裏切られた公爵令嬢・エリザベートが、最強の魔導書を手に復讐を誓うファンタジー作品です。
アニメイトタイムズでは、主人公・エリザベート・レイストン/エリー・レイス役の大西沙織さんにインタビューを実施。物語の印象をはじめ、“ブチ切れ”という言葉からは想像できないエリザベートの冷静かつ知略的な復讐劇の魅力などを語っていただきました。
さらに、フリード(・ハルドリア)やシルビア(・ロックイート)、ミレイ(・カタリア)といったキャラクターへの印象、オープニング・エンディング映像の感想、そして本作ならではの見どころについてもたっぷりお届けします。
「これまで出会ったことのない種類の“ブチ切れ”だと感じました」
ーーまずは、本作の印象についてお聞かせください。
エリザベート・レイストン/エリー・レイス役・大西沙織さん(以下、大西):オーディションのお話をいただいた時に初めてタイトルを知ったのですが、『ブチ切れ令嬢は報復を誓いました』という言葉のインパクトがとにかく強くて(笑)。私は「ブチ切れ」と聞くと、感情を爆発させたり激しく怒ったりするイメージを持っていたので、「とんでもない令嬢が出てくる作品なんだろうな」と思っていました。
ところが台本を読んでみると、私が想像していたものとは少し違っていて、これまで出会ったことのない種類の“ブチ切れ”だと感じました。もちろんエリザベートの心の中には強い怒りもあるのですが、それを表に出して暴れるタイプではないんですよね。タイトルから受ける印象と、エリザベート自身の報復の仕方とのギャップがとても面白い作品だと思います。
ーーエリザベートの冷静な報復劇も、この作品ならではの見どころですよね。
大西:エリザベートは本当に頭が良くて、復讐のためなら使えるものを徹底的に活用する人物なんです。私にはなかなか思いつかない発想をするキャラクターなので、演じる上では難しさもありましたが、虎視眈々と報復に向けて準備を重ねていく彼女の姿が大きな魅力になっていると感じました。
以前、キャストのみんなで改めて作品の魅力について話す機会があったのですが、その時に小倉唯ちゃん(ルノア・カールトン役)がエリザベートの思考や行動を現代社会に当てはめながら分析していて、「上場企業のトップってこういう考え方をするのかもしれない」と話していたんです。
それを聞いて、私も「なるほどな」と思いました。時代設定や世界観は違いますが、現代を生きる人たちにも通じる部分があるキャラクターだと思いますし、そういう視点でも楽しめる作品だと思います。
ーー単なる復讐劇ではない魅力があるんですね。
大西:そう思います。アニメファンの方はもちろんですが、経営やビジネスに興味のある方、将来的に起業したいと考えている方が見ても楽しめる要素がある作品だと思います。だからこそ、普段あまりアニメを見ない方にもぜひ勧めていただきたいですね。復讐劇としての面白さだけでなく、エリザベートの知略や商才にも注目しながら楽しんでいただけたら嬉しいです。
私は商売の経験がないので詳しいことは分からないのですが、「数量限定」や「希少性」といった要素を利用して商品の価値を高めていく手法など、実際のビジネスにも通じる考え方が描かれていて。見ていて「なるほど、こうやって価値を作っていくんだ」と感じる部分も多かったです。
エリザベートは怒りを内側に秘めたキャラクター
ーーオーディションやアフレコ時の思い出をお聞かせください。
大西:テープオーディションだったので、自分がエリザベートから受け取った印象をそのまま表現しました。ただ、役が決まって第1話のアフレコに入った時に、自分の解釈との違いをすごく感じたんです。第1話でエリザベートが投獄され、ミレイに背中を押されて復讐を決意するシーンがあるのですが、最初に私が演じたものは熱量が高すぎたんですよね。
私の中では、「よし、復讐するぞ!」と一気に燃え上がるイメージだったのですが、ディレクションでは「もっと冷静に、虎視眈々と復讐を見据えている状態にしてください」と言われました。
例えるなら、獲物を遠くからじっと見据える豹のような感覚です。感情を爆発させるのではなく、冷静なまま報復への意志を固めていく。その温度感がエリザベートらしさなのだと教えていただきました。
これは第1話だけでなく、作品全体を通して共通していた部分でもあります。アフレコを重ねながら、「私はまだエリザベートを熱く捉えすぎていたんだな」と感じることが多かったです。
ーーエリザベートは怒りを内側に秘めている人物なんですね。
大西:そう思います。腹が立ったからといってすぐ石を投げるのではなく、その石をひたすら磨き続けて、ダイヤモンドみたいに鋭い武器になるまで準備するようなタイプというか。
「私は石を磨き続けるわよ」という強い意志を内側に抱えていて、その積み重ねがエリザベートの強さになっているんですよね。アフレコ現場でディレクションを受けて、初めて「この子はこういう人物なんだ」と深く理解できた気がします。
ーー他にディレクションなどはありましたか?
大西:皆さんそれぞれしっかり役を作ってこられていたので、ディレクション自体もそこまで多くありませんでした。この現場、本当に収録が早く終わるんですよ(笑)。
ただ、やはり私は「怒りの熱量が高すぎる」と言われることが何度かありました。それ以外はほとんどなかったので、やはりエリザベートを演じる上では「怒りをどのくらいの温度で表現するか」が作品にとって非常に重要だったのだと思います。
ーーエリザベートに共感する部分はありましたか?
大西:序盤のエリザベートには少し共感できました。エリザベートは王国のことを本当に大切に思っていて、「国民のために自分ができることを全力でやる」という気持ちで行動しているんです。婚約者のフリード王子がシルビアと浮気していることが明らかになった後も、感情的になるのではなく、「王子の評判を傷つけないように振る舞いなさい」と助言するほど懐が深いんです。
自分で言うのも少し恥ずかしいのですが、私も一度大切だと思った人や仲間はすごく大事にしたいタイプなので、その気持ちの方向性は初期のエリザベートと少し似ているかもしれません。自分が傷ついたり不利になったりしたとしても、「大切なものを守りたい」という気持ちを優先すると思います。
ーーエリザベートを演じる上で意識していたことを教えてください。
大西:作品全体を通して見ると、エリザベートの物語は“復讐”が軸になっています。でも彼女は、実際に行動を起こすその瞬間までは怒りを表に出さないんです。だから商会での交渉や商売の場面では、怒りの感情をあまり意識しないようにしていました。
エリザベートにとって大切なのは、「ここで一石を投じる」という決定的な瞬間に向けて準備を重ねること。だからこそ、演じる際は「今はまだその時ではない」「今は後々大きな波紋を起こすための土台を作っている段階」という意識を持ちながら演じていました。怒りは確かに存在しているけれど、それを随所に散りばめるのではなく、ここぞという時まで取っておくように。
ーー怒りそのものは常に抱えていても、演技ではあえて表に出さなかったんですね。
大西:そうですね。例えば商売の交渉中に怒りが見えてしまうと、相手にも伝わってしまいますよね。例え復讐とは関係ない相手だったとしても、自分の私情を表に出すことはエリザベートにとって得策ではないと思うんです。
だからこそ、その感情は本当に必要な場面まで温存している。そういう冷静さを大切にしていました。頭の回転も早いので、エリザベートを演じる時は他のキャラクターより一歩、二歩先を考えているような感覚を意識しています。普通のキャラクターなら悩みながら言うようなセリフでも、エリザベートの頭の中ではすでに次の行動や結論が見えているんです。
ーー具体的にはどういったシーンでそう感じられましたか?
大西:第1話で、お父様から建国記念パーティーに出席するよう言われる場面ですね。反論もするのですが、その時のエリザベートは「行くべきかどうか」で悩んでいるわけではなくて、むしろ「自分が行くことになった場合、どう立ち回ればいいのか」をすでに考え始めている状態でした。
お父様に任せるか自分が行くかを迷っているのではなく、「私が表に立つなら何をすべきか」という思考に入っている。だから“結論を出すための悩み”ではなく、“結論が決まった先の悩み”という感覚で演じていました。
ーーちなみに、もし大西さん自身が彼女と同じ状況に置かれたら、どう行動すると思いますか?
大西:私だったら、たぶん諦めます(笑)。牢獄に入れられた時点で、「もうここで生きていくしかないのかな」と思ってしまうかもしれません。あるいは、「誰か助けてくれないかな」と願うくらいですね。あの状況で自力で立ち上がって復讐を始めるような強さは、私にはないと思います。
でも、もし現実にもミレイみたいな頼れる存在がいたら、牢屋から助け出してもらって一緒に逃げます(笑)。復讐を考えるよりも、「もうあの人たちとは関わりたくないから別の場所で平和に暮らそう」って。たぶん二人でどこか別の国へ行って、のんびり暮らしているんじゃないでしょうか(笑)。
エリザベートの行動に大西さんも「ドン引き」⁉
ーーアフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
大西:物語自体はかなりシリアスなのですが、現場の雰囲気はとても和やかでした。特にフリードがテストでセリフを言う時は、後ろでみんながクスクス笑ってしまうくらい(笑)。「なんて残念な王子なんだろう」って。でも、その振り切れたダメさ加減が逆に魅力的で、キャスト陣の間でも「フリード大好き」という空気がありました。
私自身もフリードのセリフはすごく面白いと思っていたのですが、エリザベートはそれを面白がるキャラクターではないので、フリードと掛け合う時はかなりフラットに「あなたの発言には一切付き合いません」という気持ちでマイクの前に立っていました。
ーーフリードはどこか憎み切れないキャラクターですよね。
大西:そうですね(笑)。フリードは本当に最初から最後までフリードです。良いところを見せて株を上げるタイプではなくて、ずっと全力で突き進んでいきます。ここまで振り切っていると、逆に愛おしくなってきて、みんな「好きにならざるを得ないよね」という感じで(笑)。とにかく突き抜けたキャラクターなので、自然と愛される存在になっていたと思います。
ーーフリードの言動に対して、エリザベートが的確に言い返していくところも爽快ですよね。
大西:そうなんです。でも、それは序盤だけかもしれません。これから先は、だんだん笑い事ではなくなっていくので(笑)。
ーーちなみに、その先に待っているものを一言で表すと?
大西:「ドン引き」です(笑)。
ーードン引きですか(笑)。
大西:はい(笑)。もちろん私はエリザベートの気持ちに寄り添いながら演じていますが、客観的に見ると「そこまでやるの!?」と驚くと思います。爽快感とはまた違った面白さが、この先どんどん出てくるはずです。ぜひ楽しみにしていてください。
ーー他のキャラクターについてもお聞きしたいです。フリードの浮気相手であるシルビアには、どのような印象を持たれましたか?
大西:シルビアは最初、フリードと同じくエリザベートの前に立ちはだかる存在として登場するので、「なかなか手強い子だな」という印象でした。ただ、物語が進むにつれて彼女の背景も描かれていきます。それを知ったからといって印象が180度変わるわけではないのですが、「ただ嫌な人」という一言では片付けられないキャラクターなんです。
誰にでもそれぞれの人生や事情がありますし、そういった部分を知ることで見え方も少し変わってくるんじゃないでしょうか。演じている高野麻里佳さんがとても丁寧に向き合っている姿も見ていたので、シルビアのことも別の角度から愛してもらえたら嬉しいですね。
ーーエリザベートの国外逃亡の手助けをしたルーカス(・レブリック)については、どんな印象がありますか?
大西:ルーカスは、本当に“良い人”ですね。エリザベート目線で見ると、「なんて扱いやすい人なんだろう」と思ってしまう部分もあります(笑)。復讐への第一歩を踏み出す際にも大きな力になってくれるのですが、エリザベートとしては「悪いけれど利用させてもらうわね」という感覚で接しているところもあって。
ルーカスは少し押しに弱いというか、エリザベートが一歩踏み込めば応えてくれるタイプの人なんです。もちろん格好良いキャラクターなのですが、エリザベートがあまりにも強すぎるので、彼女と並べて見ると、ルーカスは優しさや柔らかさのほうが際立つ印象がありますね。とにかく根が良い人だなと思います。
ーーエリザベートの腹心のミレイも、とても格好良いキャラクターです。
大西:本当にそう思います。エリザベートとミレイは、多くを語らなくてもお互いを理解し合える関係だと感じますし、第1話の時点でミレイがどれだけエリザベートを大切に思っているかも伝わってくるんです。
エリザベートは王国に長年尽くしてきた人物ですが、そんな彼女に対してミレイは「国よりもあなた自身に幸せになってほしい」と背中を押してくれる。それって単なる主従関係や恩義だけではなく、人としてエリザベートを心から大切に思っているからこそ言えることだと思うんです。第1話を見た時は、「エリザベートは本当に素敵な人に支えられているな」と感じました。
ーー二人の関係性は今後も見どころになりそうですね。
大西:はい、二人の関係はこれからも続いていくので、安心していただいて大丈夫です(笑)。少なくとも、私がさっき言った“ドン引きポイント”の対象にミレイはなりませんので(笑)。
ーーでは、物語の序盤で特に注目してほしいキャラクターはいますか?
大西:ティーダですね。芹澤優ちゃんが演じている聖職者のキャラクターなのですが、すごく印象に残っています。作品全体としてはエリザベートが冷静に計画を進めていく場面が多いので、ティーダが登場した時の明るいエネルギーがとても新鮮でした。出番が飛び抜けて多いわけではないのですが、場の空気を一気に盛り上げてくれる存在です。
ティーダ自身も聖職者らしからぬ自由奔放さというか、型にはまらない魅力を持っています。どこかエリザベートと通じる部分もあるのですが、それとはまた違うティーダならではのパワーがあって。優ちゃんのお芝居も含めて、とても熱量が高くて、見ていて楽しくなるキャラクターでした。
爽快感だけでは終わらない!「ぜひ最後まで見届けていただきたいです」
ーー完成したオープニングやエンディングの印象について教えてください。
大西:「すごく格好いい!」というのが第一印象でした。想像していた以上にスタイリッシュで、おしゃれな映像になっていて。オープニングは今後登場するキャラクターたちを紹介しながら物語への期待感を高めてくれる、まさに王道のオープニングという感じです。ただ、後半になるにつれて少し不穏な空気が漂っていて、「あれはそういう意味だったのか」と後から分かるような演出もあると思います。放送が進んだ後に見返すと、また違った発見があるんじゃないでしょうか。
一方でエンディングはエリザベートにフォーカスした映像になっていて、彼女の持つ怖さや内側に抱えた感情、ドロドロとした部分を表現しているように感じました。オープニングは作品の雰囲気から考えて、勢いのある楽曲になるだろうとは想像できていたのですが、エンディングは特に予想外でしたね。
ーーどういった部分が予想外でしたか?
大西:エリザベートって、タイトルにもある通り最初は“令嬢”という印象が強いじゃないですか。だから個人的には、もっとお嬢様らしい方向性の楽曲を想像していたんです。でも実際は、令嬢としてのエリザベートというより、復讐を誓った彼女の内面に寄り添った楽曲になっていると感じました。
どちらの楽曲もエリザベートの感情に寄り添っていると思うのですが、単純な爽快感だけではなく、この先の展開を示唆しているような印象でした。
オープニングもエンディングも、ある意味ではエリザベートが少し“悪役”のようにも見える瞬間があって。その表現が後半の物語に繋がっていくんじゃないかなと。復讐に向けて準備を進めていく爽快感がある一方で、それだけでは終わらないことが映像からも伝わってきます。
ーー続いて、作品にちなんだ質問をさせてください。作中にはさまざまな魔法が登場しますが、大西さんご自身が使ってみたい魔法はありますか?
大西:エリザベートはいろいろな魔法を使っていますよね。催眠魔法のヒュプノシスだったり、氷魔法だったり、治癒魔法だったり。あと、中盤以降には見聞きした情報を蓄積できるような便利な能力も出てくるんですけど、それは「持っていたら絶対便利だろうな」と思いました。ただ、自分が実際に使ってみたいかと言われると、ヒュプノシスかもしれません。
ーー催眠魔法ですか?
大西:人にかけたいというより、自分に使いたいですね(笑)。私はあまり寝るのが上手ではなくて、途中で目が覚めてしまったり、そのまま眠れなくなったりすることがあるんです。だからヒュプノシスでぐっすり眠れるなら使ってみたいなと思います。
ただ、どれくらい効果が続くのかは気になります。もし自分で解除しないと解けないタイプだったら、自分にかけた時点で終わりですから(笑)。使い方には気を付けなきゃいけないと思いますけど、現実の私が一番使ってみたい魔法はヒュプノシスかもしれません。
ーーこれからどんな魔法が出てくるのかも楽しみですね。最後に、アニメを楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
大西:この作品は序盤と終盤でエリザベートに対する印象が大きく変わる方も多いと思います。だからこそ、ぜひ最後まで見届けていただきたいですし、この先の展開も楽しみにしていただけたら嬉しいです。
また、原作が長く続いている作品なので、私自身もアフレコ当初は「アニメではどこまで描くんだろう」と気になっていました。実際に完成した作品を見ると、「エリザベート VS 王国」という軸をしっかり貫いた構成になっていて、とても見応えがあります。原作ファンの方も「こういう形でまとめたんだ」と新たな楽しみ方ができると思うので、ぜひ放送を楽しみにお待ちください。
[インタビュー/柴山夕日 撮影/MoA]