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大切なのは畑に出て、畑を“観察“すること ――DBRラフィット社のサステナブルなワインづくり②

ワインバザールニュース

サントリーは2025年2月26日、パレスホテル東京(東京都千代田区)にて、ドメーヌ バロン ド ロートシルト ラフィット社(Domaines Barons de Rothschild Lafite)のサステナブルなワインづくりに関するセミナーを開催した。

同セミナーでは、サントリーワイン本部 輸入ワイン戦略部長の新村聡氏とDBRラフィット社のオーナーでCEOのサスキア ド ロスチャイルド氏が登壇し、2025年で40周年を迎える両社の提携の歴史や、サントリーと同様にサステナブルなワインづくりを進めるDBRラフィット社の取り組みが語られた。

本記事では、DBRラフィット社が2024年に取得したドメーヌ ウィリアム フェーブルのサステナブルなワインづくりと、地層のミネラル感を反映したシャルドネ100%の白ワイン「シャブリ グランクリュ レ クロ ドメーヌ ウィリアム フェーブル 2018」を紹介する。

気候変動に強いぶどうを育てる取り組み

DBRラフィット社は2024年、フランス・ブルゴーニュ地方シャブリにあるドメーヌ ウィリアム フェーブル(Domaine William Fèvre)を取得した。サスキア氏はシャブリを「クオリティが増していき、50年後も(気候変動の影響を受けることなく)おいしいワインをつくり続けることができる場所」と確信し、取得を決めたという。

サスキア氏によると、同ドメーヌを取得して間もなく、自然から「手痛い被害」を受けた。ブルゴーニュ地方に4回雹(ひょう)が降り、ほとんどのぶどう畑が雹害に見舞われたのだ。そのため、ぶどう栽培をやり直した畑もあった。

こうした中、サスキア氏は自然に対して謙虚でなくてはならない、自然を守ることなく人間が生活や経済活動を営んでいけると考えるのは、人間のエゴだとの思いに至った。そして、ワインづくりを将来にわたって長く続けていく上で、自然とバランスを取りながら進めるサステナブルな農業、ワインづくりの重要性を痛感した。

DBRラフィット社では、数年前からサステナブルなワインづくりに力を入れており、同社がボルドーで所有している畑のほとんどはオーガニック認証を受けている。

同社の考えるサステナブルな農法とは、年々過酷になっている気候に対して、耐性を持つぶどうを育成していくことだという。具体的には、それまで丘の下に植えていたぶどうをより高地に植える、降雨が少ない環境でぶどうの葉を取る(減らす)ことにより、葉からの蒸散を防いで干ばつに対する耐性を持たせる、といった取り組みを実施している。

さらに急進的な試みとして、ぶどうの樹を抜き、その跡に新たに生け垣をつくったり、植樹して木陰をつくったりもしている。植樹には土地に水を貯えさせる効果もあり、これによって涼しい環境をつくり、ぶどうの樹を守っている。

先人の“観察”から学ぶ

自然を重視した農法をする上で重要なのは、「畑に出ること、畑にいてじっくり観察すること」とサスキア氏は言う。

ここで2枚の地図が示された。1枚は100年ほど前の、科学を農業に活用していない時代にぶどう栽培をする人々がつくったもので、パーセル(区画)ごとに境界線が引かれている地図だ。もう1枚は2000年の初めに地質学者が作成した土壌調査の結果で、こちらも土壌の違いごとに区分けされている。

100年前(左)と2000年初頭(右)の地図(DBRラフィット社提供の資料より)

100年前の地図を見ると、科学的なツールがない時代でも、テロワールの違いやどこで土地を区分けすれば良いのか、土壌の違いでどのようにぶどうが成長していくのかを、ぶどう栽培家がしっかりと観察して理解していたことがうかがえる。

Bコープ認証を取得

DBRラフィット社は、オーガニック認証の他に「Bコープ認証」も取得している。

Bコープ認証は、アメリカの非営利団体B Lab(ビーラボ)が運営する国際的な認証制度で、厳しい評価の下、環境保護だけでなく事業を営む地域社会に多大な貢献をしている企業が取得できる。評価80点以上が高基準とされる中、DBRラフィット社は95.5点のスコアを達成している。

シャブリ グランクリュ レ クロ ドメーヌ ウィリアム フェーブル 2018

「シャブリ グランクリュ レ クロ ドメーヌ ウィリアム フェーブル 2018」は、ウィリアム フェーブルの畑のうち、丘の斜面の高いところにあり、南向きで日当たり良好、テロワールをよく表現してくれる4haの区画で採れたシャルドネを使用している。ブルゴーニュ地方のキンメリジャン土壌がもたらすミネラル感が反映された白ワインだ。

“驚くほど複雑なブーケはフルーティ、フローラル、スパイシーな香りが調和。ミネラルを感じ、骨格のある味わい。力強く、寛大なワイン”(セミナー資料より)

Chablis Grand Cru Les Clos Domaine William Fèvre 2018
タイプ・味わい:白・辛口
産地:フランス/ブルゴーニュ/シャブリ
ぶどう品種:シャルドネ100%

次回の記事では、DBRラフィット社がチリに取得したヴィニャ ロス ヴァスコス(Viña Los Vascos)を取り巻く大自然と、そこでのサステナブルな取り組みを紹介する。

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