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世界初!布が発熱する技術が変える冬の暮らし

TBSラジオ

寒くなってきて厚着をすることも増えましたが、東京江戸川区の会社が、寒むさをしのげる画期的な布を開発したということで取材しました。

世界初!電気を通すと発熱する繊維

株式会社三機コンシスの代表、松本 正秀さんに伺いました。

株式会社三機コンシス 松本 正秀さん

「布」が発熱する。触っていただくとわかるんですけども、全く普通の布で伸縮性がある、非常に柔らかい布をですね、ここに電気を流すと発熱する。

モバイルバッテリーみたいなもので接続すると、もう温かい。40度~50度ぐらいに温まるような形ですね。

糸はですね、金属のメッキした糸となってまして、触ってもですね、これ全く金属ってわかるような糸ではないんですけども、全く普通の糸と同じような柔らかさの糸を使ってまして、その糸を編んでるような布になってます。

一応、世界初で、私達はこれを日本で特許を取りまして、それを世界中で特許取ってます。

こんなに柔らかい布が発熱するのかとかいうことは非常にびっくりされますね。

<柔らかく伸びの良い生地。モバイルバッテリーをつなぐと、この生地自体が温かくなります>

基本的にモバイルバッテリーが必要ですが、たとえば従来の「電気毛布」や「電熱ウェア」。こうしたものは、中に「電熱線」が入っているので、電気を通すと金属の部分だけが熱くなります。そのため、熱い部分が偏っていて、ムラになる。

一方で「発熱する布」は、繊維自体が発熱するので、布全体がまんべんなく温かくなります(低温やけどの心配も少ないそうです)。見た目も触りごこちも布なので、丸めても折りたたんでも大丈夫。そのまま洗濯もできます。実際に商品化もされていて、腹巻やハイブランドのコートなどラインナップがあるようです。

バッグ型にして食品を温める

そうした中で、この布を使ったちょっと変わった商品も誕生していて、これが画期的だと話題なんです。株式会社WILLTEXの上田 彩花さんに伺いました。

株式会社WILLTEX 上田 彩花さん

外で手軽に食材を温めることができる「バッグ」です。

バッテリーを繋いで、電源を入れて、中に食材を入れて、温めるっていうような、本当に簡単な使い方になってます。正に布が発熱する。

ただ初めての人は「どういうこと?」ってなるのでどういう原理なんですってその都度ご説明をさせていただくんですけど。

外でお仕事される方とかは、お弁当とか軽食を温める方もユーザーさんには結構いらっしゃいますし、私はですね野球観戦とかに行くのでそういうときはポテトとか、温かいポテトを買って首からかけて、ポテトを温めながら食べるみたいな。手ても寒くなったら手とか突っ込んで手を温めるみたいな。そんな使い方をしています。

通称「持ち運べる電子レンジ」WILLCOOK TREK (税込み2万9500円)

<冷めてしまったホットドリンクも温かくなります(2時間ほどキープ)>

「WILLCOOK(ウィルクック)」というシリーズ。「WILLCOOK TREK」はA4サイズぐらいの布製バッグで、ここに冷えた缶コーヒーやお弁当箱を入れてモバイルバッテリーとつなぐと、ホカホカになります。保温性の高い素材を何層も組みあわせているので、熱が逃げにくい構造になっているため、バッグの内側は10分で100度近くまで温められるそうです。

税込み「2万9500円」とちょっと良いお値段ですが、飲料メーカーの「伊藤園」の方たちの中では営業ツールといて利用されていて、「ホットドリンクの新商品です」とプレゼンする際に、ホカホカの状態で商談することができると好評だそうです。さらに災害時に持っておけば、レトルトカレーや、赤ちゃんのミルクを温めたりすることもできるので、日常で使うものを災害時にも役立てる「フェーズフリー」のバッグとして、利用している人もいるようです。

<リュックやトートバッグとしても使える「WILLCOOK PACKABLE」は、税込み2万9500円>

手術中の患者の体温を守る

そしてこの「発熱する布」、すでに大活躍している分野があるということなんです。開発した三機コンシスの松本さんに伺いました。

株式会社三機コンシス 松本 正秀さん

医療機器にも使われてるんですね。手術中の低体温症を防止するヒーターっていうものも作ってます。

手術するときに全身麻酔を打ってしまうと、体温がどんどんどんどん下がっちゃうんですけども、それを防止するようなヒーターで、手術中の体温を維持することによって術後の経過が非常に早く治るですとか、そういう効果があるみたいで。シーツベッドの上に敷いてもらうだけです。

今って結構「カテーテル手術」みたいなものが多くて、施術中にレントゲン(✕線)で透過しながら手術をするんですけども、その✕線に映り込まないっていう特徴もあって、手術しながら温めて使うことができるっていうようなヒーターを作ってます。

「医療機器」として3年ほど前に認められ、全身麻酔中の患者の体を温めるためのシーツとして、150の病院で使われているそうです。

かつては「温水ベッド」のようなもので手術中の体温を維持していたそうですが、重量が重く移動に手間がかかる課題がありました。また、「布団乾燥機」のような装置は温めた空気が外に漏れ、手術室内の空気環境に影響を与えるリスクもありました。そうした中、この「発熱する布」は扱いやすく、低温やけどの心配も少ないため、徐々に普及しているとのことです。

世界初というだけでなく、実用性を兼ね備えた「発熱する布」。日本の技術力を世界にアピールする存在になるかもしれません。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:田中ひとみ)

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