煌めく青春と、鬼気迫る戦闘に息を呑む!劇場版『チェンソーマン レゼ篇』試写会レビュー
シリーズ累計3,000万部を突破した藤本タツキ原作「チェンソーマン」。その中でも特に人気の高い「レゼ篇」が、ついに劇場版としてスクリーンに登場!監督は吉原達矢、アニメーション制作は「呪術廻戦」や「進撃の巨人 The Final Season」を手掛けたMAPPA。主題歌には米津玄師による新曲「IRIS OUT」、そして宇多田ヒカルとの奇跡のコラボ「JANE DOE」が物語に彩りを添えています。今回は、ファン待望の『チェンソーマン レゼ篇』の魅力を紐解きます。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のストーリー
物語の中心となるのは、公安対魔特異4課に所属しデビルハンターとして日々悪魔と戦うデンジと、彼の前に現れる謎めいた少女・レゼ。雨の中の出会いから始まる関係は、やがて“恋”のようなときめきを帯びていきます。この出会いを境に、デンジの日常は変わり始めていく……。
デンジが“初めて”に触れる夜──青春がきらめく祭りのシーン
印象的なのは、デンジとレゼが織りなす祭りのデートシーン。提灯の明かり、金魚すくい、夜空を染める花火。高校生なら誰もが体験するような時間が、普通の生活を送れなかったデンジにとって、新鮮で眩しく映ります。観客の目にも、デンジの瞳を通して祭りがキラキラと映し出され、まるで観る側も「初めての青春」を追体験しているような感覚に。
また、マキマとのデートシーンでは、待ち合わせで彼女を見つけた瞬間にデンジが見せる喜びの表情に思わずクスリ。監督と副監督の対談によると、この場面ではデンジのリアクションを映像ならではの表現で膨らませており、何度も観返したくなる“遊び心”が詰まっています。
この「普通の青春」と、後半の「非日常の戦闘」とのギャップが激しく、良い意味で感情が振り回されます。
爆風、咆哮、そしてチェンソー──MAPPAが描く戦闘の極致
MAPPAによる戦闘シーンの演出は、本作においても圧巻です。台風の悪魔や爆弾の悪魔との戦闘は、まさに呼吸を忘れるほどの緊張感です。劇場ならではの大画面とサラウンド音響によって、嵐の轟音や爆発音が体全体に迫ってくるような臨場感に包まれます。
今回の戦いでデンジとバディを組むのは、アニメでお馴染みのパワーではなく、サメの魔人・ビーム。壁や地面さえも泳ぐように駆け抜けるビームと共に戦うデンジの姿は、奇抜さと迫力が絶妙に融合し、観客の目を釘付けにします。
心がぶつかり、響きあう──交錯するキャラクターの想い
本作で描かれるのは、派手なアクションだけではありません。キャラクター同士の微妙な距離感も丁寧に描かれています。例えば、早川アキは新たなバディである天使の悪魔とぶつかり合いながらも、任務を遂行しようと試みます。彼の過去を知るファンなら思わず胸が締めつけられるはず。
デンジとマキマの会話やレゼとの時間など、デンジが“誰かを想う”という感情にふれていく描写が本作の核心だと感じました。
米津玄師×宇多田ヒカルが描く青春の残響
本作を語る上で欠かせないのが音楽。TVアニメシリーズに続き米津玄師が書き下ろした「IRIS OUT」が、冒頭から疾走感を持って物語に引き込んでくれます。そしてエンディングを飾る「JANE DOE」は、宇多田ヒカルならではの深みある歌声と米津玄師の世界観が交わることで、青春のきらめきと残酷さを同時に刻み込みます。エンドロールで流れ始めると観客の感情を一気に解放してくれますよ。
心に残るのは、刃か、それともぬくもりか
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』は、刹那のきらめきを抱えた青春と、息もつかせぬ壮絶な戦闘が交差する、“美しくも残酷な愛と破壊の物語”です。
出会いの甘さ、命を懸けた戦い――その全てが、MAPPAの圧巻の映像美と、米津玄師×宇多田ヒカルの音楽によって、観る者の五感と心を激しく揺さぶります。
レゼという存在を通じて、「恋」を知ったデンジの成長と葛藤に、胸が締めつけられずにはいられません。爆音と静寂、破壊とやさしさ、その両極を自在に行き来する物語は、観終わったあとも心の中に静かに残り続けます。
9月19日(金)の公開とともに、スクリーンで“牙をむく”『チェンソーマン』の世界。その衝撃は、きっとあなたの想像を超えるはずです。ぜひ、劇場で体感してください。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の基本情報
■公開日
9 月 19 日(金)
■キャスト
デンジ:戸谷菊之介、ポチタ:井澤詩織
マキマ:楠木ともり、早川アキ:坂田将吾
パワー:ファイルーズあい、東山コベニ:高橋花林
ビーム:花江夏樹、暴力の魔人:内田夕夜
天使の悪魔:内田真礼、岸辺:津田健次郎
副隊長:高橋英則、野茂:赤羽根健治
謎の男:乃村健次
台風の悪魔:喜多村英梨 / レゼ:上田麗奈
■原作
藤本タツキ(集英社「少年ジャンプ+」連載)
■ 監督
吉原達矢 ※吉は正しくは「土」の下に「口」
■ 脚本
瀬古浩司
■年齢制限
PG12