【クロダイ(チヌ)の捌き方】臭みは下処理で消せる?美味しく食べる5つのポイント
「臭い魚」と言われるクロダイ(チヌ)だが、本来はマダイにも引けを取らない味を持つ。臭いか否かを分けるのは、釣れた時期と場所、そして下処理だ。旬の見極めから血抜き、皮引きまで、美味しく食べるための5つのポイントと写真つきの捌き方を解説する。
写真と文◎月刊つり人編集部
1946年創刊の雑誌「月刊つり人」を始め、数々の釣りに関するコンテンツを作成してきたつり人社の編集部。
クロダイ(チヌ)を美味しく食べるためのポイント5選
クロダイ(チヌ)は本来マダイにも引けを取らない美味しい魚だが、堤防や岩礁帯に居着いて生活し、多種多様なエサを口にする生態も相まって、特有の臭みを持つ個体も少なくない。
下処理の方法や釣れた時期によっても食味は大きく変化するため、まずはクロダイを美味しく食べるための基本的なポイントを押さえておきたい。
旬は秋から冬
第一のポイントは、晩秋から冬の旬を選ぶことだ。海水温が適水温へ下がる点や産卵後の体力回復、越冬に備えた活発な捕食によって体内に栄養を蓄え、脂が乗って食味が向上する。
一方で、産卵期から夏にかけては、エネルギーが卵の発達や産卵後の回復に費やされ、筋肉中の脂質やタンパク質が低下。この時期は特有の生臭みも目立ちやすくなるため注意したい。
臭みが強いかは生息する海域も重要。潮通しのいい場所で釣れる銀色の体色をしたクロダイは、臭みが少なく美味しく食べられることが多い
釣った直後に血抜きをする
第二に、釣った直後の血抜きが挙げられる。血液は生臭さの大きな原因。釣れたら即座にエラの付け根へナイフを入れて海水中で血を抜き、氷で冷やして持ち帰るのが鉄則だ。
ヌメリは皮を剥ぐ前に必ず落とす
下処理の前には、体表のヌメリを必ず落とすこと。ヌメリには生息環境の匂いが強く残る。たとえ皮を引く予定であっても、まずは真水を流しながら金タワシなどでこすり、ヌメリを完全に洗い流す必要がある。
ヌメリが付着したまま包丁を入れると、まな板や刃先を介して身へ臭いが移ってしまう。
内臓を潰さない
内臓を傷つけない丁寧な処理も心がけたい。雑食性のクロダイは内臓の内容物そのものが強烈な異臭の元となる。
腹を割く際は包丁の刃先を深く入れすぎず、内臓を破かないよう慎重に取り出すこと。取り出した後はまな板と包丁を一度きれいに洗い流すのが賢明だ。
臭みは皮に出やすい。迷ったら皮を引く
クロダイの臭みは身よりも皮に出ることが多い。居着きの個体や臭いが気になるときは、迷わず皮を引いて調理する。編集部の検証では、東京湾奥で釣れた個体であっても皮を引くことで美味しく食すことができた。
なお、皮を引いても身の匂いが気になるケースでは、後述する塩水処理を試してみるのがおすすめだ。また、スパイスを効かせた加熱料理に仕立てるのも臭みを気にせず味わう有効な一手となる。
内湾の奥まった場所で釣れた、黒みがかったクロダイ。臭いの強さに個体差はあるものの、適切な下処理や調理法次第では十分に美味しく食べられる
クロダイの下処理の手順
続いて、具体的な下処理の手順を紹介していく。
ヌメリ落としとウロコ取り
1. 真水をかけながら金ダワシで体表をこすってヌメリを落とす。臭み対策のほか食中毒の予防にもなる
2. 皮を残した料理をする場合はウロコを取る。円を描くようにこするとよい
頭を落として内臓を出す
3. 胸ビレの後ろから斜めに包丁を入れ背骨に当たるまで切れ目を入れる
4. そのまま肛門まで切り、内臓を取り出す
5. 裏返して胸ビレの後ろから包丁を入れ、頭を落とす
6. 頭を落とした状態。まな板や包丁をこの時に一度洗っておく
クロダイのさばき方
内臓を取り出し、頭を落としたら、三枚におろす。
まずは二枚おろしに
1. 血合を包丁の先でこすって取り除く。ササラがあると包丁よりも取り除きやすい
2. 肛門から尾ビレの付け根にかけて浅く包丁を入れる
3. 2で入れた切れ込みに沿って中骨を感じながら背骨に当たるまで切る
4. 尾ビレの付け根から頭側にかけて浅く包丁を入れる
5. 4で入れた切れ込みに沿って背骨まで切り進める
6. 尾ビレ側から包丁を入れ背骨と身を切り離す
7. 二枚下ろしの完成
三枚おろしと腹骨すき
8. 包丁が半分くらい進んだらすくい上げるようにして腹骨をすく
9. 反対側も1~8と同じ要領でさばく
皮を引く
10. 皮を引く時は包丁で切ろうとせずに皮を引っ張るときれいにできる
身の臭みが気になるときは3%の塩水に漬ける
皮を引いても身の臭いが気になるときは、3%の塩水(水1リットルに塩30g)に10分ほど浸ける。臭みの原因になる身の余分な水分が抜け、身も締まる。浸けすぎると塩が入りすぎるので、10分を目安に引き上げてキッチンペーパーで水気を拭う。
塩水処理は、クロダイだけでなく臭みが気になる他の魚にも応用が可能
※このページは『つり人 2023年7月号』を再編集したものです。