ポルトガルの歴史とアイデンティティを描き出す KAAT DANCE SERIES『CARCAÇA -カルカサ-』の上演が決定
2025年10月24日(金)~10月25日(土)KAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて、KAAT DANCE SERIES『CARCAÇA -カルカサ-』が上演されることが決定した。
神奈川芸術劇場では2025年度のメインシーズン作品として、ポルトガルを拠点に活躍する気鋭の振付家マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラによるフィジカルシアター作品である本作品を上演する。
「CARCAÇA(カルカサ)」とは、遥か昔に絶滅した動物の骸骨を意味するポルトガル語。この言葉を“歴史”や“記憶”の象徴と捉えた振付家マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラが、今のポルトガル、そして私たちの世界を鮮烈にあぶり出す。
アフロ、ブレイキング、フラメンコ、クドゥーロ――エネルギー溢れる多彩なステップが、まるで身体そのものが叫び出すかのように踊り継がれ、やがて舞台は一変。力強い歌と踊りで、独裁政権や植民地支配の記憶が浮かび上がる――。
本作品では、10人のダンサーと2人のミュージシャンが限界まで身体を鳴らし、ポルトガルという国の「過去」と「現在」、そして「未来」までも鮮やかに立ち上げる。社会や歴史への鋭い批評性を内包しながらも、観る者の心を揺さぶる、圧倒的な熱量を持つフィジカルシアターの傑作だ。
さまざまな出自と経歴を持つダンサーたちによるダイナミックなステップと力強い歌声が交錯し、ポルトガルの歴史とアイデンティティを鮮烈に描き出す本作品は、KAATの今年度のシーズンタイトル「虹~RAINBOW~」にふさわしい作品となっている。
マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラ(Marco da Silva Ferreira):振付・演出 コメント
-映像コメントより引用―
『CARCAÇA(カルカサ)』の振付家マルコ・ダ・シルヴァ・フェレイラです。
この作品をKAATで再演できることを心から嬉しく思っています。本作では集団の記憶やアイデンティティ、その変容を掘り下げました。まずポルトガルの伝統を振り返り、特に継承されてきた大衆の踊りや体を使った儀式に着目しました。こうした伝統の多くは抵抗や社会の団結力から生まれますが、年月とともに力強さを失い洗練され、時に忘れ去られます。本作ではこの身体的記憶を失くすとどうなるか、それらを保存対象としてではなく、今後も変化し続けるものとして、再び命を吹き込む方法を探りました。舞台上では10人のダンサーが激しさや衝突、歓喜をもって動き回り、その「架空の世界」と現代を行き来します。都会的リズムやテクノビートといった身体性も重要な要素です。
本作を、文化的伝統と現代的な想像力を併せ持つ国、日本で上演出来ることを誇りに思います。
KAATでお会いできることを楽しみにしています。『CARCAÇA(カルカサ)』が皆さんの心に残りますように。