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廣瀬友祐×植原卓也インタビュー ミュージカル『フラッシュダンス』出演の二人が感じる作品の魅力とは

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(左から)植原卓也、廣瀬友祐

アイリーン・キャラが歌う主題歌「フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング」と共に、80年代に大ヒットした映画『フラッシュダンス』がミュージカルに! ダンスの世界を夢見る少女アレックスと、彼女を取り巻く人々の生き様を描く青春物語で、80年代ヒットソングに乗せて迫力のダンスが展開される。アレックス(愛希れいか)の恋のお相手であるニックを演じる廣瀬友祐と、曲者キャラC.C.に扮する植原卓也が作品への思いを語った。

ーーもともとの映画版はご存知でしたか。

廣瀬:出演にあたり、作品にふれてみて、ちゃんと見たことはないながらも、その前から知っていたことに驚いたというか。曲はもちろん知っていて、『フラッシュダンス』の曲だったんだ……と改めて結びついた感じです。映画版は、一つのミュージック・ビデオを見ているようで、魅力的な楽曲とさまざまなダンス、それが非常に印象的でした。青春サクセス・ストーリーで、ヒロインのアレックスが夢に向かって行く姿が描かれています。10代、20代前半の若いときの自分が抱いていた夢に向かって行く姿と重なって、それは、人生とは切っても切れないものであるというか……みんなどこかしら夢に向かって生きて行っているところがあると思うので。恋愛、友情、そういったいろいろなものの中で、荒波に揉まれて、それでも前を向いて生き続けている様が、誰しも重ねられる物語なんじゃないかなと。青春とか夢とか、過去の話を甦らせて思い出にひたることもできますが、今と重ねて、エネルギーをもらえる作品なんじゃないかなと思いました。

廣瀬友祐

植原:あの『フラッシュダンス』に出演するんだ……と思いました。曲はもちろん知っていて、親も知っている作品なので、テンションが上がりましたね。映画を見て、自分が好きな要素がいっぱいあるなとも。例えば、僕が子供のときにやっていたブレイクダンスが出てきますが、ブレイクダンスのルーツのような作品で。最近のミュージカルだと、王家の何々といった感じの、しっかりかっちりした物語の作品が主流だったりもしますけど、改めて、この『フラッシュダンス』のように日常的な物語、普通の家庭で育った人がはい上がっていくような作品は、ありそうで意外とないなとも思いました。そういった意味で、自分がやってきた作品と照らし合わせても楽しめる作品なんじゃないかなとワクワクしています。

ーー役柄についてはいかがですか。

廣瀬:僕が演じるニックは、主人公アレックスが働いている製鉄会社の親会社の次期社長というお坊ちゃまで、工場に視察に行った際にアレックスに一目惚れして……というところから、ニックの物語は始まっていく。友情、愛、障害、救い、さまざまな要素が描かれるこの作品において、真ん中を走るアレックスの恋愛担当という役どころです。アレックスに対して影響を与えるというか、彼女の人生を一緒に生きる瞬間がありますが、ニックも同じように、アレックスに何かを感じて、影響されていく人間でもある。ニック自身がアレックスと出会う前にどういう人間だったのか、その軸をどう作るかは稽古次第かなと思っています。

植原:僕が演じるC.C.は、ちょっとどころじゃなく嫌な感じの敵役です。いい感じのところを邪魔しに来る役どころというか、君さえいなければ順調だったのに、みたいなポジションで(笑)。そのあたりをしっかり表現できれば、観ている方がアレックスやニックを応援したくなるだろうなと。そんなスパイスを効かせられたらいいなと思います。演出される岸谷五朗さんも、極悪人を演じるとなったらプロ中のプロみたいなところがありますので(笑)。その方の前で演じるということは一後輩としても結構ドキドキするんですが、しっかり教えていただこうと思っています。これまでにも何度か演出を受けていて、僕という人間も知っていただいていると思うので、頑張っていけたらと思っています。

植原卓也

ーー映画版で大人気を博したヒット曲に、新たなナンバーが加わった楽曲についてはいかがですか。

廣瀬:変わらず魅力的ですね。海外作品を日本語に翻訳した際の難しさは、ミュージカルにおいて本当に課題ではあるところなんですが……。言葉のニュアンスだったり、根元をしっかり押さえることは、歌い手として大きな課題としてあります。期待も大きくかかってくるところだと思いますし、違和感のないよう、ちゃんと物語に寄り添って、曲としてもすばらしいものになるようにしたいです。とにかく、ミュージカルは楽しい時間になると思うので、そこは乗り越えなければならない僕自身の大きな壁だと思っています。

植原:楽曲については、いい意味で、ミュージカルから始まっていない作品の魅力があるというか、映画発ならではのポップさであるとか、ザ・ミュージカル作品にはないような楽曲があるところがまた魅力かなと。新鮮に聞けると思いますし、そういった楽曲がすごく好みの方もいらっしゃると思うので。僕が歌う曲は、ミュージカル版のための、エンターテインメントというものを非常に意識して作られたものなので、ショーとしても楽しめる要素を織り交ぜながら表現できたらいいなと思っています。

(左から)廣瀬友祐、植原卓也

ーーこのコロナ禍にあって、劇場を取り巻く環境にはなかなか厳しいものがありますが、そんな中で、舞台に立つ人間として改めて考えたことはありますか。

廣瀬:めちゃくちゃ考えましたし、考えすぎて初心に戻るところに至ったという感じです。間違いなくわかったのは、僕は、舞台が好きだということ、表現するのが好きだということ。その場所を奪われてしまった自分の無力さだったり、自分は何者なんだろうということはすごく考えさせられました。そんな中、できることを模索しながら生きていくことは、ものすごくストレスを感じましたし、周りへの感謝にも気づきました。プラスの面もマイナスの面も両方あったかな……。この作品の幕が無事に開いた際には、とにかく初心に戻って、舞台に立てることは決して当たり前じゃないんだということに本当に最大限に感謝しつつ舞台に立ちたいですし、今までの、どうにもできない悔しい気持ちをステージにぶつけたい、その熱量を合わせてお客様に届けたいという思いがありますね。舞台に立つと、やっぱり生きている実感がするんです。何が起こるかわからない、それでも「ショー・マスト・ゴー・オン」でありたい。始まったらそのまま続いていくもので、相当なアクシデントがあったら途中で止まるかもしれませんが、多少ミスがあっても物語は続いていくし、その瞬間、役者、お客様、その双方がタッグを組んで生まれる瞬間というのは、人生そのものというか。お互い、自らが選んで劇場という場に歩み寄ってきているわけですから、本当に特別な場所だと思います。街中で流れ見するようなものとは違って、目的をもって、その場所にみんな、会いに来る、何かを感じに来る。そういった場所だからこそ、奇跡的な時間があると思いますし、舞台に立つ魅力を感じます。

植原:僕も少なからず立ち止まってしまう、立ち止まらざるを得ない気持ちになったんですが、応援してくださっている方々が、それでも観たいですとか、観るために私も仕事頑張りますとか、こんな状況でもそうやって本当に心から言ってくださって……。本当にありがたいなと思ったのが、こんな状況だと人のことを気にしていられなかったりすることもあります。もちろん、人と人との助け合いが大切になる状況ではあるんですが、まずは自分のことを考えなくてはいけないわけで。でも、そんな中でも、僕たちのことを気にかけてくれる人がいるって、すごいことだなと思って。早く会いたいですとか言ってくれて……。改めて原点に戻ったというか、そういう方々は絶対に裏切れないなと思います。心の面でもぎりぎり保つことができたのは、応援してくださっている方々、同志と呼べる方々がいて、その闘っている姿を見て、希望を持てたりすることがあったからだなと感じます。あきらめるとか言っていられないなと。舞台が終わって、カーテンコールでお客様の顔を見て、その表情で、いろいろなことを思ってくださっているんだなと感じたとき、ほっとするんです。それは絶対に生の舞台やコンサートといった場でないとなかなか感じられないものがあります。

植原卓也

ーーお互いの印象はいかがですか。

植原:かっこいい。

廣瀬:(照)。卓也は、やっぱり個性的です。見た目ももちろんだし、声もそうだし、僕が行かないところに行けたりとか、そういう姿を見せてくれるという意味での、自分とは違う個性というものがある。そこに、嫉妬と魅力を感じるんです。逆に言ったら、僕にもきっと人と違う個性があるんだろうけど……。この自粛期間中に、自分自身のこと、クリエイティブなことについてすごく考えたんですが、いろいろな方面において、オリジナリティというものを改めて非常に考えさせられたんです。個性というのはその人の最大の魅力だし、価値でもある。それをもっている表現者として、卓也のことを非常に魅力的だなと思っています。

植原:ヒロは、かっこいいし、めちゃくちゃ真面目だし、いい意味でイメージ通りというか、それでいて、ファンの方はよくご存じだと思うんですが、すごく笑いのセンスに長けていて。

廣瀬友祐

廣瀬:フ、フ、フ。

植原:ふざけたりとかもしますし、いろいろな面で周りの人を楽しませるパワーをもっている人です。それは誰しもがもっているものではないと思うので。クールに見えて、いろいろな面をもっているというのが魅力的ですね。

廣瀬:恐縮です(照)。

(左から)植原卓也、廣瀬友祐

ミュージカル『フラッシュダンス』は、東京公演を2020年9月12日(土)~ 9月26日(土)日本青年館ホールにて、名古屋公演を10月3日(土)~10月4日(日) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホールにて、大阪公演を10月8日(木)~ 10月11日(日)梅田芸術劇場 シアタードラマシティにて上演する。

取材・文=藤本真由(舞台評論家) 撮影=山本 れお

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