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劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』 監督・満仲 勧インタビュー①

Febri

TOPICS2022.05.17 │ 12:00

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』 監督・満仲 勧インタビュー①


第25弾となる『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の監督として抜擢された満仲 勧。数々の青春アニメやミステリーを演出してきた彼が、熱い人間ドラマに託したものとは。裏話満載のインタビューから、思いを読み解く。

取材・文/髙野麻衣

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』

長い歴史のある『名探偵コナン』に腹を決めて参加した

――『名探偵コナン(以下、コナン)』への初参加となった今作。オファーへの第一印象はいかがでしたか?
満仲 この仕事を始めてから20年ぐらい経ちますが、「僕でいいんですか⁉」っていう状態でしたね。長い歴史のある『コナン』だからこそ新しいものを取り入れたいという話をうかがい、腹を決めました。

――監督が参加した時点で、企画はどの程度まで固まっていたのですか?
満仲 第24作(『名探偵コナン 緋色の弾丸』)制作の終盤で、次回は「高木(渉)と佐藤(美和子)」メイン、「警察学校組」も出るっていうのは決まっていたらしいです。それ以外は白紙という段階で参加しました。会議をしながら、まずメインは警視庁の人たちだから舞台は東京に。次に液体爆弾というアイデアが出てきたときには、土地に高低差がある渋谷、となって。どうせだったら人がいっぱいいるときのほうがいいのでは、と話していたとき「ハロウィンだ」とポロっと言ったことが現実になって、あとあと大変でした。というのも、『コナン』にはもともと劇場版で使っている群衆のCGモデルがあったのですが、彼ら全部を仮装させるために、そのCGごと作り直さなければならなくなってしまって(笑)。CGを担当したスタッフさんがだいぶ苦労されたと思います。

――青山(剛昌)先生や脚本の大倉崇裕さんと話し合うなかで、印象に残った言葉などはありますか?
満仲 大倉さんのシナリオができあがったとき、先生がラブコメシーンを一杯追加していって、けっこうぶっこんでくるなというのが印象に残っています。先生は本当にいつも楽しそうで、あのエンディングのシーンも「思いついちゃった!」みたいにご自身でアイデアを出されて、「面白いなー!」って自画自賛していました(笑)。あと、アバン(映画冒頭)で例の結婚式と安室のシーンが交互に登場しますが、最初のシナリオはたしか安室のほうをやってから結婚式という流れだったんです。それを交互にやってみたいと提案したら、大倉さんに「カッコいい演出はよくわからないんで、監督のほうでぜひお願いします」と言われました。

回想シーンでは「不完全な安室」を意識した

――アバンしかり、カッコいい演出満載でした。「高木と佐藤」と「警察学校組」、現在と過去というふたつの軸を両立させるうえで、工夫した点などはありますか?
満仲 それはおそらく、大倉さんがシナリオでいちばん難航された点だと思います。やっぱり松田(陣平)が両者のつながりとして絡んできますから、松田という存在をどう扱うかという部分には、僕も気を使いました。佐藤の想いはもちろん、高木は松田を直接は知らないとはいえ、強力なライバルとして意識しているはずですから。佐藤の想いやトラウマを乗り越えるためには、やっぱり高木が頑張らないといけないと思いました。おそらく佐藤からしたら、もうとっくに高木がいちばんで、彼がそこで無理に頑張る必要は全然ないんでしょうけど。高木はそこを頑張っちゃうんですよね。そういうところが、高木の魅力だと思うんです。

――たしかに。警察学校組が共闘する回想シーンも忘れられませんが、魅せ方としてどのようなことを意識しましたか?
満仲 安室(透)って現在では完璧超人みたいなキャラクターですが、「この人はどうやって完璧超人になったのか」という部分も描きたいと思いました。だから、回想シーンではまだちょっと青いというか、不完全な安室を意識しましたね。他4人のメンバーがいろいろ助けたり、協力したりすることで、ひとつの事件を解決するっていう方向性に持っていければいいなと思ったんです。そういう経験を踏まえて安室は完璧超人になったんだよ、という成長や過程を描けたらと。そもそも今回の事件の犯人は、現在の安室でもひとりで勝てたかどうかわからない強敵でしたよね。コナンだったり、捜査一課やそれ以外の関係者だったり、みんなで共闘してようやく捕まえることができた。劇場版の歴史の中でもおそらく一、二を争う強敵の登場は、いちばんの特色かもしれません。

――「プラーミャ」に復讐を誓うエレニカ(・ラブレンチエワ)などのキャラクターも印象に残ります。大倉さんは取材で、エレニカや村中(努)のキャラクターは満仲監督や青山先生が肉付けしてくれたと、チームワークを強調していました。
満仲 映画はまずコナンたちを目立たせ、大きな謎を解くことが前提なので、当初はエレニカも村中もなんとなく物語から退場するような流れになっていたんです。でも、彼らにもやっぱり、彼らなりに歩んできた人生や想いがあるわけじゃないですか。エレニカは「復讐のためにすべてを投げうった」からこそ、どこかで救われるキャラクターになってほしかった。村中は村中で、目暮(十三)の同期の出世頭で「鬼の村中」と呼ばれた男。どんな事件も乗り越えて、戦いに挑もうとする人だよなと思って、その辺を少しずつ足していきました。やっぱりみんなカッコいいキャラであってほしいんです。

満仲 勧みつなかすすむ アニメーション監督。『おおきく振りかぶって』の脚本・演出・アクション作画監督などを経て、2013年『キューティクル探偵因幡』で監督デビュー。代表作に『ハイキュー!!』『レイトンミステリー探偵社 〜カトリーのナゾトキファイル〜』など。後編(②)に続く作品情報

劇場版『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』
大ヒット公開中

©2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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