元釣具屋店員が【高速リサイクラーの多様な使い方を解説】自宅で糸を巻くだけではない?
ちょっとお高い釣りアイテムの「高速リサイクラー」。それでも、一家に一台置いておきたい理由を、元釣具屋店員の筆者が解説。
第一精工高速リサイクラー
画像の物は筆者が使っている高速リサイクラー2.0という製品だ。もうかれこれ6年ほど使っている。この製品は自宅でリールに糸巻き等が出来るようにする製品であるが、ただ単に糸巻きができるだけの道具ではない。一家に一台あれば長い目で見るとかなり家計を助けてくれるアイテムなのだ。
リールへの糸巻きだけをとっても、これをつかうかどうかでかなりその後のトラブル防止に役立ってくる。リールへ糸巻をする場合、一定のテンションをしっかりと掛けて巻くというのがとても重要である。テンションの掛かっていない状態で糸を巻くと、キャスト時にスプールに巻かれた糸が一気に放出され、ぐちゃぐちゃになってしまうリスクが大きくなる。
また、メーカーがリールの糸巻量として記載しているPE ライン1.0○○mという表記はしっかり負荷を掛けて巻いた場合の目安だ。そのため負荷の足りていない状態で糸を巻くと想定より糸が巻けないという事態にもなりかねない。
高速リサイクラーはネジを回して負荷の調整ができるので任意の負荷を一定の力で掛けてくれるので自宅でも釣具店で巻いてもらう時と同様の仕上がりにできる。
下巻き糸の追加、修正
下巻き糸とは、例としてリールのラインキャパがPE ライン1.0号300mで1.0号200mの糸を巻きたい場合に足りない100m分を補うものだ。スピニングリールの場合、スプールエッジきっちりにラインを巻いている状態が理想。下巻き糸を入れず、巻き量が足りていない状態になるとキャスト時にスプールエッジに糸が当たるので飛距離が落ちてしまう。
糸は使ううちにリーダーの再結束や傷んだ分をカットしているとどんどん目減りしていく。この目減りした分の下巻きを追加することでスプールエッジに当たって飛距離が落ちるのを防ぐことが出来る。空のボビンにメインラインを巻き取り、安価なナイロンラインや使い古しの糸を巻いてその上からメインラインを巻きなおせば良い。糸が目減りしたから新しい糸を買う、よりも経済的になるが糸のある程度の残量には注意していないとフルキャストして糸が全部出てしまったというような事態にならないようにしよう。
ベイトリールについては、下巻きをするか否かについて状況に応じて必要、不必要の意見があると思うのでここでは言及しない。
糸の上下反転
新品のPE ラインラインをリールに200m巻いたと仮定して、普段使う部分は先端からせいぜい100m程度までだ。下の100mはほぼ未使用の状態で眠っているといってもいいだろう。使い込んでいるとPE ラインはささくれが目立ってくるので変え時なのだが、下で眠っている未使用状態の100mが勿体ない。この場合は糸の上下を反転し未使用に部分を上に持ってくることで実質的に糸の寿命を延ばすことが出来る。
空のボビンを2つ用意し、一度PE ラインを全てボビンに巻きとりそれをさらに空のボビンに巻き取る。その状態でリールに巻きなおせば上下がそのまま入れ替わった状態になり未使用部分の糸を使用できるようになる。糸の寿命が延びることで、高速リサイクラーの代金分くらいはすぐに回収できるだろう。釣具屋で糸を巻いてもらうと、巻き終えた空のボビンは持って帰りますか?と聞かれる事がある。こう言う時のために何個か持っておくと役に立つ。
ちょっとお高いアイテムではあるのだが、昨今の釣具屋では下巻きの調整や上下反転は手数料が必要になった。(数年前くらいまでは無料の店が多かった)ほんの数百円ではあるがちりも積もればなんとやら、である。また、海水で使用する場合の糸の塩抜きやラインコーティング剤の全面コーティングも家でできるようになる。雨の日で釣りに行けない日なんかは自分で糸の調整やメンテナンスをしてみてはどうだろうか?
<檜垣修平/TSURINEWSライター>