暑い日にお気に入りのセーターを何度も着てしまう…認知症の人の暑さや寒さがよくわからない世界とは?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】
4:体の感覚がぼやけ、暑さや寒さなど皮膚の感覚がよくわからない世界
○エピソード
父は、真夏の暑い盛りに、毎日同じ長袖セーター。上着を着て過ごしています。汗びっしょりなのに、本人は「これでいい」と脱ごうとしません。1度脱水症状で通院したことは覚えていません。
【あるある行動】真夏にエアコンをかけず、同じセーターを着続ける
認知症かどうかにかかわらず、高齢になると、温度を感じる感覚が少し鈍くなる傾向があります。暑い・寒い、皮膚にどんな感触がするかなどがわかりにくくなるのです。
認知症になると、さらに季節を感じにくくなったり、季節を錯覚したりすることがあります。このシーンでも、本人は季節を完全に勘違いしてしまい、「風邪をひきたくない」と強く思っているのかもしれません。
また、自分の着た服を覚えていない可能性もあります。「ずっと同じ服を着ている」という記憶ではなく、むしろ、毎日「お気に入りの服を選んで着た」と思っているのかもしれません。
さらに、認知症の世界では、「汗を大量にかいた」から「汗を拭こう」「服を選択した方がいい」といった予測が難しなり、「私は(他の人にとって)汗くさいかもしれない」というよに、自分を客観的にみることが難しくなるのです。
○もしあなたがこの世界にいたら?
もしもあなたが、昨日着ていた洋服が思い出せず、さらに臭いや汚れもよくわからなくなっていたら、「お気に入りの服」を毎日選んでしまわないでしょうか?
【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子