主要企業 円高予想で3000億円減益 企業の雇用・生産に対する悪影響
5月28日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、主要企業による円高予想の影響について意見を交わした。
雇用や生産などに悪影響が出てくるのは不可避でしょうね
円安による業績の押し上げを見込まない企業が相次いでいる。主要企業は2025年3月期の為替影響が計約3000億円の減益要因になると見込む。利益を約2兆円押し上げた前期から一転し、業績の重荷となる。
為替相場の乱高下を警戒して想定レートを平均1ドル=約144円と実勢よりも円高を予想しているためだ。足元の為替相場は1ドル=156円前後で推移するが、4月下旬〜5月上旬に乱高下したことから、企業は相場の先行きを警戒している。
相場次第では上振れする可能性もあるが、円安による業績押上げを見込まない企業が相次いでいる。
(寺島アナ) 「これは田中さん、どうご覧になりますか?」
(田中氏) 「今の円安ドル高はアメリカと日本の金融政策の違い、特に日本の金利は低位水準でアメリカは金利が高い、この金利差が高ければ高いほど円安が加速する感じですよね。今後それが修正される可能性が高いと、日本の企業の多くは思っています。その背景には僕は関心しないですけど、日本の利上げというシナリオを企業側がメッセージとして受け取ってしまっているということです。当然、企業業績が悪い方向に修正されると、雇用や生産などに悪影響が出てくるのは不可避でしょうね」
日経平均株価の採用銘柄のうち営業利益への為替影響額を開示した52社を集計すると、25年3月期は計2667億円の減益影響額を見込む。52社は自動車や機械、電機など輸出企業が多い。自動車各社は25年3月期の想定レートを1ドル=140〜145円としている。
2024年3月期は大手7社合計では円安が利益を約1兆1500億円押し上げて業績改善の原動力となったが、今期は一転して約1150億円の減益要因となり、円安の恩恵を見込んでいない。
前期は円安が海外事業の利益を39億円押し上げたが、今期は円高が進んで15億円の減益要因になるとみる。
(寺島アナ)「為替が日本企業に与える影響について、田中さんいかがでしょうか?」
(田中氏)「一番心配しているのは企業の投資や生産に対する悪影響。さらに雇用や日本の経済成長にマイナスな要因になってしまうのを個人的に非常に警戒しています。たとえば日銀の金融政策にしぼって考えると、日銀の首脳からは過去の金融政策を見直すフォーラムみたいなことをやっているんです。今まで自分たちが黒田日銀でやっていたことを全否定することは当面はできないんでしょうけど、静かに見直しをする動きがあって。それは副作用を強調するであるとか、今後は為替レートを意識するとか発信するんですよね。そういったことを企業の方々がどういう予想に追い込んでいくのか?」
さらに田中氏は、財務省による円安叩きの影響を問題視する。
(田中氏)「いまの為替レート、実際にはほとんど困るところがないんですよ。結局、輸出価格自体の為替レートの問題じゃなくて、食料・希少資源・エネルギーであるとか、元々の価格が上がっている中の話、そこで負担が多くなると我々国民も大変なんですが、そこは財政で手当てすればいいだけなんで。それをしたくない財務省の思惑もあって円安叩きを一生懸命やってるわけじゃないですか。そういった動きが本当に加速してしまうと、円安の恩恵が無くなって円高だと不利益が出てくる、と今まで悪い円安を言っていたのに、こういった記事をポロっと出してきた真意。私は臭いと思っています。まだ明確なコメントを言うほど熟成してないんですが、極めて臭いと思っています」